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若き帝王

  • 2003年06月23日(月) 15時10分
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 主役の明確な「帝王賞」になった。武豊・ゴールドアリュールの単勝オッズは、当日どんな数字に落ち着くだろうか。JRA交流に移行して過去17年、単100円台に推された馬は5頭。うち3頭が勝っている。平成8年ホクトベガ(1.3倍)、10年アブクマポーロ(1.2倍)、11年メイセイオペラ(1.6倍)。逆に圧倒的人気で負けた馬といえば、9年バトルライン3着(1.8倍)、14年トーシンブリザード8着(1.9倍)。ただしダートのチャンピオンロードは、いったん確定した力関係は容易に崩れないというのが定説で、しかもアリュールの場合、JRA地方問わず統一Gの王道を一貫歩み、厳しいレースを重ねながら、終始納得のいく結果を出してきた。南関身びいき、推理より感情が先行する記者としても、さすがにここでアリュールにあえて逆らおうとは思わない。

 帝王賞(6月25日、サラ4歳上選定馬、定量、2000m)

◎ゴールドアリュール (57武豊)
○ベルモントアクター (57石崎隆)
▲ビワシンセイキ   (57横山典)
△ネームヴァリュー  (55佐藤隆)
△リージェントブラフ (57吉田豊)
△マルカセンリョウ  (57上松頼)
 マンボツイスト   (57デムーロ)
 スナークレイアース (57和田竜)

 ゴールドアリュールの「王道」は、昨春日本ダービー5着、あわやの見せ場を作った時点で始まっている。強行軍ながら逡巡なく大井「JDダービー」に参戦し、期待通りの圧勝劇。以後岩手「ダービーGP」→中山「JCダート」→大井「東京大賞典」、さらに中山「フェブラリーS」。これだけ順風満帆、全国を縦横無尽に駆け抜けた馬も珍しい。並み外れた基礎体力。唯一負けたJCダートも、今思えば貴重な経験、本格化への隠し味だったといえるだろう。イーグルカフェ以下を持ったまま8馬身ちぎった前走京都「アンタレスS」。多分に話題先行、人気先行…少し皮肉な目で同馬を見ていた記者も、正直なところ震撼した。性別も年齢も雰囲気もまったく違うが、こと強さという点ではかつてのホクトベガに匹敵する。

 アリュールには脱帽として、馬券的にはこの相手をどう絞るか。当日のオッズをみたいが、現時点ではビワシンセイキを押さえに、ベルモントアクター、ネームヴァリューへ2点勝負と考えている。アクターは前走かしわ記念、脚を余した感じの5着で、今のデキなら右回り2000mで前進可能。ネームヴァリューも前走大井記念圧勝でまだまだ昇り目をイメージさせた。型にハマった競馬しかできないリージェントブラフは、もう善戦マンの評価でいいだろう。むしろ機敏に動けて、持続力もありそうなのはマルカセンリョウ。名古屋大賞典でマイネルブライアンを振り切ったパワーに連穴の資格が浮かぶ。

       ☆       ☆       ☆

 一週遅れになるが、6月16日川崎「関東オークス」。JRAレマーズガールの圧勝で、地元ディーエスメイドン、モエギノマズルが2、3着という結果だった。武豊・レマーズは、道中ハイペースの2番手を進み、そのまま自然流に抜け出す力の違う勝ちっぷり。前走ダートの出世レース「端午S」、タマモリッチの2着だから終わってみれば当然ともいえるが、パドックから一頭別次元の威圧感があり、前3年プリエミネンス、マイニングレディ、サクラヴィクトリアあたりと較べても、馬自身の持つ雰囲気がいかにも堂々として頼もしい。2100m2分15秒6。雨上がりの高速馬場ながら、交流移行後4年中文句なく?1。陣営はレース後、7月8日大井「JDダービー」挑戦もほのめかした。デピュティミニスター系の外国産馬。少なくともイメージは牡馬相手でも見劣りしない。

 ディーエスメイドンは3馬身差、さらに2馬身開いてモエギノマズル。それでも2頭とも正攻法で、能力と個性は十分にアピールした。今回はレマーズが強すぎたが、3歳世代全体を見渡して、例えばフリーハンデ、それなりの位置にはランクできる。対して、JRAウシュアイワ、ジャズカーニバル、さらに東海ダイコーマリナは実績からみて意外な凡走。コースの違い、環境の変化。こちらは逆に3歳牝馬の難しさ、不安定さをそのまま暴露する結果となった。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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