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兄に続け!トゥザグローリーの全弟トゥザワールド

  • 2013年06月19日(水) 12時00分
●オールオブナイト(牝 栗東・大久保龍志 父キングカメハメハ、母ピサノグラフ)
 「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」で、ハッピートレイルズのファミリーとくればコディーノ(12年札幌2歳S-GIII、12年東京スポーツ杯2歳S-GIII)を思い出す。両者は母同士が4分の3同血、なおかつ父が同じなので、血統構成の8分の7までが同一という近い関係にある。母ピサノグラフはフローラS(GII)4着馬。2代母シンコウラブリイはマイルチャンピオンシップ(GI)の覇者。活力旺盛な牝系と、コディーノによく似た血統構成が相まって、おもしろいところがあるかもしれない。芝向きの中距離タイプ。

●エイシンアロンジー(牡 栗東・西園正都 父Sea the Stars、母Ice Mint)
 昨年9月、米キーンランドのセプテンバーイヤリングセールにおいて67万5000ドル(約5300万円)で落札された。Falco(08年仏2000ギニー-G1)、Iron Lips(06年エクリプス賞-仏G3)の甥にあたり、5代母が名牝Lady Berry という華やかな牝系に属している。父Sea the Starsは現役時代に凱旋門賞(仏G1)や英ダービー(G1)など6つのG1を制覇し、カルティエ賞年度代表馬に輝いた。ヨーロッパ生産界を支配する大種牡馬Galileoの半弟にあたるので種牡馬としても期待は大きく、今年の2歳世代が初年度産駒となる。本馬は母が「Awesome Again×Unbridled×Seattle Slew」というパワー血統で、芝向きのスピードや柔らかさは感じられない。父Sea the Starsもスピード面が課題となりそうなので、Mr.Prospector 4×5・5はスピードの補強として悪くない。ただ、全体的には大味なパワー血統なので、マイル以上のダート戦に向きそうだ。芝で走るとしたら洋芝や道悪が中心となるだろう。

●トゥザワールド(牡 栗東・池江泰寿 父キングカメハメハ、母トゥザヴィクトリー)
 母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯(GI)など重賞4勝、ドバイワールドC(G1)2着などの戦績がある。国内外を問わずタフに頑張った馬だが、産駒は丈夫さに欠けるのか競走馬として仕上がらないケースが目に付く。トゥザグローリーは仕上がったほうの1頭で、日経賞(GII)、京都記念(GII)など5つの重賞を制した。本馬はその全弟。血統的なポテンシャルは素晴らしいので、無事に仕上がればトゥザグローリーのような大物となる可能性も十分。ひとつ上の全姉トゥザレジェンドは現在2戦0勝だが、本馬はトゥザグローリーと同じく牡馬なので期待したい。

●ヒシスカイガイ(牡 美浦・久保田貴士 父ディープスカイ、母ヒシフェアレディ)
 父ディープスカイは日本ダービー(GI)、NHKマイルC(GI)など4つの重賞を制した名馬。母アビは競走馬としては無名ながら、独2000ギニー馬Royal Dragonの半姉にあたる良血で、Miss Carmie 4×3という特徴的な牝馬クロスを持っている。このクロスがディープスカイの能力と何らかの関係があるとすれば、この血を強化することはひとつの配合的手段となるだろう。本馬の母方に入るGreat Nephewは、その母Sybil's NieceがMiss Carmieの2代父Indian Hempと相似な血なので好ましい。さらに、Sybil's NieceとIndian Hempの両血脈は、いずれもNearcticと相似な血なので、Nearcticの息子Northern Dancerを5×4でクロスさせた本馬には、「Sybil's Niece≒Indian Hemp≒Nearctic」というトライアングルが生じる。母ヒシフェアレディは主に短距離戦を使って準OPまで出世した活躍馬。配合的に見どころのある馬なので期待が掛けられる。芝向きのマイラー。

●ブリッツカイザー(牡 美浦・菊川正達 父マツリダゴッホ、母ジャスミンリーフ)
 母ジャスミンリーフはDamascus 4×3、Buckpasser 4×4とアメリカ血統を積極的に強化しており、本馬もBold Bidder 4×4、Promised Land 5×5とやはりアメリカ血統のクロスを持つ。父マツリダゴッホは有馬記念(GI)など6つの重賞を制した名馬で、今月からデビューした初年度産駒は[1・2・1・2]と期待を上回る好成績を挙げている。連対した3頭はすべて母の父がMr.Prospector系。本馬の母の父ヘクタープロテクターも同系なので楽しみが大きい。父は中長距離で活躍した馬だけに、速いアメリカ血統を入れた配合は合うのだろう。新馬戦から狙える。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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