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「運を作り出すのは自分」松山騎手ご指名対談〜藤岡佑介騎手編(2)

  • 2013年04月10日(水) 18時00分
 藤岡佑介騎手をゲストに迎えての、ご指名対談第2回。佑介騎手はなぜ2年目に、ローカルから中央へ主戦場を切り替えることができたのか──その決断の陰には、アノ馬の存在がありました。自身の経験談をベースに、佑介騎手が悩める松山騎手を導きます!

■弘平ちゃんは、ダメになってしまうかと思った

松山「とにかく目立たなくちゃ!」

松山「とにかく目立たなくちゃ!」

──佑介さんも、ローカルか中央か、揺らいだ時期があったとおっしゃっていましたが、気持ちを切り替えた時期があったわけですよね? きっかけはなんだったんですか?

佑介 やっぱり、GIに向かっていくような馬は、中央場所で使うことが多いし、GIに向けてのステップレースは、絶対に主要4場で組まれていますよね。そのときちょうど、僕にはスーパーホーネットがいて、GIを目指していたので、コースの特徴や馬場の傾向、開催の流れなどを読むためにも、中央で乗っておくべきだと思ったんです。弘平ちゃんにとってのドリームバレンチノのような存在だったから。

松山 やっぱり、そういう馬の存在って大きいですよね。

佑介 そういう馬って、いいタイミングでバチッと勝ってくれたりするんだよ。ホーネットもそうだったんだけど、勝ち星が途切れて苦しくなったときに、トライアルでビシッと強い勝ち方をしてくれたりね。それでまた、自分でもやれるかもしれないって自信を取り戻したり、それによってリズムも良くなったり。結局、GIを勝てなかったけど、すごく精神的な支えになった。弘平ちゃんには今、バレンチノがいるでしょ? だから、そういう意味でも、(中央をメインにする)いいタイミングだと思うけどな。ローカルでそういう馬に出会える可能性は、どうしても低いからね。

松山 そうですよね。僕の場合、3年目はローカルじゃないと乗り馬すら集まらなかったので、選択肢がなかったんですよ。4年目に入って、あと3カ月で減量がなくなるっていうときに、“とにかく目立たなくちゃ!”っていう気持ちがすごく強くなって、それでずっとローカルに行っていたんです。中央では確実に埋もれてしまいますからね。それで去年、ローカルであれだけ勝たせてもらって、目立つことができた。だから今があると思っていますし、ホントにこれからだなって。

佑介 ローカルだろうと何だろうと、実際にこれだけ結果を出せたっていうのはすごいと思うよ。自信を持っていいと思う。目立ちたい、きっかけを掴みたいと思ってローカルに行ったとしても、みんながみんな、思い通りに勝てるものではないから。正直言って、2、3年目のころは、“弘平ちゃん、このままダメになっちゃうかな…”と思ってたよ。自分でもそう思ってたでしょ?

松山 はい。あのころは、本当にもうダメだと思いました。減量がなくなったら、僕、終わるな…って。

佑介 そうだよな。だから、ここ数年でグンと伸びた若手のなかで、弘平ちゃんが一番ビックリしたもん。(川須)栄彦とかは、性格的にというか、なんとなく伸びてきそうな雰囲気はあったけど、弘平ちゃんはおとなしいし、若いのに変に空気を読んじゃうところがあるから、この先、大丈夫かなぁって。

──佑介さんから見て、松山くんの飛躍のきっかけはなんだったと思いますか? 

佑介 結局、究極まで追い込まれて、もうやらなきゃしょうがない! っていう気持ちになったことが一番だと思います。あと、いいところで重賞も勝ったし。あのスマートギアでの1勝(2012年・中日新聞杯)は、大きかったんじゃない?

松山 あの1勝は大きかったです。あの馬にあのタイミングで巡り会えたのは、本当にラッキーでした。

佑介 運も実力のうちっていうけど、本当にそうだと思うよ。運を引き寄せられる環境にあるかどうかが大事で、それを作るのは自分だからね。こうして勝ち星の実績もできたし、ドリームバレンチノっていうGIに向かっていける馬もいる。あとは時期として、秋の開催から中央にシフトするのがベストだと思うな。

松山 秋ですか。

佑介「運も実力のうちだと思うよ」

佑介「運も実力のうちだと思うよ」

佑介 そう。なぜなら、夏の小倉からの流れがあるから。9月は2場しかないから、阪神で乗るわけでしょ? その阪神で使う馬たちがどこからくるのかというと、夏の小倉から連戦してくる馬が多いわけだよ。となると、やっぱり小倉にいたジョッキーが有利で。俺たち北海道組にとって、あの開催ってすごくつらいんだよ。帰ってきてすぐに声をかけてもらえるのは、一部のトップジョッキーだけで、大半は、まったく騎乗馬の流れがないなかで始まるから。そういう意味では、弘平ちゃんは小倉だから、自然にシフトできるんじゃないかなぁって思うけどな。

松山 なるほど。それ以前に、春の福島と新潟に行くべきかどうか、ちょっと迷っていて。エージェントさんとも、中央で乗ろうか…っていう話はしているんですけどね。やっぱり、中京でいい競馬をしていた馬たちは、みんな福島に行っちゃうんですよね。福島に行ったら勝てそうなんだけど、ここは我慢するところなのかなぁと思ったり、でももったいないなぁっていう気持ちもあったり。

佑介 わかる、わかる。それはすごく気持ちが揺れるところだよな。俺も同じ経験があるからわかるけど、たとえば中央を選んだ場合、自分が中央で乗る馬よりも、自分が乗っていた馬たちが、向こう(ローカル)でどれくらい人気しているかのほうが気になったり。新聞を見て、「これ、絶対に勝つやん!」みたいな(笑)。

松山 そうなんですよ〜。最近は、ホントにいい馬ばかり乗せていただいてるので、それが全部なくなると思うと…、まぁ仕方がないことなんですけどね。

佑介 ローカルで自分が乗っていた馬が次も勝ちそうだとしても、そのぶんこっち(中央)で勝ってやる! くらいの気持ちになれればいいけどね。しばらくは迷うと思うよ。揺れまくるよ(笑)。

松山 中央にきたはいいけど勝てなくて、で、またローカルに戻って…とか、中途半端になるのが一番よくないですよね。

佑介 その通り。そこで戻ったりしていると、結局、ローカルでも中央でも勝てなくなるよ。

【次回のキシュトーーク! は?】
藤岡佑介騎手×松山騎手のご指名対談第3回。この対談が収録されたのは高松宮記念の直前で、松山騎手がおもむろにレースへのプレッシャーを語り始めました。すでに結果が出ているレースではありますが、次回はあえて、大一番を目前に控えた松山騎手のリアルな心境と、佑介騎手がスーパーホーネットで経験したGI秘話をお届けします。

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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