母はフジキセキの全妹、良血のキンカメ産駒サトノバリアント
【2歳】
●タカラジェニファ(牝 美浦・伊藤正徳 父ヨハネスブルグ、母ホワイトピクシイ)
父ヨハネスブルグは2歳時に愛仏英米のG1を制し、欧・米双方の2歳チャンピオンに輝いた早熟の名馬。種牡馬としても2歳戦に強く、とくに新馬戦の成績は圧倒的(連対率53%)。今年の新種牡馬のなかでも2歳戦をリードするのはこの種牡馬ではないかと思われる。血統登録頭数も84頭と十分。本馬は、外国産馬として日本で走った代表産駒ケイアイスイジンと同じく母方にリファールを持つ。母は「ホワイトマズル×ノーザンテースト×マリーノ」と重厚なタイプで、1200〜1600mで活躍するケースが多い父の産駒のなかでも、比較的距離をこなすタイプに出そうだ。1800mぐらいなら問題ないだろう。ローカル向きで、渋った馬場も得意。
●サトノバリアント(牡 栗東・安田隆行 父キングカメハメハ、母ミルフィオリ)
母ミルフィオリは現役時代4勝。名種牡馬フジキセキの全妹にあたる。2代母ミルレーサーは息子のフジキセキだけでなく、本馬の母ミルフィオリ、シャイニンレーサー、スターリーロマンスなど、娘たちが繁殖牝馬として優れた成績を挙げており、名牝系として発展しそうな雰囲気がある。母馬としてのミルフィオリは初子のミルドリーム(父シンボリクリスエス)がOPクラスまで出世しており、G1を含めて重賞にも幾度か出走している。シンボリクリスエス産駒にしては鋭い決め手を持っているのがセールスポイントで、こうした特長を安定的に伝えられるなら母馬としてのミルフィオリは前途洋々だ。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」は、ローズキングダム(母ローズバド)、トゥザグローリー(母トゥザヴィクトリー)、ソリタリーキング(母スカーレットレディ)、コディーノ(母ハッピーパス)など、良血牝馬の子が素直に走る傾向がある。フジキセキの全妹で繁殖牝馬としても非凡な才能が垣間見えるミルフィオリはこの条件にあてはまる。芝向きの中距離タイプとして楽しみな存在だ。
●トーセンカフェ(牡 美浦・上原博之 父オペラハウス、母スナークサクセス)
昨年夏に行われた「セレクションセール2012」で、上から5番目の価格となる3045万円(税込)で島川隆哉氏に落札された。テイエムアンコール(10年大阪杯-GII)、エイシンサクセス(OP)の全弟で、オペラハウス以外から誕生したそれ以外の兄姉もすべて勝ち上がっている。母スナークサクセスの繁殖牝馬としての能力はかなり高い。セリの映像を見たかぎりでは馬体もしっかりしており大人びた印象だった。高い確率で走ってくるだろう。
【3歳】
●サクラメガフレア(牝 美浦・田島俊明 父グラスワンダー、母サクラメガ)
全兄サクラメガワンダー(父グラスワンダー)は、金鯱賞(GII)、鳴尾記念(GIII)[2回]、ラジオたんぱ杯2歳S(GIII)の勝ち馬。母サクラメガは、GIを勝ったサクラチトセオー、サクラキャンドルの半妹にあたる良血。サクラメガの半姉の子には今年のフラワーC(GIII)を勝ったサクラプレジールがいる。勢いのある一族だ。「グラスワンダー×サンデーサイレンス」はジャパンC(GI)を勝ったスクリーンヒーローなど多くの活躍馬がいる。将来、繁殖牝馬としても楽しみな存在だ。
●ルベーゼドランジェ(牝 栗東・小崎憲 父ゴールドアリュール、母シンコウエンジェル)
母シンコウエンジェルは繁殖牝馬として優れた能力の持ち主で、これまでにクィーンズバーン(父スペシャルウィーク/12年阪神牝馬S-GII)、ワイルドソルジャー(父ブロッコ/04年名古屋グランプリ-GII)と2頭の重賞勝ち馬を送り出し、ダノンカモン(父シンボリクリスエス)は重賞こそ勝っていないものの、南部杯(GI)など5つの重賞で2着となったダート巧者。ゴールドアリュールを父に持つ本馬はダートのほうが良さそうなタイプだが、牝馬なので芝でもそれなりにやれるだろう。