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デビューが待たれる豪州産の良血モアザンジョイ

  • 2013年02月20日(水) 12時00分
●アステュート(牝 栗東・河内洋 父アグネスタキオン、母オブザーヴァント)
 2代母パテントリークリアは、タイキフォーチュン(96年NHKマイルC-GI)、タイキダイヤ(99年クリスタルC-GIII)、タイキリオン(02年ニュージーランドT-GII)と3頭の重賞ウィナーを送り出した名繁殖牝馬。母オブザーヴァントは未勝利に終わったが、良血だけに繁殖牝馬としては期待したい馬だ。半姉ハイカックウ(父High Chaparral)はチューリップ賞(GIII)7着、全兄メイショウグラハムは1勝馬ながら、新潟芝1800mの新馬戦を1馬身半差で勝ったレースぶりは鮮やかだった。母の父がCapoteなのでいかにも仕上がりが早く、レースに出てくればいきなり勝負になるタイプ。牝馬なのでマイル以下の芝でスピードを活かすタイプだろう。

●モアザンジョイ(牡 美浦・木村哲也 父More Than Ready、母Tuesday Joy)
 母Tuesday Joyはニュージーランドで誕生し、オーストラリアでチッピングノートンS(G1・芝1600m)、ランヴェットS(G1・芝1900m)などG1を4勝した名牝。父More Than Readyは南米の大種牡馬サザンヘイローの息子で、キングズビショップS(米G1)、サンフォードS(米G2)など米17戦7勝。種牡馬としても世界各国で活躍馬を送り出している。スピードがあり芝・ダートを問わない。日本における産駒成績はダートのほうが勝っている。本馬はMore Joyous(09年フライトS-豪G1)と4分の3同血の関係(父が同じで母同士が姉妹)にあり、配合的に見どころがある。これだけの良血馬だけあって、2012年4月の豪イングリスイースターイヤリングセールにおいて75万豪ドル(約6300万円)の高値で落札された。落札者はノーザンファーム代表の吉田勝己氏。オーストラリア産馬なので生まれが半年遅い(8月19日生)ものの、デビューが待たれる1頭だ。

●エアコダリー(牝 美浦・堀宣行 父ゴールドアリュール、母ガバーナ)
 半姉ガーヴィ(父アグネスタキオン)は1勝馬、同じく半姉のクイーンガバナンス(父キングカメハメハ)は未勝利と、母ガバーナは現時点で目立った結果は残していない。ただ、Past Example≒Uncommitted 2×3という大胆な4分の3同血クロス、ボールドラッド≒Secretariat 4×4という組み合わせのクロスを持つので、配合が合えば一発大物を出せるのではないかと思われる。父ゴールドアリュールはダートを得意とするパワータイプ。母も芝よりはダートというタイプなので、おそらくダート向きのマイラーだろう。中途半端に芝向きの種牡馬をつけるよりは、ダートの大物を狙ったこの馬のような配合が吉と出る可能性がある。

●エクスクルーシヴ(牡 美浦・田村康仁 父クロフネ、母ケイアイバラード)
 半兄コスモセンサー(父キングカメハメハ)は、3歳春にアーリントンC(GIII)を勝ち、その後やや低迷した時期はあったものの、5歳春に安田記念(GI)で3着となった。もう1頭の半兄ケイアイウンリュー(父タマモクロス)は2歳秋に東京芝1600mをレコード勝ちした。父と同じ芦毛で、なおかつ走るフォームも父と酷似していたので印象に残る馬だった。本馬の父クロフネは能力のある繁殖牝馬との組み合わせでは素直に走る馬を出す傾向がある。全兄クレバーバラードはダ1800mの新馬戦を4馬身差で圧勝したように、素質の片鱗は感じられる馬だった。兄以上の器であることを期待したい。

●シェルブール(牝 栗東・矢作芳人 父アグネスタキオン、母フランカ)
 半姉ハギノルチェーレ(父ダンスインザダーク)はフィリーズレビュー(GII)3着、ファンタジーS(GIII)4着という成績がある。2代母Frankovaは本邦輸入種牡馬アサティスの4分の3妹で、母フランカはSeeking the Gold産駒なので、母方からはパワー型の資質を受け継いでいる。父アグネスタキオンの特長である切れ味やスピードとうまく融合することができれば楽しみだ。全姉サラローサは芝1400mを勝ち上がった。この馬もマイル以下がいいだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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