ナリタパイレーツで参戦した皐月賞は、残念ながら11着。その皐月賞のお話から、教養センターの同期である山藤統宏氏(大井競馬の調教師)の突然死、さらにご自身の健康診断の結果について話題が及び…。心身ともに慌ただしかったという、濃密な10日間を振り返ります!
■同期が突然死……信じられへんかった──先月、「もっと距離があったほうが…」とおっしゃっていたナリタパイレーツですが、皐月賞は11着でした。やはり、あの馬にとってGIの2000mの流れは速かったですか?
小牧 そうやね。せめて3、4番手くらい付けたかったけど…。そこまでも行かれへんかった。ある意味、思った通りでしたわ。流れも速かったね。でも、初めて揉まれたわりには、よく頑張ったと思うよ。ダービーに出るには賞金が足りないので、京都新聞杯に…っていう話だったんやけど、そこも使えなくなったってメールがあったわ。故障したみたいやね。
──そうでしたか。距離延びて…と思っていただけに、残念です。秋には間に合うといいですね。

ナリタパイレーツはもうちょっと力をつけないと
小牧 そうやね。でもまぁ、もうちょっと力をつけないことには厳しいかもね。
──中山は久々でしたが、皐月賞の夜は真っ直ぐお帰りになったんですか?
小牧 うん、帰りました。実はね、大井で調教師をやってた同期が亡くなってね(山藤統宏氏)。彼は高校を卒業してから教養センターに入ったから、年齢は僕よりふたつ上なんやけど。だから、日曜日の夜に顔を出すつもりだったんやけど、お通夜と告別式が木曜日と金曜日にズレてね。そのときにゆっくり来ようと思って、結局、日曜日は帰りましたわ。で、木曜日に調教が終わってから東京に行って、1泊してきてね。
──そうでしたか。まだお若いのに…。
小牧 ホンマにねぇ。信じられへんかった。脳幹出血だったかな。なにしろ突然やったからね。すごく仲が良くて、大井に乗りに行ったときは、必ず飲んでましたわ。
──去年、トリップでジャパンダートダービーに参戦されたあとも、同期で集まったっていうお話をしてらっしゃいましたよね。
小牧 そうそうそう。いっつも同期で集まって、必ず大森に飲みに行くんですわ。去年の夏、中京にシャアっていう馬を使いにきたときも(プロキオンS)、“世界の山ちゃん”で飲んだっけなぁ。亡くなる2日くらい前まで、いつものように大森で、元気に飲んでたらしいからね。歌が上手で、お酒が好きなヤツやったわ。
──小牧さんも気をつけないと…。
小牧 そういえばね、このあいだ健康診断があって。初めてバリウムを飲む検査をやったんですわ。そしたら、ジョッキーのなかで、僕だけ再検査(笑)。胃に影のようなものが映ってたらしくて。
──えーー!!! コレ、書いていいことですか?
小牧 書いて、書いて(笑)。昨日、ちゃんと再検査に行ったから。絶対になんともない自信があったから、ホントは(再検査に)行かんとこと思ってた。そうしたら、騎手クラブの人が、「行ったほうがいいですよ。病院教えますから」って、心配して何度も電話をくれてね。で、教えてもらった病院が、たまたま家のすぐ近くで、じゃあ行くかと(笑)。それで、昨日行ってきてね。初めて鼻から管を入れる内視鏡検査をやりましたわ。
──うわっ、苦しそうですね…。
小牧 全然大丈夫やったで。あれだったら何回でもできるわ(笑)。初めて自分の内蔵を見ましたわ。まぁ、キレイやった(笑)。
──あの~、肝心な検査結果は…?
小牧 案の定、なんともなかった。むしろ、人よりもキレイだって言われたわ(笑)。だからこうやって話せんねん。でも、なにしろ場所が胃やからね。絶対になんともないと思ういっぽうで、もし癌やったら…とか、ちょっと考えたけど。そうなったらそうなったで、ジョッキー辞めて好きなことしよ、なんて思ったりね。
──正直、ドキドキしたんじゃないですか?
小牧 うん、ちょっとね(笑)。昨日「なんともありません」って言われるまでは、何をしていても“もし癌だったら…”っていうのがずーっと頭のなかにあった。
──ホントに良かったです。わたしのほうがドキドキしちゃいましたよ。
小牧 ホンマやね。嫁さんも「心細いやろうから、ついてったるわ」とか言って、ついてきたわ。たしかに“もし癌だったら…”って、ちょっとは考えたけど、なにしろ僕、みんながよくいう「胃が痛い」っていう思いをしたことがないねん。胃薬も飲んだことないし。普通、胃が悪いと何かしら症状が出るもんやろ?
──そうかもしれませんね。それにしても、心身ともに貴重な体験だったのでは?

鼻水を垂らしながらゴルフしてましたわ(笑)
小牧 うん。当たり前やけど、検査の前の麻酔も初めてやったわ。鼻から入れるやつなんやけどね。で、検査のあとゴルフに行ったら、その麻酔のせいで鼻水が止まらなくて。ずっと鼻水を垂らしながらゴルフしてましたわ(笑)。
【次回の太論は?】
いよいよ、オークス、ダービーと春競馬もクライマックスを迎えようとしています。今年は、桜花賞、皐月賞とデムーロ兄弟が制覇し、この事実については「日本人として悔しい」と感じているユーザーも多いようです。そんなユーザーからの質問や、外国人ジョッキーの通年免許制度についてなど、小牧騎手が本音で語ります。