●オースミフェアリー(牝 栗東・中尾秀正 父シンボリクリスエス、母オースミコスモ)
母オースミコスモは関屋記念(GIII)、中山牝馬S(GIII)、福島牝馬S(GIII)を制した名牝で、半兄にオースミブライト(重賞2勝)、近親にシャダイカグラ(89年桜花賞-GI)がいる良血。産駒のなかで唯一競馬場で走ったオースミツバキ(父ファルブラヴ)は残念ながら未勝利に終わったが、母は並の牝馬ではないので、今後の繁殖成績には大いに期待できる。「シンボリクリスエス×フジキセキ」はアリゼオ(10年毎日王冠-GII、10年スプリングS-GII)と同じ。芝向きの中距離タイプだろう。
●アマルコルド(牝 栗東・角居勝彦 父ハーツクライ、母フローラルグリーン)
半兄にダノンヨーヨー(10年富士S-GIII)、近親にマツリダゴッホ(07年有馬記念-GIなど重賞6勝)、ナリタトップロード(99年菊花賞-GIなど重賞7勝)がいる良血。2代母フローラルマジックは優れた活力を伝えており、孫の代に入っても活発にファミリーを伸ばしている。本馬は母の父がフォーティナイナーで、母がRaise a Native 3×4なので豊かなスピードを秘めており、半兄ダノンヨーヨーはダンスインザダーク産駒ながらマイラーとなった。本馬の父はハーツクライ。05年以降、芝2400m戦で50走以上した種牡馬のなかで、ハーツクライは唯一連対率が30%を超えている(33.1%)。それほどの優れた長距離適性を誇る種牡馬だが、この母との組み合わせでは、牝馬ということもあり芝1600〜1800mあたりを得意とするタイプが出るだろう。
●カネトシアルガルベ(牝 栗東・大根田裕之 父キングカメハメハ、母フラワータテヤマ)
半兄ヴァンクルタテヤマ(父フォーティナイナー)はプロキオンS(GIII)などダート重賞4勝。2代母ワンボールドビッドの全兄にギャロップダイナ(85年天皇賞・秋-GI、86年安田記念-GI)がおり、血統的には一本筋が通っている。「キングカメハメハ×ブライアンズタイム」はハタノヴァンクール、グランドシチー、シセイオウジなどダート向きの活躍馬が続出している組み合わせ。ダート中距離で堅実に走る配合で、牝馬なのでマイル適性もあるだろう。
●ダノンルージュ(牝 栗東・藤原英昭 父サクラバクシンオー、母フォトジェニー)
「母の父スペシャルウィーク」といえば皐月賞を狙う有力馬エピファネイアが出ている。ただ、同馬の母は名牝シーザリオで、母のポテンシャルが尋常でないという点は考慮する必要がある。一般的にスペシャルウィーク肌の産駒は素軽さに乏しく、鈍重さを伝えるところが見られるので、父方からスピードを補う配合が必須。本馬の父はサクラバクシンオーなので悪くない。バクシンオーはNijinskyを含んだ繁殖牝馬と相性良好。スペシャルウィークの母の父はマルゼンスキー(その父Nijinsky)なのでセオリーどおりだ。「サクラバクシンオー×スペシャルウィーク」はこれまでに7頭がデビューして3頭が勝ち上がっているのでまずまず悪くない。本馬の2代母の父がHyperion色の強いNureyevであるという点も強調材料だ。サクラバクシンオー産駒はこうした血が入ると信頼性が高まる。芝・ダート兼用のスピードタイプだろう。
●ビジンダネ(牝 美浦・和田雄二 父ホワイトマズル、母マルスフラウ)
母マルスフラウは未勝利馬だが、その母ニアリーウェッドは名種牡馬Blushing Groomの半妹という良血。「ホワイトマズル×マルゼンスキー」はクイーンC(GIII)3着、フラワーC(GIII)5着のラドランファーマと同じ。同馬は芝で走ったが、パワー兼備の配合だけにダートでも楽しみがある。母のQuill≒Prince John 3×4を継続する形で、本馬はFlight Table≒Quill≒Prince John 4×4・5。地味ながら配合は悪くないのでいいところがありそうだ。