◆クラウンカップ展望
(4月17日 川崎 サラ3歳 別定 南関東SIII 1600m)
「クラウンカップ」は平成10年、準重賞からSIII昇格。以後10~12年=2100m、13~17年=2000m、18年に現在の1600mに条件が変更された。開催日程の関係上、そのポジションは年々動くが、今年は羽田盃がすぐ来週の4月24日。それに対応した形で「東京ダービーTR=1~2着馬に優先出走権」として行なわれる。ただ、言わずもがなクラシックTRは競馬根幹に関わる大事なレース。時季、条件をコロコロ変えては意味がない。南関東4場、全体を見据え1つになった番組(日程)作りを改めて切望する。記者私見を書けば、このレースは距離2000~2100に確定してほしいと思う。京浜盃(1700m)がある以上、ここで再びマイル戦は正直先につながらない。実際クラウンC優勝馬から、14年キングセイバー、21年サイレントスタメンと、2頭のダービーウィナーが出現した。クラウンカップ=東京ダービーTR。そうファンが認識してこそ、重賞競走の価値と個性が出てくる…そんな気がする。
(1)…波乱含み。1番人気[2-3-2-3]は水準ともいえるが、3歳他重賞と較べ勝率はかなり低い。2番人気[1-1-2-6]、3番人気[2-0-3-5]。昨年は1→6人気の決着で馬単2390円。
(2)…地元優勢。ホーム川崎=7勝、2着6回、3着5回と断然優勢。以下、船橋=2勝、2着3回、3着5回、大井=1勝、2着1回。出走頭数ももちろん多いが、“ここに賭ける意欲”で地元勢が大きくリード。
(3)…成長株。過去10年、重賞初挑戦の馬が6勝、2着4回。京浜盃出走馬も[2-3-1-11]と悪くはないが、あえて選択なら上昇馬の方か。牝馬[1-0-0-14]。一昨年ナターレ制覇はあるものの確率は低い。
(4)…逃げ=4、先行=5、差し=7、追込=4。例年マイル戦らしく厳しい流れだが、それでも好位~中団からの捲りが主流。ジョッキーでは16年ブルーローレンス、23年ナターレで2勝をあげた的場文騎手。
※データ推奨馬
◎ヴィクトリーケルプ…川崎所属。デビューから[4-2-2-1]のクロフネ産駒。反応鋭い先行力が特徴で、前走京浜盃大敗(11着)も道中の行き脚など悪くなかった。何より的場文騎手(全4勝)と呼吸のよさに魅力を感じる。
☆ ☆
◎リコーハラマ 55柏木
○アメイジア 55吉原
▲オベロンホワイト 55高橋利
△ヴェリーブライト 55真島
△キタサンオーゴン 55石崎駿
△スマートパンドラ 53今野
△エスケイロード 55張田
ヴィクトリーケルプ 55的場文
ヴィジタンディーヌ 53御神本
トーセンハクオウ 55内田利
ひとこと大激戦になった。京浜盃敗退組VS成長株…は、例年通りのパターンだが、京浜盃組はどう巻き返すのか半信半疑、対して成長株組もそれぞれ魅力(セールスポイント)はあるものの、実績不足で計算できない。そもそも1番人気がどれになるか。前述通り次(クラシック)につながると思えば、なおさら予想は迷わされる。
◎リコーハラマは前2走、雲取賞3着、京浜盃6着。結果ひと息ながらケレン味ない先行策で充実ぶりをアピールした。アジュディケーティング×カコイーシーズ。絵に描いたような南関東クラシック血統で、馬格(510キロ台)、走法にも凄みがある。今回初コース、左回りだが、デキのよさ、素直な気性からは反応よく動けるはず。相手を見ながら乗れる外枠(11番)も今回プラス。素質と勢いを重視した。
アメイジアは出走14頭中、実績No.1。平和賞、ニューイヤーCと2、2着。それも先行差し、自在に動いて結果を出した。前走京浜盃大敗は力関係以前に出遅れが響いたもの。五分に出て流れに乗れれば地力とパワーが生きてくる。▲オベロンホワイトも昨秋準重賞・ゴールドジュニアー快勝など能力互角。スウェプトオーバーボード×アグネスタキオンらしい切れがあり、本来混戦向きのイメージが浮かぶ。
以下、ハイセイコー記念2着ヴェリイブライト、同5着キタサンオーゴン、さらにエスケイロードと、差しのきくタイプに△を回した。JRAから転入スマートパンドラも血統魅力(半兄アジュディミツオー)だが、まだ新馬勝ちだけの実績でキャリア2戦。同パターンのヴィジタンディーヌとともに、今回評価が難しい。
◆東京スプリント回顧
(4月10日 大井 サラ4歳以上 別定 JpnIII 1200m良)
○(1)ラブミーチャン 1分11秒7
◎(2)セイクリムズン 1/2
▲(3)セレスハント 1
△(4)ティアップワイルド 11/4
△(5)トウショウカズン 1/2
………………
(6)ミヤサンキューティ
(8)サマーウインド
△(10)ナイキマドリード
△(16)スターボード
単690円 馬複570円 馬単1710円 3連複2920円 3連単15750円
ラブミーチャンが快勝した。道中外め4番手。スピード感あふれる行き脚、しびれるような手応えなど、さながら昨秋「東京盃」のVTRで、直線あと1F、ほぼ持ったまま突き抜けた。馬混みを捌いたセイクリムズンが最後1/2差まで迫ったものの、勝ちっぷり自体パーフェクトといえるだろう。「内の先行勢を見ながら理想的なレースができた。描いていた通り素晴らしい馬。体全体を使ってしなやかに走る」(戸崎圭太騎手)。馬自身の強さ、大井千ニ適性はもちろん、それを100%引き出す見事なアシスト。人馬一体とはこのことか――記者個人的には改めて痛感した。
ともあれラブミーチャンの“功績”をおさらいする。通算30戦14勝、うち交流Gが4勝、「兵庫ジュニアGP」「全日本2歳優駿」「東京盃」、そして今回「東京スプリント」。微妙に揺れる体調、デリケートな気性は牝馬ゆえだが、とにかくそのスピード能力は“天才”の言葉がそのまま当たる。「前走(高知・黒船賞6着)馬体が減っていたし、正直万全とは言い切れなかった。それでいてこういう結果を出してくれる。鞍上の腕にも感嘆しました」(柳江仁調教師)。もっとも陣営スタッフの、彼女にかける期待と夢、気づかいはなまなかではないらしく、柳江師はこう続けた。「レースに間に合うぎりぎりの時刻に厩舎(笠松)を出発した。(大井)競馬場について待ち時間が長いと、エネルギーを放出してしまう。そういう馬です」。華やか、鮮やかなドラマを創った、舞台裏の見えない力。今夜の場合、それも大きい。
セイクリムズン2着。外枠もあって前半モタつき、ようやくエンジンかかったところがゴールだった。メンバー中上がり最速36秒7。岩田J「内容は悪くないけど、1400~1600がベスト」のコメント通りでいいだろう。昨年7馬身差圧勝「さきたま杯=5月29日・浦和」で仕切り直しになる。3着セレスハント、4着ティアップワイルドは道中ラブミーチャンと前後する好位を進み、ほぼ力を出し切ったか。逆にトウショウカズンはスタートひと息、。直線いい脚をみせただけに少し悔しい。南関東勢で収穫があったと思えるのはミヤサンキューティ。大外枠(16番)で後手を踏み、それでいて気持ちを切らさず、0.9秒差6着なら次走につながる。