浜中騎手をゲストに迎えてのご指名対談第2回。“先輩からよく怒られた”という共通点を持つ浜中騎手と川須騎手。さすがに最近は減ったそうですが、怒られなくなったらなったで、川須騎手には新たな悩みが…。「同じようなことで悩んでたよ」という浜中騎手が、自身の体験談を交えて後輩の悩みに答えます。
■ 岩田さんのアドバイスで救われた
──おふたりには共通点が多いとのことですが、わたしから見ても、勝気なところ、それを隠さないところがよく似ているなぁと思います。
共通点の多い二人
川須「人並みに落ち込みます」
浜中 そうかもしれません。負けん気の強さからか、勝ちたいという気持ちばかりが先立ってしまった時期があったり。急激に勝ち星が伸びたりすると、荒っぽいところも同時に目立ってきたりするものですが、そういう時期も似てましたね。だからだと思うんですけど、先輩から怒られる内容も、自分が言われていたこととよく似ていました。
──そういった共通点を、川須くんも感じていたわけですね。
川須 そうですね。
浜中 まぁ、誰もが通る道なんやけどね。でも、怒られるということは、それだけ注目されているということ。だから、僕は怒られないより、怒られる存在でよかったと思う。川須は、怒られてもへっちゃらなほうでしょ?
川須 いやいやいや…(苦笑)。ドーンと落ち込むことはなかったですけど、人並みに落ち込みましたよ。よく高倉に話を聞いてもらってました。
浜中 僕は、怒られているうちにだんだんね、自分の小ささがわかってきたんだよね。最初の頃は、反発心もあったけど、先輩たちは感情に任せて怒っているんじゃないっていうことがわかってきた。本当の巧さだったり、いかに巧さを見せつけて勝つかっていうことの大切さがわかってきてね。川須もそうじゃなかった?
川須 その通りです。2年目あたりは、何を怒られているのかよくわからなかったんです。でも少しずつ、自分がなぜ怒られているのかもわかってきましたし、相手が感情的になっているのか、そうじゃないのかが、自分のなかで区別できるようになったというか。最近はもうあまり怒られませんけど、そうなったらなったで、今度は「最近、積極性がなくなったな」とか言われることもあって…。
浜中 ああ、わかるよ。僕も3年目に同じようなことがあった。多少強引でも狭いところに入って行ったり、調子に乗っていた時期があってね。当時はよく「そんな競馬をしていたら落ちるぞ」とか、「お前、そのうち人を落とすぞ」とか言われてたんだけど、「いやいや、大丈夫ですって」みたいな気持ちでいたんだよ。その矢先に、落馬して。
川須 どういう状況での落馬だったんですか?
落ちてやっとわかった
浜中 小倉だったんだけど、3〜4コーナーで自分から前の馬に乗っかけて。馬は幸い転ばなかったんだけど、僕はバランスを崩して落ちて。今考えたら、よくあんなに狭いところに行ったなって思うくらい、狭いところに入って行ったんだよね。それくらい、変に自分に自信があったんだと思う。で、落ちてみて、初めて周りの人が言ってくれていたことがわかって。それで今度は逆に、消極的になってしまった。今までなら無理にでも動くところも動かなくなって、結果的に後手後手に回ってしまったり。思い切った騎乗ができなくなった時期があった。そうやって経験してわかることってあると思うし、大事なのは、そこをどう乗り越えるかだよね。それが3年目の秋だったから、ちょうど今の川須と同じような時期だよね。今までで一番悩んでた時期だったよ。
川須 やっぱり浜中さんにもそういう時期があったんですね。どうやって乗り越えたんですか。
浜中 自分にとって、すごくプラスになる人との出会いがあったから。僕にとっては、それが岩田(康誠騎手)さんだったんだよね。岩田さんのアドバイスで救われたところがたくさんあって、その流れでGIを勝てて(スリーロールスの菊花賞)。それで自信を取り戻せた。だから、川須にもそういう出会いがあればいいなって思う。やっぱり、いろいろ経験してきた人の言葉は重いからね。悩んだら、いろんな先輩に相談してみてもいいと思うよ。そういえば、僕だけじゃなくて、(福永)祐一さんも川須のこと気にしてたよ。
川須 ああ、福永さんと浜中さんが、「川須はもっと中央で乗ればいいのに」って言ってくださっていることは、人づてに聞いていました。
浜中 そう、つい2、3週間前だよ。競馬場で祐一さんと話してたんだよね。
【次回のキシュトーーク!は?】
浜中騎手をゲストに迎えてのご指名対談第3回。ローカルを中心に戦い、結果を出した2年目から、昨年は中央に重点をシフトした川須騎手。「もっとGIに乗りたいし、大きいところを狙っていきたい。でも…」と思い悩む川須騎手に、熱い浜中節が炸裂!