ダートの1600mという舞台設定は東京競馬場のみ。発馬して直後に芝を走りダートコースに入る。その後はコーナーをふたつ回るという形態だ。スピードが要求されるのが特徴といっていいだろう。当レースの勝ち時計も良馬場で1分34秒台後半から1分35秒台前半が多い。
同じGIのJCダートとの関連性に触れてみたい。右回りの阪神競馬場で同レースが施行されるようになって昨年の暮れで5回目になる。1800mで回るコーナーは4つ。オールダートの標準的なコースだ。当コースとは形態が大きく違う。それでも過去4年で同レースの勝ち馬がこのフェブラリーSも連覇したケースが2回ある。
2010年のエスポワールシチー、翌11年のトランセンドだ。2頭に共通するのはJCダートを逃げ切って制していること。当レースでの前者は2番手から抜け出し、後者はこのときも逃げ切った。エスポワールシチーは反応のいいスピードタイプ。トランセンドはスピードの持続力と二枚腰で勝負する。形は異なるがどちらも先行力を存分に生かすことで当レースでも持ち味を発揮した。見方を変えればJCダートをスピードで制圧できる地力がなければ当コースでは決め手のある差し組に捕まってしまうということだろう。
実際、JCダートを2年続けて逃げ切ったトランセンドは昨年のこの舞台ではハナに立てずに7着に終わっている。前半のラップが速過ぎて11年に逃げ切ったときとは状況が違っていた。出走している各馬のダッシュ力を吟味するのも重要だ。今年は昨年のJCダートの勝ち馬が不在だが同レースに参戦した上位馬の時計が優秀だった。その点も考慮すべき対象だろう。
ナムラタイタンを推す。東京のダートマイル戦での豊富な実績に加えて持ち時計も出走馬で最も速い。それも58.5キロを背負って記録したものだけに価値がある。発馬を無難にこなせば前走のように積極策な競馬が可能。その前走では速い流れを2番手で追走してタフな中京のダート1800mで2着に踏ん張った。外に先行型が並んでおりスムーズな位置取りで進むことができる。自在性のあるいまなら信頼度は高い。
ダノンカモンの前走は不完全燃焼だった。ペースの遅さに手を焼いたがGIになれば直線はばらけやすいはず。精神面も強くなっている。テスタマッタはパワフルで前哨戦で大味な競馬を見せて定量戦の本番で地力を発揮するタイプだ。以前と比べてスピード色が濃くなっているワンダーアキュート。昨年は瞬発力勝負では分が悪かったが今年は決め手が増している。
グレープブランデーはスピード勝負になったときに不安はあるが舌を縛って集中力が出てきた。混戦になれば浮上する。左回りに変わり、マイル戦。この条件はイジゲンには悪くない。この距離だと脚の使いどころが難しいだろうが、シルクフォーチュンは大外枠を生かして迫る。