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種牡馬となったサクラゼウスの全弟サクラモンストール

  • 2013年03月27日(水) 12時00分
●アンテインテッド(牝 栗東・松元茂樹 父Speightstown、母Lizzy Cool)
 父Speightstownは現役時代にブリーダーズCスプリント(米G1・ダ6f)など重賞を4勝した一流馬で、04年に米最優秀スプリンターに選出された。日本ではドスライス(OP)、エーシンジェイワン(OP)、グリフィンゲート(準OP)など、少ない産駒からコンスタントに活躍馬が誕生しており、日本向きの適性に定評がある種牡馬だ。本馬の半兄Cool BulletはコモンウェルスS(米G2)2着の活躍馬。やや一本調子なところはあるものの、仕上がりが早くスピードもあり、母方にはKey to the Mintがあるので底力も感じられる。ダート1200〜1400mがベスト。

●サクラモンストール(牡 美浦・田島俊明 父サクラバクシンオー、母サクラブラッサム)
 全兄サクラゼウスは未勝利戦−500万下と連勝して臨んだファルコンS(GIII)で、果敢にハナを切って3着に粘った。2勝目の500万下は前半3ハロン33秒1という超ハイペースで逃げ切ったように、優に重賞級の能力を秘めていた。残念ながらファルコンSのあと屈腱炎を発症。約2年10ヵ月の休養後に高知競馬で復帰し、かの地で一度も敗れることなく12連勝を記録して引退した。現在は種牡馬となっている。「サクラバクシンオー×Seattle Slew」という硬質なスピード血統で、3代母サングはバブルカンパニー(バブルガムフェロー、Candy Stripesの母)の全妹にあたり、Hyperion 5×5・5というクロスを持つ。サクラバクシンオー産駒はHyperionの強い血と相性がいい。兄同様の活躍を期待したい。

●キネオスイトピー(牝 栗東・清水久詞 父アドマイヤムーン、母スエヒロジョウオー)
 母スエヒロジョウオーは阪神3歳牝馬S(GI)の勝ち馬。9番人気だったこともあり、またその後1勝もできなかったことからフロック視する向きも多かったが、初子のスエヒロコマンダー(父コマンダーインチーフ)が鳴尾記念(GII)と小倉大賞典(GIII)を勝ったことで、自身の価値を証明してみせた。本馬はその半妹。父アドマイヤムーンは現役時代にジャパンC(GI)、ドバイデューティーフリー(GI)、宝塚記念(GI)などを制し、年度代表馬に輝いた名馬ながら、産駒はスピードタイプに出ている。Sadler's WellsやShirley Heightsと好相性を示しているように、ヨーロッパ型の重厚な血とフィットしている。本馬の母の父トウショウペガサスは父と案外合うのではないかと思われる。芝向きのマイラーだろう。

●ダノンマイティ(牡 栗東・音無秀孝 父アグネスタキオン、母スープリムゴディス)
 母スープリムゴディスは現役時代に2戦して勝てなかったが、リルダヴァル(NHKマイルC-GI・3着)の半姉にあたり、2代母ヴェイルオブアヴァロンはディープインパクト、ブラックタイド、オンファイア、レディブロンドの半姉にあたる良血。本馬とリルダヴァルはいずれもアグネスタキオン産駒なので、両者は4分の3同血の関係となる(父が同じで母同士が親子)。アグネスタキオンとウインドインハーヘアの牝系を組み合わせると、Alcide≒Highlightという相似な血のクロスが生じるためか、コンスタントに走る傾向がある。リルダヴァルの他にも、ダノンパッション、ニュービギニング、カイシュウタキオンなどが出ている。もちろん本馬にも期待できる。芝向きの中距離タイプだろう。

●ヒシカツチンギス(牡 美浦・久保田貴士 父キングカメハメハ、母フランダース)
 母フランダースは現役時代に5戦して未勝利に終わったものの、名スプリンターとして鳴らしたビリーヴ(02年スプリンターズS-GI、03年高松宮記念-GIなど重賞4勝)の全妹にあたる良血なので、繁殖牝馬としては楽しみがある。本馬の全兄クレバーアポロ(父キングカメハメハ)は現在1000万条件。2代母グレートクリスティーヌは、Northern Dancer≒Icecapade 2×2、Olympia 5×4、Petition 4×5、Fighting Fox 5×5と、絵に描いたような父母相似配合。これがビリーヴの圧倒的なスピードの源泉となっていたと思われるので、この活力がうまく孫の代でONになればおもしろい。芝・ダート兼用のスピードタイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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