◆マリーンカップ展望
(4月3日 船橋 サラ4歳以上 別定 JpnIII 1600m)
「マリーンカップ」は平成9年、従来の準重賞から昇格、以後統一GIIIとして16年の歴史を歩んできた(23年・震災中止)。計16年間で地方勢5勝は、他交流Gと比較して確かに善戦。ただここ数年に限るとJRA優勢は否めず(4年連続優勝)、16年ベルモントビーチ、19年トーセンジョウオーなど、JRA出身転入馬だから、素直に評価できない部分も正直ある。地方(南関東)生え抜きの優勝馬は、10年エフテーサッチ、12年ヤマノリアル、15年ラヴァリーフリッグ。中でもヤマノリアル、ラヴァリーフリッグは牡馬混合Gでも好走した、何とも骨っぽい女傑だった。
ともあれマリーンカップ。1つ傾向は実績より勢い優先、上昇馬が活躍することだろう。例えば11年ファストフレンドはこのレースが重賞初制覇。以後、帝王賞→東京大賞典、堂々たるGIウィナーに成長した。13~14年連覇プリエミネンスもここで大きく弾みがつき、結局生涯、統一ダートG7勝(うち南関東4勝)をあげている。17年JRA所属、19年船橋所属、異色のパターンで2勝したトーセンジョウオーも、17年は4歳時フレッシュな時季の勝利だった。折りしも今年の場合、ミラクルレジェンド引退、クラーベセクレタ回避、新星誕生の期待が高まっている。青写真通り、女傑、名牝候補が出るのかどうか。厳しい状況は否めない地方勢も、エミーズパラダイスなどまだ4歳。新たな突破口を開く可能性はもちろん残る。
(1)…小波乱。1人気[4-2-2-1]は信頼できるが、2人気[0-1-3-5]、3人気[1-2-1-5]。1→2人気の決着は昨年1度(過去9年)しかない。4~6人気、予想紙でいう△級が絡む傾向。
(2)…JRA対船橋。JRA=6勝、2着6回と大きくリード。ワンツースリーの決着が3度ある。以下船橋=2勝、2着4回(同着1)、川崎=1勝。地方他地区馬は18年レイナワルツ(東海)4着が最高。
(3)…6歳馬。総じて成長株が活躍するレースだが、数字上最もいいのは(優勝馬)6歳=3勝、2着1回。以下4歳=2勝、2着4回、5歳=2勝、2着3回。8~9歳馬もメイショウバトラーの20~21年連覇がある。
(4)…差しタイプ。逃げ=1、先行=4、差し12、追込み=1。マイル戦らしく厳しい流れで好位~中団からの差しが主流になる。直前「エンプレス盃」組がやはり強く、連対18頭中8頭が、その上位入線(1~4着)馬。
※データ推奨馬
◎スティールパス…JRA6歳馬。昨夏川崎GIII「スパーキングレディーカップ=千六」で大金星(ミラクルレジェンド、クラーベセクレタに快勝)をあげた。マイル向きの切れ味とセンスに特徴。ネオユニヴァース×ブライアンズタイムの背景にも成長力がイメージできる。鞍上・福永祐一騎手は20年メイショウバトラーで優勝。
☆ ☆
◎メーデイア 56浜中
○スティールパス 56福永
▲レッドクラウディア 56内田博
△エミーズパラダイス 55石崎駿
△オーシャンフリート 55藤田
△アドマイヤインディ 55宮川実
△マニエリスム 55今野
メーデイアの前走「TCK女王盃」は圧巻だった。先行レッドクラウディア、エミーズパラダイスを3~4コーナー外から捲って直線独走。交流G初挑戦、条件は格下(1000万)ながら、現実に1頭別次元の強さをみせている。キャリア12戦の5歳馬で伸びしろが大きいこと、父キングヘイロー、馬格に恵まれ(490キロ台)地方ダート適性が高いこと。今回千六(未経験)クリアなら、新女王誕生が確定的になるだろう。左回りはJRA新潟で克服済み。浜中騎手とのコンビ[3110]も強調できる。
スティールパスは、前述通り円熟期を迎えたJRA6歳馬。今冬さらに力をつけた印象で、前2走「根岸S」「ポラリスS」とも、骨っぽい牡馬相手にあわやの接戦を演じている。厳しい流れの差し較べはうってつけだ。レッドクラウディアは評価が分かれる。昨暮れ単騎逃げの「クイーン賞」は強かったが、メーデイアに捲られたTCK女王盃は意外なモロさ。相性のいい船橋コースに移り、今回正念場といえるだろう。
地方勢は前走「エンプレス盃」2着で息を吹き返したエミーズパラダイスがむろん有力。昨春このレースを3歳の身で4着だから能力差はないはずで、ホームの利、マイル適性を生かし切れれば一角崩しも浮かんでくる。もう1頭アドマイヤインディは無欲の差し。クイーン賞、TCK女王盃、終い力強く伸びて4、4着からは、3連勝、ワイドの穴馬に十分推せる。
◆京浜盃回顧
(3月27日 大井 サラ3歳 定量56キロ 南関東SII 1700m重)
○(1)ジェネラルグラント 1分47秒1
△(2)アウトジェネラル 3
△(3)インサイドザパーク 3/4
◎(4)ソルテ 首
(5)オグリタイム 1/2
………………
(6)リコーハラマ
▲(9)オーネットエース
△(16)ブラックワード
単330円 馬複540円 馬単1140円 3連複2040円 3連単7170円
ジェネラルグラントが完勝した。好スタートから外め3番手をスムーズに進み、直線あと1ハロン、GOサインと同時に馬場の真ん中を堂々と突き抜けた。メンバー中最速上がり38秒1、決定的な3馬身差。終始正攻法、しかも余裕残しだから、ごく素直には南関東クラシック・主役確定といえるだろう。「普段の稽古でも前走(2歳優駿2着時)より力強さを感じていたし、自信を持って乗れました。あとは順調にいってくれれば…」(石崎駿騎手)。千七=1分47秒1も今の馬場を思うと合格点。記者レース前、上位拮抗、群雄割拠…などと書いたが、今日の結果をそのままとれば、ただ1頭別次元という見方が自然かもしれない。
ジェネラルルグラントは道営3勝、当地重賞「サンライズC」を制し、続く「北海道2歳優駿」→「全日本2歳優駿」5、2着。道営時、ビデオ観戦の印象は逃げにこだわる印象だったが、以後濃密なキャリアを積み、心身両面で充実している。「能力がとにかく高い。前走川崎GI・2着でNAR“最優秀2歳馬”ももらっているし、いい結果が出せてホッとした。距離、展開も含め、現時点では注文がつかないと思っている」(出川克巳調教師)。以前も書いたことだが、出川克巳師は“馬優先主義”の慎重居士。次走「馬の様子をみながら周囲と相談…」とコメントしたが、羽田盃→東京ダービーはほぼ確定。あとは、今回負かした成長株と改めての勝負になる。
2着アウトジェネラルは、道中厳しい位置(向正面・7番手)から直線だけで連対した。末脚強烈。同馬は道営時、ジェネラルグラントを一つ超える評価があり、次走大逆転があって不思議ない。期待したソルテは好枠(2番枠)から終始隙のないレースぶり。直線入口、勝ち馬ジェネラルの外に並んだものの、そこからが案外だった。ただニューイヤーC(9馬身差圧勝)以降ひと息入れて13キロ増。エクスキューズは当然ある。逆にインサイドザパークは善戦。不安があった右回り(大井千七)善戦は次につながる。成長株に推したオーネットエースは好位からジリ貧。しばらく経験が必要か。