3頭の重賞勝ち馬を兄に持つ良血牝馬アドマイヤマリリン
●オオムラサキ(牝 美浦・杉浦宏昭 父アドマイヤムーン、母アドマイヤテレサ)
阪神牝馬S(GII)4着の成績がある母アドマイヤテレサは、その父エリシオが凱旋門賞(仏G1・芝2400m)の勝ち馬、母の父CaveatがベルモントS(米G1・ダ12f)の勝ち馬というスタミナ豊かな血統。息子のアドマイヤラクティ(父ハーツクライ)は金鯱賞(GII)3着、アメリカJCC(GII)3着と重賞上位の常連となっており、娘のサトノジュピター(父アグネスタキオン)はスイートピーS(OP)で3着となった。父アドマイヤムーンは、レオアクティヴ、ハクサンムーン、ファインチョイス、セイクレットレーヴなどマイル以下で活躍するスピードタイプが多く、Sadler's Wellsのようなスタミナ型の血とフィットする傾向が見られる。レオアクティヴ、セイクレットレーヴは母方にこの血を抱えている。前述のとおり本馬の母はスタミナ豊富で、母の父エリシオはSadler's Wellsの全弟Fairy Kingの息子なので配合的に見どころがある。芝向きのマイラー。
●アドマイヤマリリン(牝 栗東・橋田満 父アグネスタキオン、母アドマイヤラピス)
母アドマイヤラピスは中長距離を得意とした外国産馬で、芝3000mの嵐山S(OP)を勝ち、芝3600mのステイヤーズS(GII)で2着となった。繁殖成績としても優秀で、本馬の半兄にはアドマイヤフジ(父アドマイヤベガ/06年日経新春杯-GIIなど重賞3勝)、アドマイヤホープ(父フォーティナイナー/03年全日本2歳優駿-GI、03年北海道2歳優駿-GIII)、アドマイヤコスモス(父アドマイヤマックス/11年福島記念-GIII)と3頭の重賞勝ち馬がいる。本馬の父はアグネスタキオン。ズブさを出す危険性をはらんだギャンブル性のある配合だが、当たれば飛距離が出ると思われるので“吉”と出ることを期待したい。芝向きの中距離タイプ。
●ジューヴルエール(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母マチカネタカマズラ)
母マチカネタマカズラはクイーンC(GIII)3着馬で、2代母Sweet and ReadyはプリンセスS(米G2・ダ8.5f)の勝ち馬。「ディープインパクト×Kingmambo+Sadler's Wells」という配合はピクシープリンセス(12年エリザベス女王杯-GI・3着)と似ている。本馬はAlzao≒El Prado 3×3で、Halo≒Sir Ivor 3・5×5。父の素軽さを引き出す配合で、母方に入るKingmambo、Sadler's Wellsの重さを軽減させる働きがあると思われるので注目してみたい。芝向きの中距離タイプ。
●バースデイパーティ(牝 栗東・友道康夫 父アドマヤムーン、母アラデヤ)
マイネルスケルツィ(父グラスワンダー/06年ニュージーランドT-GII、07年京都金杯-GIII)、ティアップゴールド(父クロフネ/09年ニュージーランドT-GII・2着)の半妹で、父はアドマイヤムーン。同産駒はマイル以下で活躍するスピードタイプが多く、スタミナ型の血とフィットする傾向が見られる。2代母の父Shirley Heightsは英ダービー(G1)と愛ダービー(G1)を制したスタミナタイプ。アドマイヤムーン産駒でこの血を持つ馬といえばハクサンムーン(12年京阪杯-GIII)の名が挙がる。芝向きのマイラー。
●バンデ(牡 栗東・矢作芳人 父Authorized、母Logica)
半兄Doctor Dino(父Muhtathir)はマンノウォーS(米G1)のほか香港ヴァース(港G1)を2連覇するなど、北米、アジア、ヨーロッパを股にかけて活躍した。その半弟にあたる本馬はAuthorized(07年英ダービー-G1など英G1を3勝)の子。サイアーラインはMontjeuを経てSadler's Welsにさかのぼる欧州2400m路線に強い系統。重厚なヨーロッパ型の配合なので日本向きの素軽さが鍵だが、ハマれば中長距離で大仕事をやってのけても不思議はない。
●マンインザムーン(牡 美浦・藤沢和雄 父チチカステナンゴ、母ダンスインザムード)
母ダンスインザムードは桜花賞(GI)、ヴィクトリアマイル(GI)の勝ち馬で、ダンスパートナー(95年オークス-GI、96年エリザベス女王杯-GI)、ダンスインザダーク(96年菊花賞-GI)の全妹にあたる超良血。初子のダンスファンタジアはフェアリーS(GIII)を制しており、繁殖牝馬としても非凡なところを示している。本馬の父はチチカステナンゴ。軽快なスピードに欠けるため苦戦しているが、母がその部分を補うことができれば期待が持てる。芝向きの中長距離タイプ。