
カメラマンたち

BTC見学会
今年デビューする2歳馬たちの産地馬体検査がスタートした。4月16日の浦河を皮切りに、静内(17日)、早来(18日、19日)と4日間連続で約480頭が検査を受ける。例年ならば4日間で700頭近くもいるのだが、今年は一気にその数が減ってしまった。
今年はスタンド改修のために札幌開催がなくなり、函館のみになったことや、ダービー直後から中央場所でも2歳戦が始まることもあって早々に本州方面の育成牧場へ移動している2歳馬が少なくないことなどが理由だろうか。
とはいえ、まとまった頭数の2歳馬が一堂に会するこの検査は、2歳馬を取材する側にとってはまたとないチャンスとなることから、カメラマンやライター、スポーツ紙記者などが集まってきてなかなかの賑わいである。
16日の浦河はBTCを会場に、午後0時より始まった。600mダートコースを使用し、2か所に分かれた入口から関東と関西とに分けて各育成牧場の2歳馬が入ってくる。検査は血統書に記載されている毛色や特徴を実馬と照合し、タテガミ内部に埋め込まれたマイクロチップデータをセンサー確認して採血するところまでが一連の流れだ。検査を終えた2歳馬たちが出て来るのを待って、取材陣が撮影をお願いし、カメラマンの構える場所で馬を静止させて立たせてもらう。それと並行して、育成牧場の責任者などからコメントをもらうチームもいる。
浦河では計90頭ほどが午後3時までの間に次々にやってきて検査を終えた。2歳馬リストは予めJRAから発表されている。それには「申請馬名(つまり競走馬名)」「父、母、母の父」「性別、毛色」「調教師名、馬主名」「繋養牧場名」が記載されており、通し番号が付されている。
しかし、番号順に検査を受けるわけではなく、浦河の場合はそれぞれの育成牧場別に受験時間を指定されていること、そして配布されているリストが東西の調教師別五十音順になっているため、バラバラに馬がやってくることになる。各馬にはヒップナンバーが付けられているが、間違いがあってはならないため、カメラマンたちは番号をボードやノートにマジックなどで大書されたものを1駒撮ってから、実馬を撮影することを繰り返す。
浦河は幸いにも晴れのち曇りと天候に恵まれたので助かったが、2日目の静内はどんよりと重い雲が垂れこめ、検査の途中から小雨が降り出すあいにくのコンディションとなった。また、この時期の北海道は、4月半ばとはいえまだまだ寒く、雨などに祟られると一気に体感温度が低下する。雨の中をじっと撮り続けるのはなかなか大変な作業だ。
もっとも、一番大変なのは育成牧場のスタッフであろう。静内は北海道市場が会場である。浦河は多くの馬にとって見慣れた場所での検査となることから比較的どの馬も大人しいが、静内の場合は、普段来ることのない場所での検査となり、馬運車より降ろされた瞬間から目つきが一変する2歳馬が少なくなかった。興奮して激しく暴れる馬もいれば、じっと立っていられない馬もいる。まだまだデビュー前の2歳馬は子供っぽい。

産地馬体検査立ち写真

番号を記載したボード
明日17日と明後日18日は、早来にて計230頭が検査を受ける予定になっている。社台グループの各牧場から名血馬が続々と登場することになっており、さらに取材陣は増えることになるだろう。なお、16日の浦河では、今回初めて、東京方面から来場する取材者を対象に、施設見学会を企画した。当初5~6人程度も集まったら上出来だと聞いていたが、いざ蓋を開けてみたら15人もの人々が集合した。早川聡次長の案内でマイクロバスに乗り込み、約1時間にわたって場内を見学した。「まずマスコミの皆さんにこの施設の現況を理解して頂いて、どこかの媒体で取り上げて頂ければ」というのがBTC側の希望である。すぐに宣伝効果は表れないだろうが、こうした地道な努力の積み重ねが大切なのだろう。
思えば、産地馬体検査は、おそらく年間を通じて最も多くの取材陣が訪れる機会となる。それは静内とて同様で、セレクションセールの時でもほんの数えるほどしか取材者はいないのだが、産地馬体検査ではざっと20人以上が会場入りしている。
こうした機会を利用して静内でも何かできそうな気がする。