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週刊サラブレットレーシングポスト

  • 2003年07月08日(火) 13時12分
 盛況に終わった『JRHAセレクトセール』。第6回目の開催を迎えて、益々国際的なマーケットとなってきたようだ。

 その最高のサンプルが、上場番号115番の牝馬だった。

 父シングスピールというこの牝馬の売り主は、英国のウォーターシップダウン・スタッド。『オペラ座の怪人』をはじめとして数々のヒットミュージカルを作曲。その功績によって“サー”の称号を授かったアンドリュー・ロイド・ウェバー氏が持つ生産牧場である。

 オーナーブリーダーとして競馬に参画するかたわら、生産馬の一部をせり市場に上場。コマーシャルブリーダーとしても成功しているウォーターシップダウン・スタッド。今からちょうど10年前の1993年、前年に生まれた父ヌレイエフ、母シルヴァーレインというイヤリングをアメリカのキーンランドセールに上場したところ、購買したのは日本人だった。

 後の、ブラックホークである。

 すなわち、日本におけるG1・2勝馬の母を繁殖として持つことになったウォーターシップダウン・スタッドは、更に日本で商売をすることを考えた。具体的には、日本で人気の種牡馬をシルヴァーレインに配合し、その上でシルヴァーレインを日本に輸送して日本で出産させ、日本産馬として生まれた当歳馬を日本で売ることを考えたのだ。

 上場番号115番の牝馬は、そんな経緯で今年のセレクトセールに上場されることになった牝馬なのである。ジャパンCの勝馬である上に、父としてローエングリンらを輩出。日本での評価の高いシングスピールを配合されてシルヴァーレインが産んだ牝馬は、8000万円というこの日の牝馬最高価格で購買されたのだった。

 「考えていた以上の値段になりました」と、満面の笑みで答えてくれたのは、このセールのためにわざわざ英国から日本へやってきた、ウォーターシップダウン・スタッドの場長サイモン・マーシュ氏。「おそらくは、市場で取り引きされたシングスピールの牝馬としては、歴代で最高の価格だと思います。オーナーのアンドリュー・ロイド・ウェバー氏も大ハッピーです。」

 今年の種付けシーズンを日本で過ごしたシルヴァーレインは、現在フレンチデピュティを受胎中。これも言わずと知れた日本の人気種牡馬で、来年出来る子を売ることを考えたら、日本で売るのが一番良いのは明白だ。という言うことでウォーターシップダウン・スタッドでは、シルヴァーレインの来年の産駒も、セレクトセールで上場する意向を固めているという。

 欧州の主要なマーケットブリーダーの戦略に恒常的に加わることになったセレクトセールは、もはやキーンランドやタタソールズのメジャーな市場と同等の位置付けにあるといってよいだろう。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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