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第3回コスモバルク記念

  • 2013年05月08日(水) 18時00分
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 大型連休がようやく終わったが、今年の北海道はかつてないくらいの悪天候と寒さに泣いた“黄金週間”であった。前半後半ともに、ほとんど曇りまたは雨。そして冬に逆戻りしたかのような異常なまでの低温。いつもの年ならば、大型連休の頃には、日増しに山頂部の残雪が少なくなって行く時期だが、今年に限っては正反対に冠雪が日を追う毎に白さを増して行くほどだ。すっかり冬山に逆戻りしてしまった日高山脈を見ながら、いつになったら春の陽気が訪れるのかと誰もがため息をつく。

 こんな状況では、とても桜の開花にはほど遠く、早い年ならば連休中に開花することも過去にはあったものの、今年の場合、1週間程度は遅れている。静内・二十間道路の桜並木も未だに開花しておらず、おそらくは早くて今週末くらいであろう。浦河の場合も、12日(日)に桜まつりが予定されているが、その頃には開花していることを祈りたい。

 さて、先週の道営ホッカイドウ競馬は、1日(水)と3日(金)の変則開催で、集客を見込んだが、前述のように寒さと悪天候に祟られるあいにくのコンディションに見舞われた。3日には「第3回コスモバルク記念」(H2)が行われ、4歳上OPの13頭によって争われた。

 この日は、現在、ビッグレッドファームにて功労馬として悠々自適の生活を送るコスモバルクも門別に来場し、午後1時よりファンとの記念撮影に応じた。

 昼間降っていた雨は夕刻になってようやく止み、午後8時40分のメインレースの頃には曇り空に回復した。

コスモバルク記念を制したショウリダバンザイ

コスモバルク記念を制したショウリダバンザイ

「コスモバルク記念」には社団法人JBC協会よりコンデュイット号の交配権利が副賞として贈呈されるが、今回は特に「1着馬の生産牧場に授与される」ことがあらかじめ告知されていた。これはなかなか素晴らしいアイデアで、本来JBC協会より贈呈される交配権利は、1着馬馬主に授与されるが、考えてみれば、必ずしも馬主が繁殖牝馬を所有しているとは限らず、その点、生産者ならば、ほとんどの場合繁殖牝馬を所有、繋養しているため、この配慮は経営の厳しくなっている昨今、大きな魅力になる。因みにコンデュイット号は、今年初産駒が2歳デビューを迎える。今年の交配条件は受胎確認後の支払いで250万円。総じて安くなりつつある日高の種牡馬の中では“高馬”の部類で、のみならず、初年度産駒の競走成績如何では、来年以降、評価が上昇することも十分にあり得る種牡馬である。

 13頭の出走馬のうち、人気を集めたのはショウリダバンザイとダイワバーバリアン。

 過去2度、このレースでいずれも2着と実績あるショウリダバンザイは、昨年12月(船橋、クイーン賞)以来5か月ぶりの出走だが、ダイワバーバリアンに至っては、実に2011年10月のスワンS(京都)以来1年半ぶりの実戦となる。とはいえ、NHKマイルCやニュージーランドTで2着、朝日杯FSで3着の実績があり、このレースでも強く支持された。本来ならば、中央の一線級で走っていてもおかしくない馬である。

 レースは、そのダイワバーバリアンが果敢に先行する展開で、以下、グランドラッチ、ケイアイライジンなどが続く。1番人気のショウリダバンザイは中団を進み、3~4コーナーにかけて外側から一気にスパートすると、直線で難なく先頭に立った。そのまま危なげなく3馬身差をつけてジョーモルデューを抑え、見事に1着でゴールインした。なお、ダイワバーバリアンは直線で失速し、11着に敗退した。

ショウリダバンザイの関係者。左端が生産者の山口義彦氏

ショウリダバンザイの関係者。左端が生産者の山口義彦氏

 勝ったショウリダバンザイは牝6歳。井上俊彦騎手が騎乗。林和弘厩舎所属。馬主は元道営調教師の林正夫氏。父プリサイスエンド、母オレンジスペシャル(その父ジェイドロバリー)という血統で、通産成績を30戦10勝とした。収得賞金は9298万5千円。生産者は浦河・山口義彦氏。

 コンデュイット号の来年度の交配権利を手にした生産者の山口義彦氏はさすがに嬉しさを隠し切れず「これで来年の種付け料がずいぶん助かります。ありがたいことですね」と表情を綻ばせていた。山口義彦牧場は典型的な家族経営の生産牧場で、今回の副賞は、何よりも大きな“生産者賞”となったことだろう。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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