今回の対談で、恭介騎手が絶対に聞きたかったことのひとつが「平日の過ごし方」だそうです。トレーニングに明け暮れているという恭介騎手に対し、はたして川田騎手は!? 今回は、平日の過ごし方を通して「マジメすぎる」恭介騎手の素顔が浮き彫りに!
■恭介くらいの年齢のころは、週3で飲みに…恭介の年のころは、週に3回飲みに行ってたよ(笑)
恭介 イメージトレーニングをされているということですが、そういうことは平日にやってらっしゃるんですか? 平日も競馬につながる何かをされているのかどうか、それも今日、ぜひお聞きしたかったことなんです。
川田 平日ねぇ…。恭介の年齢のころは、週に3回飲みに行ってたよ(笑)。
恭介 週3回!でもそれは、以前の話ですよね。今はどう過ごされてますか? すごく気になります。
川田 あくまで僕の場合だけど、平日は基本的に心身を休める日だと思ってるよ。週末にものすごく体を酷使している自負があるから。平日はとにかく体を回復させて、週末はつねに万全な状態で競馬場に行く。
恭介 それは大事なことですよね。ただ、僕が川田さんと同じことをしていたら、絶対に同じステージに立てないので…。僕は平日、必死になってトレーニングをしてるんですけど、ついついやりすぎてしまうことが多いです。
──それはある意味、本末転倒では…。
恭介 その通りです。川田さんは僕くらいのころ、トレーニングはされてました?
川田 まったくしてなかった(笑)。してないって言いながら、陰でしている人もいると思うけど、僕は本当にしてなかった。
恭介 それで体を維持できているのはすごいですね。本当にすごい。
川田 あくまでも僕の場合だけど、週末、全力で競馬に乗っていれば、ジョッキーとして必要な体はできてくると思うんだよね。あと、トレーニングとは違うけど、“朝、体を動かす”という意味では、毎日の調教も大事だと思う。そういう生活リズムが、体や体力の維持につながっているはずだから。
恭介 ということは、トレーニング以外に、競馬につながる何かを研究されているということですよね?
川田 ん〜、自分が勝ったレースだけ、VTRを見る。グリーンチャンネルでやっているリプレイを毎週録画しているんだけど、負けたレースは飛ばすからね(笑)。勝ったレースだけを見て、その映像は残しておく。だから、家にあるレース映像は、どれを見ても僕が勝ってる(笑)。
恭介 いいイメージを残すということですか? そのときにどんな動きをしたかの確認とか?
川田 そうだね。負けたレースは、だいたい覚えてるんだよね。大きい失敗をしてしまったレースはなおさらね。
恭介 わかります。勝ったレースより、負けたレースのほうが印象が強いですよね。
川田 うん。それに、完璧に乗って2着にきたレースでも、負けていることには変わりはない。そんな映像を見たって腹が立つだけ。“完璧に乗って負けてる俺ってなんやねん!”ってなる(笑)。
恭介 自分で納得の騎乗ができたレースでも、負けていたら意味がないということですか?
川田 いや、それはそれですごく大事なことだよ。勝ち負けにかかわらず、これ以上ないくらいにその馬の力を引き出すことができたなら、それはそれで満足していいと思う。ただ、改めて映像を見たところで負けは負けだから、気持ちのいいものではないよね。
恭介 確かにそうですよねぇ。でも僕は、自分が負けているレースはもちろん、ほかの競馬場のレースもすべて見てます…。
川田 恭介の頭のなかには、ものすごい量の情報が入ってるんだろうな。恭介に比べれば、僕の頭のなかなんてスッカスカだよ(笑)。
恭介 馬の名前を聞くだけで、どこで走っていてどういう競馬をして何着だった馬だなって、わかっちゃったりします(笑)。でも川田さんは、そのぶんレースでものすごい集中力を発揮しているんでしょうね。
川田 僕は考えて乗るよりも、感覚で乗りたいからね。もちろん、僕なりにそこまでの準備はするよ。そのうえで、あとは感覚に任せたい。でも、事前に騎乗馬のレース映像を見るようになったのは、恥ずかしながら最近で…(苦笑)。
恭介 見るようになってから、何か変わりました?
川田 うん、やっぱり見たほうがいいなって思った(笑)。1日10頭に乗るとしたら、その10頭について各1レース、いい結果を出したときのレースを見る。どんなレースをして結果を出したのか知りたいから。
恭介 僕は、自分が乗る馬については前4走まで見たりしますね。少なくとも、いい結果を出したときと、逆にダメだったときは、そのレースぶりを絶対に見ておきたいんです。
川田 確かに大事なことだけど、情報量が多すぎて、整理しきれていないんじゃない? 平日は毎日見てるの?
平日はトレーニングして競馬の映像見てます
恭介 今の僕の平日の過ごし方は、トレーニングをして、先週乗った競馬の映像を見て、週末の騎乗馬が決まったら、今度はその馬たちの映像を見て…。よく考えたら、そればっかりです。あの〜、川田さんは普段、どうやって気持ちをリフレッシュさせてるんですか?
川田 そうだなぁ…。僕の場合、いけないと思いつつ、イライラしたらすぐに顔や口に出てしまうから、つねに発散させているようなものかも(笑)。
恭介 それはいいことなんでしょうね。たとえば嫌なことがあって、気持ちを切り替えたいなと思ったときはどうされてますか?
川田 ずっとモヤモヤが残ったままのときもあるよ。でも、それってもうどうしようもない。考えないようにしよう…と思っている時点で、考えてるっていうことだし。結局そういうことは、時間しか解決してくれないと思ってる。恭介は何をストレスに感じてるの? いろいろ考えてるみたいだけど。
恭介 やっぱり、一番は仕事がうまくいかないことです。毎週、新鮮な気持ちで競馬に乗らなければと思うんですけど、そのためにはどうやって気持ちを切り替えたらいいのかなって。
川田 先週、うまくいかなかったな…っていうモヤモヤを抱えたまま、次の週の競馬に乗ってるっていうこと?
恭介 自分なりに答えを出して切り替えているつもりなんですけど、それが正解かどうかもわからなくて…。違う馬に乗れば、自然と気持ちが切り替わったりもするんですけどね。
川田 恭介は真面目すぎるんじゃない? きっと視野が狭くなってるんだよ。先週のレース映像を見て、反省して、考えて…。その結果、1週間モヤモヤを引きずったまま、競馬に乗るわけでしょ? いいことひとつもないよね。
恭介 そうかもしれませんね。そこから変えていかないとダメなんでしょうね。
川田 とりあえず、勝ったレースだけを見てみたら? 今の恭介は、絶対にそっちのほうがいいって。
恭介 はい、そうします! いいイメージを自分のなかに残すことって大事ですものね。でも、なかなか勝てないんですけどね(苦笑)。
【次回のキシュトーーク! は?】
次回はいよいよ最終回。『ジョッキーとして波に乗るためには?』『運をつかむためには?』などなど、恭介騎手の質問は止まらない! はたして“マジメすぎる”恭介騎手は、“ワイルドすぎる”川田騎手からのアドバイスでどう変わる!? お楽しみに!