「順調特A」なダンスールクレール
競走馬のレポート記事を書くとき「順調です」という言葉は当たり前のように出てきます。しかしながら、実際はその中でも順調度にはランクがあります。
仮に理想的な仕上がり課程を踏んでいたなら「順調A」としましょう。これを上回る仕上がりを見せることは実際のところあまりないのですが…「順調特A」をつけたくなる2歳馬があらわれました。これまでもご紹介したウインバリアシオンの半弟・ダンスールクレールです。先週の段階で「6月1日の新馬戦に間に合えば」(中山助手)と話していました。それに向けて逆算したなら、今週は軽めの15-15程度をこなして、来週と再来週にレースに向けての追い切りを行うという感じだと思っていたら…。あら、なんと!木曜、武豊騎手が騎乗したら時計が出てしまいました。坂路で同厩のシシャモオージとの併せ馬。終始、並走するかたちで55.9-40.6-26.5-13.4を記録しました。
とにかく、ゲートは入厩後1週間以内に合格するわ、馬場に入れても悪いところは見せないわ、軽めのつもりで追い切りをかければ立派な時計を出してくるわ…。これ以上にないくらい無駄なく調教が進んでいるんです。想像以上に仕上がりが早いし、これといった注文もないのです。素晴らしい。
「この調子なら6月1日の芝1600メートル戦に間に合いそうですね。ジョッキーは武豊騎手に決定です」と松永昌師。来週、再来週でさらに時計が詰まったなら、デビュー戦は即、狙えますね。父のブラックタイドは2歳12月に新馬勝ちをおさめたのをはじめ、3歳の若駒S、スプリングSを勝って順調にクラシックに駒へと駒を進めました。お兄ちゃんのウインバリアシオンはこの時期、馬体がゆるゆるでしたが、弟はしっかりまとまっていますし「がっちりと身が詰まっている。この時期にしては完成度が高い」(中山助手)と陣営も仕上がりの早さを強調していましたよ。半月後を楽しみにしていてくださいね!
そして。いよいよ今週はオークス、来週は日本ダービー。
クロフネサプライズは金曜朝5時に栗東を出発する予定。今週の追い切りも武豊騎手が乗り、51.4-37.8-25.2-13.0という結構いい時計が出ていましたね。したがって、あとは本番までオーバーワークにならない調整で挑みます。「到着当日は馬体のケアを。土曜日は美浦から競馬場へ馬運車が到着する前までに調整を済ませて、あとはリラックスさせて本番に挑みたいと思います」と田所師。土曜朝はスクーリングや馬場入りまではやらずに運動だけで調整する予定とのことでした。別掲の枠順レポートのとおり、逃げ宣言したにも関わらず8枠16番という意に反した枠が当たってしまったクロフネサプライズですが、それでも自分らしい競馬で牝馬の祭典にチャレンジしてほしいものです。頑張って!
エピファネイア、もたれ癖は「大丈夫」
日本ダービーに向けて、エピファネイアもとても高い度合の順調さで鍛錬を重ねているようです。水曜の1週前追い切りはウッドチップコースで。前を行くエックスマーク、ミルドリーム、ハーキュリーズの3頭の後ろを追走。直線では3頭が併せる中、しっかりと抑えのきいた状態を保ったまま、その後ろにつけるかたちでゴールしました。
「折り合いなど、福永騎手がいろんなことを試してきてくれました」と岸本助手。右にもたれる癖については「福永騎手も『もう大丈夫。競馬ではもうやらないと思う』と話していた」とのこと。エピファネイアの最大の課題は周知のとおり「とにかく、折り合いさえついてくれれば…」(岸本助手)という一言に尽きますね。
皐月賞では枠順の不利を言及する声もありますが、それについては「そういう脆さがあるから勝てないと思う。ダービーとるんだったら、きっちり調教して少々の不利があってもはねのけるくらいじゃないと意味がない。エピファネイアはダービー馬になれるだけの能力がある馬だろうし、しっかり負荷をかけて本番に挑みたい」(岸本助手)と角居厩舎らしい高いポテンシャルで意気込みを語っていました。
この中間、運動中のエピファネイアを何度か見かけましたが、皐月賞前に比べて落ちつきが出たような印象を受けました。無事、本番を迎えて欲しいですね。
最後に。シゲルスダチの続報については、おそらく来週には何かお届けできるでしょう。スダチファンの皆さん、もう少し待っててくださいね。