◆東京スプリント展望
(4月10日 大井 サラ4歳以上 別定 JpnIII 1200m)
「東京スプリント」は、平成21年新設されたJpnIII。タイトル“第24回”とあるのは、同時期の重賞「東京シティ盃」を累計したものだが、シティ盃の場合、南関東馬限定SIIIで、しかも16年間、距離1400mで行なわれてきた。だからこの“24回”は実質上意味がなく、むしろ対ファン(とりわけビギナーの方)を考えると、大きな誤解を生じさせてしまう危惧もある。条件、距離が異なり、レース名さえ違っているのに、ただ“年次”を加算させていくというナンセンス。どこかで区切りをつけてほしい…記者的には毎年同じことが気になっている。
平成21年
(1)ゼンノパルテノン 内田博 1分11秒6 5人気 好位伸
(2)ガブリン 藤田 3/4 3人気 中位伸
(3)フジノウェーブ 御神本 首 1人気 好位儘
逃げた馬=ポートジェネラル…4着
22年
(1)スーニ 川田 1分12秒2 1人気 中位伸
(2)フジノウェーブ 戸崎 首 2人気 中位伸
(3)ミリオンディスク 蛯名 1/2 4人気 中位詰
逃げた馬=ポートジェネラル…4着
23年
(1)セレスハント 福永 1分10秒8 8人気 好位伸
(2)ティアップワイルド 石橋脩 1/2 1人気 好位伸
(3)コアレスピューマ 本橋 頭 12人気 先行粘
逃げた馬=ジーエスライカー…4着
24年
(1)セイクリムズン 岩田 1分10秒5 1人気 中位伸
(2)フジノウェーブ 坂井 11/2 5人気 中位伸
(3)スターボード 戸崎 2 7人気 逃粘る
逃げた馬=スターボード…3着
(1)…波乱含み。1番人気=3、1、2、1着、2番人気=5、2、5、11着。3番人気=2、8、4、7着。1人気は優秀だが、○▲級の2~4人気が頼りない。一昨年は1人気2着で、馬単196倍、3連単13555倍。
(2)…JRA優勢。1着=JJJJ、2着=J大J大、3着=大J船船。JRA優勢だが絶対ではない。年齢別では6~7歳、熟年層が活躍する傾向。牝馬はここまで[0-0-0-3]とふるわない。
(3)…差しタイプ。逃げた馬=4、4、4、3着。ひと息粘り切れないケースが目立ち、好位~中団からの差しが主流。ステップではフェブラリーS→黒船賞組が強く、22年スーニ、24年セイクリムズンが優勝。
※データ推奨馬
◎セレスハント…円熟の8歳馬。一昨年このレースを中団からしぶとい末脚で制している。スプリンターながら速さより力のタイプで大井向き。最も手の合う福永祐一J。今回人気の盲点になりそうだ。
☆ ☆
◎セイクリムズン 57岩田
○ラブミーチャン 55戸崎
▲セレスハント 56福永
△トウショウカズン 56川田
△ティアップワイルド 56石橋脩
△スターボード 56内田博
△ナイキマドリード 57川島
ヤサカファイン 56坂井
コアレスピューマ 56本橋
ミヤサンキューティ 54真島
サマーウインド 58武豊
セイクリムズンは“頼れる主役”という言葉が当たる。前走高知「黒船賞」連覇で統一G8勝目。道中中団でじっくり折り合い、直線狭いインをこじあけるように伸び切った。何とも逞しく、芯の強い勝ちっぷり。体調さえ万全なら、あらゆる流れ、展開に対応するセンスとガッツ。歴代ダート短距離路線、その王者というならノポジャック(地方G8勝)によく似たタイプか。昨年、現実に黒船賞→東京スプリント→かきつばた記念→さきたま杯、地方G4連破を楽々と達成した。春~初夏、ピークを迎える体質と納得する。すべての面で死角がない。
ラブミーチャンは言わずもがな、進化する怪物牝馬。体調、展開、コース適性、成績に微妙な揺れはあるものの、昨秋GII「東京盃」完勝など、傑出したスピード能力は論を待たない。今回戸崎Jとのコンビももちろん魅力。さらに新境地を開く期待も浮かぶ。セレスハント、トウショウカズン、ティアップワイルド、JRA3頭の比較は正直迷う。絶対能力、短距離適性、3頭いずれも一級品だが、対戦成績となると状況しだいで勝ったり負けたり。中でセレスハントは大井向き、鞍上との相性で、今回買って妙味と判断した。昨年3着スターボードも、鞍上内田博Jを合わせれば、べつだん格下感もない。超ハイペース、もつれる流れでナイキマドリード、ヤサカファインが、2~3着候補。前走大逃げで失速サマーウインドは往年の力がない。
◆マリーンC回顧
(4月3日 船橋 サラ4歳以上牝馬 別定 JpnIII 1600m不良)
◎(1)メーデイア 1分39秒9
▲(2)レッドクラウディア 3
○(3)スティールパス 2
△(4)マニエリスム 1
(5)トウホクビジン 首
………………
△(6)アドマイヤインディ
△(7)オーシャンフリート
△(8)エミーズパラダイス
単170円 馬複380円 馬単650円 3連複300円 3連単1240円
メーデイアが期待通りの強さで牝馬G2連勝を達成した。1000m通過60秒2のマイル戦、前走(TCK女王盃=大井1800m)ほど手綱に余裕はなかったが、それでも道中3番手キープから、直線外めを真一文字に突き抜ける完璧な勝ちっぷり。1600m=1分39秒9も、今の馬場を考えると(昨年ミラクルレジェンド=重40秒3)合格点以上がつく。「イメージ通りの競馬ができた。もともと絶対的な能力が相当高い。地方のダートが合っているし、今後もっと大きなタイトルが狙えます」(浜中騎手)。折りしも今春ミラクルレジェンド引退、何とも素晴らしいタイミングで“新女王”が誕生した。
メーデイアはダート通算[6-1-1-2]。馬格にも恵まれた(490キロ台)本格派の先行型で、常に正攻法、力に任せた競馬ができる。「状態には自信があった。今日は初コース千六が課題だったが、この内容なら大丈夫。今後がいよいよ楽しみです」(笹田調教師)。父キングヘイロー、しかし同馬の場合、その産駒に多い“力み”“気難しさ”がみられず、パドック、返し馬などの雰囲気もおっとりしている。「大目標は秋のJBCレディスクラシック(今年は金沢1500m)」と付け加えられたが、おそらく輸送や初コース、まったく動じないタイプだろう。あとは今の好状態をどうキープしていくか。
2着レッドクラウディアは、今回意識的な待機策。好位のインで脚をタメ、直線馬群を割って伸びてきた。前走の敗戦(TCK女王盃・逃げて失速)を糧にした内田博Jの好騎乗。ただ対メーデイアを思うと明らかに線が細い印象で、今後逆転には大きなパワーアップが必要になってくる。3着スティールパスは中団から勢いよく大外へ持ち出し、しかし直線半ばで脚が止まった。重い馬場の影響か、あるいは距離が微妙に長いか。ただ記者個人的には、鞍上(福永J)が自信満々に乗りすぎた…という感想もある。流れ自体はハイペースといってよく、マニエリスム、トウホクビジン、差し馬の入着は納得だろう。アドマイヤインディは調子自体が落ちているか、活気のない競馬で終わった。エミーズパラダイスは2番手からいったん先頭に立ったものの終いバッタリ。パワーとガッツ、いうところの総合力に依然課題を残している。