まもなく今年の2歳馬記事が各地を賑せることになるが、そんな中で特に人気となるのが「○○の下」、つまり活躍馬の弟・妹だ。
そこで、今年の2歳馬で、兄姉がJRAの競走で稼いでいるという馬たちを調べてみた。
まず、兄姉(最大5頭)の「平均本賞金額」(生涯成績)上位の馬。単純にランキングを決めると何が1位になるかお分かりだろうか?
正解はエミネントシチーの2011(プレジールシチー)。中央で走った兄姉が1頭しかおらず、それがエスポワールシチーだからだ。ちなみに2位は上が2頭デビューして(他に3歳が未出走)いるドナブリーニの2011となる。
これだと兄姉の少ないほうが有利なので、上が5頭デビューしている馬に限定すると、ランキングは以下の通り。
2歳馬、兄姉本賞金上位馬5頭平均値
ビワハイジの2011 39330万円
ウインドインハーヘアの2011 33523万円
ブリリアントベリーの2011 28228万円
タニノシスターの2011 25743万円
ゴールデンサッシュの2011 21986万円
スカーレットレディの2011 20026万円
グレースアドマイヤの2011 17301万円
ローザネイの2011 17077万円
マイケイティーズの2011 16803万円
ホールオブフェームの2011 16636万円
この段階で、5頭がコンスタントに走るような繁殖牝馬はあまりおらず、1頭ないし2頭の大当たりが平均値を押し上げているケースが多いことがお分かりいただけるだろう。
実際のところ、重賞級を3頭出すような繁殖牝馬はそうそういるものではない。
今年の2歳に産駒がいる繁殖牝馬で、「収得賞金(本賞金ではない)が高いほうから3番目の産駒」ランキングを作っていくと、以下のようになる。
スカーレットレディ→ビワハイジ→ブリリアンドベリー→アドマイヤサンデー→ホットプレイ→ロンドンブリッジとユーワジョイナーとフサイチエアデール(同率)
ロンドンブリッジの収得賞金3位産駒はビッグカポネ、ユーワジョイナーはオリオンスターズ、フサイチエアデールはライラプス。最終的な収得賞金(クラス分けの賞金)は2450万円だ。
収得賞金2450万円で終わる競走馬というと、本賞金は稼いで1億円。少ない場合は6000万円ほど。こう考えると、「上が2つ重賞級・1億円級」という弟馬・妹馬はイメージよりもリスキーと言えるだろう。なにしろ、成功例のしかも上位馬で6000〜1億円なのだ。下はもちろん0円まである。
上がたくさん走っているということは繁殖牝馬が高齢であるということにもつながる。以上を踏まえると、少なくとも本物の馬主は「上に大当たりが2つ出ている馬」を高値で競るよりも、「大当たりと小当たり」、できれば「大当たりの予感につながる中当たり」くらいで繁殖牝馬にヤマを張ったほうがよいのだろう。それですらある程度の資金は必要になる。
POGの場合は価格が反映されないのでそこまでシビアではないが、それでもドラフト順位を考えると、2〜3位あたりの競り合いにおいて、以上の内容を頭に置いたほうがよいだろう。