5月19日(主催・日高軽種馬農協)と20日(主催・ひだか東農協)の二日間、2歳馬によるトレーニングセールが開催された。
と書き出したが、この原稿を書いているのは19日夕刻。厳密に言えば、まだ市場は半分を残しているので全体を通してのコメントはできないのが残念だ。
肌寒いくらいの気候の日高地方。19日はどんよりと曇り、気温はおそらく10度前後だったのではないか。そんな中、まずは新冠の日高軽種馬育成公社にて午前8時半から公開調教が始まり、その後、会場を隣の静内に移して日高軽種馬農協のせりが午後3時から開始された。
販売者も購買者も、かなりの長丁場を覚悟せざるを得ない日程。終了したのは午後7時を過ぎたあたりだったという。
折りからの不景気や相次ぐ地方競馬の廃止などにより、相対的に競走馬の需要が落ちてきていると言われているこの業界だが、今年初めての(北海道では)市場ということもあって、会場はかなりの混雑だった。しかし、見学者は多数いても、肝心の購買者席は空席が目立ち、暗雲立ち込めるスタート。案の定、私が見た30番目あたりまでに売却された馬はわずか5~6頭にとどまった。
夕方の牧場の作業も待っていたため、そのまま午後4時には会場を後にしたのだが、今日の最終的な集計をインターネットで確認したところ、上場114頭中売却された馬が46頭(牡66頭中32頭、牝48頭中14頭)。売却率にして40,35%、総額3億82万5千円という取引成績だったという。
これは昨年と比較すると、総額と平均価格は下がっているものの、むしろ売却率は6%上回っている。厳しい時代であることを考えると、一応の成績を残したと言って良いのではないだろうか。
最高価格馬は様似のホウセイ牧場が上場した「イナズマクン」(父スピニングワールド、牡黒鹿毛)。金額は2520万円(税込み)。
続いて、浦河の鮫川啓一牧場生産の「E・Rトップ」(父エンドスウィープ、牡栗毛)が2205万円という金額。この上位馬の価格帯も、昨年と似たようなもので、様似のホウセイ牧場は、昨年に続いての最高価格馬を上場、売却する快挙となった。
なお、上場馬名簿とともに体高、胸囲、管囲、馬体重と、ビデオ収録時(セールに先立って事前に撮影される)と公開調教(当日)でのラスト1ハロンの走破タイム、騎乗者の斤量などが記された一覧表も配布され、購買者の参考になるように配慮されている。それによれば、ビデオ収録時にも当日にも、ともに11秒台を記録している馬が結構いるのだが、中には10秒台を記録している例も2頭いた。さすがに、このタイムは出色のものらしく、10秒台を出した2頭はいずれも高値がついたところを見ると、11秒を切れるかどうかが一つの(売るための)ポイントになっているのかも知れない。
とはいえ全体に走破タイムは速くなってきているらしく、そのために、今では11秒台を出すのは決して珍しいことではなくなってしまっており、その意味では一方的な「タイム偏重主義」からはやや脱却しつつあるような気がする。いずれにしても、一昨年のこのセールから、菊花賞と天皇賞を制したヒシミラクルが生まれたことを考えると、玉石混淆の上場馬の中にキラリと光る逸材が混じっているのだろうと思いたい。
明日はもう一つのひだか東農協のトレーニングセール。さてどんな結果が出るか。