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半兄はロードカナロア! マンカフェ産駒の好配合馬ロードストーム

  • 2013年06月05日(水) 12時00分
●アルバート(牡 美浦・堀宣行 父アドマイヤドン、母フォルクローレ)
 母フォルクローレはサンバレンティン(重賞2勝)、インティライミ(重賞3勝)の4分の3姉で、現役時代はマイル以下の芝で活躍し、セントウルS(GIII)4着、スワンS(GII)5着などの成績を残した。繁殖牝馬としてもまずまず優秀。サクラバクシンオーとの間にディアブラータ(準OP)を産んでいる。本馬の父はダート王アドマイヤドンなので、おそらく砂に適性を見せるだろう。アドマイヤドンの代表産駒トーセンアレスは、2代母Key Flyerがダンシングキイの全妹なので、ダンスインザダーク(その母ダンシングキイ)を母の父に持つ本馬と配合構成が似ている。ダート向きの中距離タイプ。

●エルノルテ(牝 栗東・音無秀孝 父ディープインパクト、母シーズオールエルティッシュ)
 新馬、万両賞を連勝したアドマイヤオウジャの全弟。母シーズオールエルティッシュはボニーミスS(米G2・ダ9f)の勝ち馬。母の父EltishはブリーダーズCジュヴェナイル(米G1)2着馬で、引退後は生まれ故郷のフロリダで9年間種付けを行い、その後、ニューヨークへ移った。ダート専用ではなく芝適性も伝えるところが長所。母も、母の父も、母の母もフロリダ産馬なので、母方は非主流のマイナー血統で構成されている。したがって、タイプとしては薄味で、ディープインパクトとの配合では、父の特長が表現されやすいのではないかと思われる。全兄アドマイヤオウジャは450kg台の末脚勝負型で、いかにもディープ的なタイプだった。本馬もそれに近いのではないかと思う。芝向きの中距離タイプ。

●ジャックトマメノキ(牡 栗東・加用正 父ダイワメジャー、母ゴールデンジャック)
 新馬、ききょうSを連勝し、桜花賞では14番人気ながら3着に突っ込んで穴をあけたプリンセスジャックの全弟。サイドワインダー(重賞3勝)の半弟でもある。母ゴールデンジャックは報知杯4歳牝馬特別(GII)とサンスポ賞4歳牝馬特別(GII)を勝ったほか、オークス(GI)でも2着に食い込んた。母方にはMr.Prospector、Danzig、Buckpasserと良質なアメリカ血統が並び、いかにも堅実に走りそうなタイプなので、POG向きといえる。ダイワメジャー産駒は牝よりも牡のほうが距離適性が長いという傾向があるので、おそらく2000mあたりまでは守備範囲だろう。

●ステファノス(牡 栗東・藤原英昭 父ディープインパクト、母ココシュニック)
 母ココシュニックは現役時代にダ1700〜1800mで3勝を挙げた。ゴールデンハインド、ロングロウ(いずれもOP)の全姉でもある。2代母ゴールドティアラは南部杯(GI)などダート重賞を5勝した名牝。母方の血はパワータイプでありながら、母の全弟ゴールデンハインドは万葉S(OP)を勝つなど芝適性があり、ダートでしか走れない血統でもない。まして本馬の父は芝向きの権化ともいえるディープインパクト。母方に潜むダート向きのテイストが父に足りない筋肉量を増やす効果を挙げればおもしろい。「ディープ×クロフネ」の組み合わせは過去3頭がデビューしてすべて勝ち上がり、いずれもOPクラスで実績を残している。本馬も同程度からそれ以上の活躍が見込める。

●トラディション(牝 栗東・安田隆行 父ゴールドアリュール、母シネマスコープ)
 ジャパンCダート(GI)を2連覇し、フェブラリーS(GI)も勝ったトランセンド(父ワイルドラッシュ)の半妹。父がダート王ゴールドアリュールなのでやはりダート向きだろう。父の代表産駒はHyperionとSon-in-Lawを強調した配合パターンが目立つ。本馬の4代母アイアンエイジは近い世代にHyperionとSon-in-Lawを併せ持っているのでこのパターンにあてはまる。底力あふれるダート血統なので砂の中距離路線で楽しめそうだ。

●ロードストーム(牡 栗東・安田隆行 父マンハッタンカフェ、母レディブラッサム)
 スプリントチャンピオンの枠にとどまらず、マイル路線の安田記念(GI)でも強敵を撃破したロードカナロア(父キングカメハメハ)。本馬はその半弟にあたる。父マンハッタンカフェはStorm Catと相性がよく、なかでもショウナンマイティ、トレンドハンター、エーシンミズーリといった大物はRibot系のクロスを併せ持つという共通点がある。本馬はこのパターン。2代母サラトガデューは北米で11戦8勝、ベルデイムS(G1)、ガゼルH(G1)、カムリーS(G2)などを制覇した名牝だった。そこから伝わる高いポテンシャルは魅力的だ。隙のない好配合馬で、まともなら上級クラスまで出世するはず。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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