NHKマイルC、京都新聞杯、新潟大賞典など追い切り診断
【栗東トラックマン情報】
◆日曜東京11R・NHKマイルC(GI)
・エーシントップ
1週前の追い切りの坂路で蛇行するシーンがあったので、そのあたりを騎乗していた田中克典調教助手に確認したところ「1頭だと遊ぶようなところがあるので、そんな面が出てしまいました。ただ、それでもラスト1F12.5秒でしたし、何も心配するところはありませんよ」とのことだった。
そして最終追い切り。坂路で単走だったが、3F目に11.8秒を計測し、4F51.4〜1F12.1秒をマーク。追われてはいたものの「まだ余力があった」とは騎乗した同助手。西園正都調教師も「NHKマイルCをピークに仕上げた」ということなので、そのあたり、陣営の意図する仕上げが、追い切り時計にもはっきりと表れている。
・レッドアリオン
前走から中3週。通常の橋口弘次郎厩舎なら、調教欄に掲載される追い切り本数は4本だが、この馬の場合はそれ以上の本数となっている。普段の坂路でのキャンターが時計になっているから、という理由だが、それだけパワーアップしているということだろう。
最終追い切りも溢れるパワーで坂路を駆け上がる。単走だったが、坂路4F53.5秒。ラストは1F12.7秒だったが、楽に走って、この時計という感じ。これ以上速いラップも踏めない印象だったが、逆に、同じラップでどこまでも行きそうなタフさもある。状態に関しては文句なし。
・コパノリチャード
前走皐月賞では、逃げてレースレコードを演出。その反動を心配したこの中間だったが、そんな素振りは全く見せていないし、レースの9日後には坂路で15-15を開始している。
最終追い切りは福永祐一騎手が跨って、坂路での併せ馬だったが、ラスト2F地点で左右に蛇行。これはバテているからではなく、走りたい気持ちが前に出過ぎて、それをジョッキーがなだめてのこと。ジョッキーから促されると、真っ直ぐ駆け上がって、併せた相手を置き去り。4F53.3〜1F12.4秒は文句なし。スピード能力を全開できる、この距離なら本来の逃げが見られるだろう。
◆土曜京都11R・京都新聞杯(GII)
・リグヴェーダ
前走後は吉澤ステーブルWESTへ放牧へ出され、栗東へ帰厩したのが、4月17日。そこから坂路オンリーで仕上げられて、最終追い切りも坂路での併せ馬になった。
ジョーヴルエールを追走する内容だったが、舌を出しながら、楽に前に並びかけると、追い比べで併走したままゴール。結局先着することはできなかったが、4F51.9秒は優秀な時計。追い切り内容に関しては、特に問題ないものの、これまでの3戦はすべて、CW追い切りを併用していたので、そのあたりの影響がどの程度出るか気になるところ。
◆日曜新潟11R・新潟大賞典(GIII)
・アドマイヤタイシ
重賞で2着が続くこと4戦。堅実さの反面、勝ち切れない難しさはあるものの、この中間も調教内容からは、決して隙のない仕上げになっている。
前走後はノーザンFしがらきに放牧へ出されているが、4月2日に帰厩してから、翌週には坂路で15-15を消化。リズムよく、週2本の追い切りをこなして、最終追い切りは坂路で単走。時計は4F53.0〜1F12.8秒と速くないが、真っ直ぐに駆け上がってくるフットワークは中身がしっかりと出来ている証拠。ここを勝てるというほどの、強烈な調教からの推し材料はないものの、今回も崩れるようなことはないはず。
【美浦トラックマン情報】
◆日曜東京11R・NHKマイルC(GI)
・ゴットフリート
朝日杯(3着)が出遅れ。前走ニュージーランドT(9着)は発馬躓きと、中山の1600m2戦が不本意な結果となっているが、左回り1600mは新馬で一気の差し切り勝ち(上がり3F32秒6)があり、東京競馬場の長い直線・幅員があるコースは大きな味方となるはず。中間は坂路とウッド調教を交えて入念な乗り込み。1日は南ウッドに入って古馬500万チャペルプリンセスを1秒6追走の形から、結局は半馬身程届かず遅れたが、これだけハードに追えること馬体がパンとしてきた証。太め感なくキッチリ仕上がっている。共同通信杯2着時のような一瞬の切れ味を生かす展開は大歓迎。あとはスタートさえ互角に出れば好勝負間違いなし。
◆日曜東京10R・ブリリアントS(OP)
・ランフォルセ
前走後は短期放牧に出されていたが、トレセンに戻ってからは順調に乗り込みを消化。そして最終追い切りは、「左回りのダートを求めて」珍しく北馬場まで遠征。3歳500万のオメガユニコーンと併せて、73秒8-57秒3-41秒8をマーク(馬なり)。もともとが強く追わず、運動量の多さで仕上がる厩舎だけに、時計的にはこの程度で十分。不満のない仕上げといえる。ここにきて集中力に欠ける面があり、今回はチークピーシズを着用予定だが、オープン特別ならいつでも好勝負可能な実力の持ち主。ハンデの57.5キロもなんら問題はなく、得意の東京コースで鮮やかに蘇る。
◆土曜東京11R・プリンシパルS(OP)
・サーストンニュース
前走のスプリングSは、未勝利、500万を連勝して一気の相手強化。距離延長で道中は折り合いを重視して中団。勝負どころで前が詰まり追い出すタイミングが遅くなったが、最後までバテることなくしぶとく粘る根性を見せ0.5秒差の6着。高いレベルのレースの中で折り合いをつけられたことに大きな収穫を感じさせた。この中間はハードと思える日程で調教を積まれ直前の追い切りは終い軽く仕掛けて5F67秒-上がり36秒9。キッチリ折り合って精神面での進境は歴然。さらに距離延長も不安なし。
・ミエノワンダー
前走後は、ここ目標に入念な乗り込み。体型的に太く見える馬だが、コースで意欲的に追って重さを解消。最終追い切りは坂路になったが、古馬サトノアポロの内で力強い伸び脚。気合の良さが目立っており、状態面の不安はなさそうだ。前走は最後方から外を回って差し切るという強いレースぶり。中山の二千で2勝しているが、同馬の瞬発力は、上がりの速い東京コースで威力を発揮しそうだ。
◆土曜東京9R・高尾特別(1000万下)
・チャーチクワイア
馬体が減りやすく、前走時は少し間隔をあけたが、この中間はいたって順調に調教を消化。今週はウッドチップで、格下馬を4馬身追走して66秒9-38秒3。体のバネを利かせた力強い蹴り脚は鋭さ満点、気合のりも良くなり、大きな上積みを見せている。前走は直線で馬込みをさばくのに手間取り、完全に仕掛け遅れ。それでもゴール前猛追していたように、かなり惜しいレース内容。状態万全、今度こその一戦になる。