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「どんなキャラでいけばいいか・・・」秋山騎手ご指名対談〜国分優作騎手編(2)

  • 2013年05月15日(水) 18時00分
 仕事中は“話しかけるなオーラ”を放ち、根暗なイメージで通しているという秋山騎手。それはあえて、“キャラ作り”をしているそうです。いっぽう優作騎手は「自分は騎手として、どんなキャラ、どんなカラーでいけばいいのか…」と迷い中。悩める優作騎手に、はたして秋山騎手はどんなアドバイスをおくるのか!? 

■大事なのは、どう見られたいかよりどうなりたいか

どう見られたいかよりどうなりたいか

どう見られたいかよりどうなりたいか

優作 後輩とは仲良くしたくないとおっしゃってましたが、それはなぜですか?

秋山 ん〜、なんか嫌やねん。

優作 昔からですか?

秋山 うん、そう。仕事の時間以外だったらまだいいんだけど、仕事をしている間は、ちゃんとそういうキャラを作ってやっているから。

──何年か前にお話をうかがったとき「乗り役の友達はいらない」と、きっぱりおっしゃってましたものね。なんて強い人なんだろうと思って、とても印象に残っています。

秋山 そうでしたね。でも、当時に比べれば、何人か友達は増えましたよ(笑)。

優作 キャラを定着させることは大事ですよね。馬乗りに関しても、「あいつはこういうタイプのジョッキーだから」っていうことで、馬主さんや調教師の先生が依頼してくださることもありますものね。そういう人と比べて少しでも抜けている部分を見つけていくというか、作っていかなくちゃいけないと思うんですけど、どうしても今、見えてこなくて。どういうタイプのジョッキーとして、自分を定着させたらいいのかなって。

秋山 ん〜、難しいなぁ。馬乗りとしてどうこうとはまた別に、俺の場合は最初からこんなキャラだから。「あいつは挨拶しない」とか「あいつは生意気だ」とか、ずーっと言われてたからね。

──そういえば、営業が苦手だっておっしゃってましたよね。そのいっぽうで、競馬界では人とのつながりが大事だということをとてもよくわかっていらして。

秋山 そうなんです。重々わかってはいるんですけどね。なにしろ、人とコミュニケーションを取るのが、すごく苦手で。一時期、そんな自分を変えようと思ったこともあるんですが、あるとき“これはもう変えられるものではないな”とわかったので、それからは変えようと思わなくなりました。

優作 そうなんですか。「あ、やっぱ無理…」みたいな(笑)。

秋山 そうそう。たとえば、表面的に変わることはできたとしても、すごく疲れると思うし、どこかで必ずボロが出るから。それだったら、自分は自分のままでいいやって。そんな自分をわかってくれる人がひとりでもいれば、十分だと思うようになった。ジョッキーとしても普段の人間関係でも、どう見られるかじゃなくて、自分がどうなりたいかが大事なんじゃないの? 俺の場合、人付き合いに関しては選択肢がなかったわけだけど。お兄ちゃんは俺と違って、人間関係はうまくやってると思うけどね。

自分だけのカラーを見つけたいんです

自分だけのカラーを見つけたいんです

優作 こういう性格なので、いつでも明るくいるように心掛けてます。それより、ジョッキーとして自分だけのカラーを見つけたいんです。今は、こうなりたい、ああなりたいっていうのがたくさんあって、確固たる理想像が描けないというか。たぶん、乗っていくなかで自分でもしっくりくるものが見つかるだろうと思って、毎回いろいろと意識はしているんですけどね。

──その点、秋山さんは若いころから、秋山さんだけのカラーがありましたよね。馬に対する当たりの柔らかさは、誰に聞いても秋山さんならではの武器だと。

優作 ひと目で秋山さんだとわかるくらいですからね。もうそれだけで、秋山さんだけのカラーだと思います。僕もそういう武器がほしいんです。

秋山 だから、結局は自分がどうなりたいかっていうことだと思うよ。俺の場合、子供のころから、とにかく“かっこよく乗るジョッキーになりたい”っていうのが目標だったから。それで運よくジョッキーになれて、今でも運よくジョッキーをやらせてもらっているわけだけど、その目標は一貫しているし、それが“騎手・秋山真一郎”だと思ってるから。今でも全然満足していないし、もっともっとかっこよく乗ってやろうと思ってるよ。

優作 僕も最初は、キレイにかっこよく乗りたいと思っていたんですけど、「もっと体を大きく動かせ」って言われることもあったりして、自分がどこにいけばいいのかわからなくなってしまって。

秋山 そっかぁ。俺の師匠は、「ちゃんと体をたたんで、肘を低くして馬を伸ばしなさい」っていう教えだったからなぁ。

──秋山さんがデビューしたころは、武豊さんを筆頭に、スマートに美しく乗るっていうのが主流でしたからね。それが今は、岩田さんを筆頭に、ダイナミックな騎乗が注目されている。もちろん、どちらがいい悪いということではありませんけど、変わってきたのは事実ですよね。

秋山 そうですね。あとは、お兄ちゃんくらいのキャリアのジョッキーには、そういうことを言いやすいんだと思うよ。

優作 そうかもしれませんね。たくさん乗っていくなかで、自分にはどういう騎乗が合っているのか、見つけていくしかないかなとは思っているんですけど。

秋山 そうそう、正解なんてないんだから。自分で答えを見つけるまで、いろいろ試してみることはいいことだと思うよ。

【次回のキシュトーク!は?】
 これまで、若手騎手らしく“中央で乗るか、ローカルで乗るか”の悩みがテーマの中心となってきたご指名対談。しかしその点、優作騎手には迷いがないようです。そんな優作騎手を、素直に「すごいよね」と評価する秋山騎手。次回は、秋山騎手が悩み抜いたという“ローカル時代”を振り返ります。

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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