
業務の安全を祈る

サマーバードがお披露目
1月29日(火)、JBBA静内種馬場にて今年度の種付け業務の安全を祈願する恒例の「安全祈願祭」が厳かに執り行われ、JBBA副会長を兼務する荒木正博・日高軽種馬農協組合長や種馬場長の中西信吾氏を始め、関係者約30人が集まった。
午前11時より神主による祝詞が披露され、続いて参列者が1人ずつ玉串を捧げて、無事に祈願祭は終了。その後、昨秋JBBAに導入され今シーズンより交配を開始するサマーバードが、関係者にお披露目となった。
サマーバードは父バードストーン、母ホンコンスコール(その父サマースコール)という血統の米国産7歳馬。3歳時にベルモントステークス他GI3勝を含む9戦4勝の成績を残している。2011年より米国にて種牡馬となり、初年度産駒は現1歳。すでに今シーズンの配合予定は満口となっている。種付け料はA~Cの3コースあり、120万円~180万円。今シーズンの配合予定頭数は158頭。
体高があり、馬格は雄大だ。2009年秋にはジャパンCダートに出走すべく遠征してきていたが、本番前の調教中に骨折が判明し、出走を断念した経緯がある。この時の同レースはエスポワールシチーが逃げ切り勝ちを収め、サマーパートとともにやってきたティズウェイは12着に敗退している。実績でははるかにティズウェイを上回るサマーバードがこのレースに出走していたらどんな結果が出ていたものか。

エンパイアメーカーに人気が集中
しかし、何といっても、JBBAの不動のエースはエンパイアメーカーだ。昨秋、配合申込頭数が700頭にも達し、異常に人気が集まった。日本へ輸入され供用開始となったのは2011年のシーズンからだが、初年度産駒から活躍馬を数多く輩出しており、日本でもフェデラリスト(中山金杯、中山記念)やイジゲン(武蔵野S)など、米国産馬や「持ち込み」として日本で生まれた数少ない産駒が確実に成績を上げているために、極端な“一極集中”となったのである。
2011年度はいきなり204頭に交配したにもかかわらず、翌2012年にはさらに頭数を大きく伸ばし、実に236頭もの多頭数に達した。これはキングカメハメハ(251頭)、ディープインパクト(246頭)、ダイワメジャー(244頭)に次ぐ頭数だが、産駒の好成績を背景に、今年は種付け料を一律Bコース(第1回の交配日もしくは4月30日のうちいずれか遅い日付までに種付け料前納、不受胎時に返還)のみ350万円にまで増額した。またフリーリターン特約はない。
かなり強気の価格設定だが、実績は素晴らしく、昨年は中央競馬において9頭が出走し6頭が16勝を挙げた。うち3勝が前述のフェデラリストとイジゲンによる重賞で、アーニングインデックスは5.97とひじょうに優秀だ。
それを受けて、生産地でのエンパイアメーカー産駒は人気があり、久々の「お金を獲れる種牡馬」と評価が高い。どうかするとJBBA種牡馬は、供用初年度に最も配合頭数が多くなり、以後は徐々に(あるいは極端に)頭数を減らして行く傾向があるが、エンパイアメーカーに関しては当分人気が続きそうな気配だ。
ただ、新種牡馬サマーバードとエースのエンパイアメーカー、及びバゴ(2012年度58頭)に関しては配合頭数が公表されているものの、それ以外のヨハネスブルグ、アルデバランII、ケイムホーム等は配合頭数が非公表となっている。
いずれ生産名簿などから概ね配合頭数は推定されることになるが、おそらくは「かなりの少頭数」になってしまっていることだけは間違いなく、改めて生産地での種牡馬事業の難しさを思い知らされる。
年々、繁殖牝馬頭数と生産頭数は減少し続けており、それに伴って、種牡馬頭数もまた確実に減ってきているが、一部に人気が集中する傾向は依然として変わらず、その結果、配合頭数を確保できなくなっている種牡馬がかなりの数に上る。
1シーズンに100頭以上の牝馬に配合した種牡馬は昨年43頭いたが、その一方で、配合頭数が1桁、あるいはゼロという種牡馬も数多くいて、この世界もサバイバルになりつつある。
ともあれ、来月になると、12日の社台スタリオンを皮切りに、21日のブリーダーズスタリオンまでの実質10日間に各種馬場の展示会が集中しており、今年は日高にも話題の新種牡馬が数多いことから、各々繁殖牝馬をいかにより多く集めるかが大きな課題となりそうだ。