◆優駿スプリント展望
(6月25日 大井 サラ3歳 別定 南関東SIII 1200m)
「優駿スプリント」は一昨年新設された3歳SIII。電撃6ハロン、JRAなら「ニュージーランドトロフィー」に匹敵し、近年の趨勢(スピード志向)がよく表われた番組といえるだろう。なるほど第1~2回とも迫力に満ちた好レースとなり、勝ちタイムも想像以上に速かった。記者個人、ダート競馬=スプリント…という選択(番組作成)にはノスタルジーを含め異論もあるが、実際地方(南関東)競馬は、昨今そんな流れでひとまず活路を見い出している。とすればこのレース命題は、GI「JBCスプリント」に結びつくこと。対セイクリムズン、タイセイレジェンド、セレスハント、ティアップワイルド…。超えられないほど高いハードルではないとも正直思う。現実にラブミーチャンは、ムラながらたびたびGIで偉業、大仕事を達成してきた。
23年
1着ミヤサンキューティ 53真島 1分11秒6 2人気 好位抜出
2着セントマーチ 55今野 3/4 4人気 中位鋭伸
3着リバーキンタロー 55森 3 7人気 中位伸も
4着リアライズブラボー 55左海 11/2 5人気 中位差詰
5着ゴーディー 55的場文 3/4 3人気 先行退く
1人気…ロードガバナンス 11着 逃げた馬…ラブビジョン 15着
24年
1着ゴールドキャヴィア 55御神本 1分12秒2 4人気 好位抜出
2着コウヨウタレイア 54真島 2 2人気 中位伸び
3着オゼキング 56的場文 11/2 3人気 中位伸び
4着メビュースラヴ 54町田 3/4 10人気 後方伸び
5着メイクアミラクル 54酒井 首
1人気…チャンピオンヤマト 14着 逃げた馬…チャンピオンヤマト 14着
当然まだ“データ”はないに等しい段階だが、予測のつく範囲でレース傾向をイメージする。
(1)波乱含み…一昨年2→4→7番人気、昨年4→2→3番人気の決着で中波乱。実績、持ち時計はアテにならず、むしろ素質、上昇度が勝負を分けた。
(2)牝馬注目…連対(1~2着)4頭中牝馬が3頭。スプリンターの資質があれば互角以上に評価できる。対して牡馬はクラシック大敗組が多く、レベル自体やや低い。
(3)差し馬…過去2年とも逃げた馬大敗。2番手を進んだ馬もふるわない(5、9着)。近年の大井1200mは仮に道悪でも中団以降の差しが届く。ズブいくらいのタイプが穴。
※データ推奨馬
◎サブノハゴロモ…TR3着。2歳時「ゴールドジュニアー」2着、「東京2歳優駿牝馬」3着の地力があり、常に流れなり、相手なりの自在性を備えている。逃げ争いの直後から動くイメージ。接戦になれば地の利が大きい。
☆ ☆
◎ハードデイズナイト 55山崎誠
○カイロス 57御神本
▲ドリームタイム 56柏木
△ワールドステルス 56矢野
△サブノハゴロモ 55真島
△リコーシルエット 54町田
△オグリタイム 56森
オキナワレッド 54見沢
ヴィクトリーケルブ 56今野
ハードデイズナイトの勢い、充実度をそのまま買った。道営1勝(新馬1000m)で南関転入。当初イメージは“いい脚一瞬の牝馬”だったが、どうして以後タフなキャリアを積み大きく成長。4月末あえて遠征した水沢「留守杯日高賞=限定交流」圧勝、続く前走「優駿スプリントTR」も、後方待機から直線大外を矢のように突き抜けた。さまざまなタイプの駿馬を輩出、なおかつ成長力も伝えていく父サウスヴィグラス。ハードデイズ自身も“進化する快速馬”、その典型といえるだろう。ベストの舞台(条件)へ、最高潮のデキで臨む。
同TR2着カイロスが相手本線。福山13勝、当地ダービーも制したNo.1ホースで、転入後もう一段力をつけた。こちらも父サウスヴィグラス、本質スプリンターと判断できる。逆にドリームタイムは父サイレントディールの奥手血統。それでいてデビューから一貫短距離で崩れないあたり、スケール、将来性を感じさせる。以下、1200m3勝の内容に混戦向きのパワー、勝負強さがみてとれるワールドステルス(父マイネルセレクト)、データ欄推奨、完成度が高くレースが巧いサブノハゴロモ。人気が割れそうな顔ぶれで、記者自身はハードデイズナイトから手広く流す。
◆京成盃グランドマイラーズ回顧
(6月19日 船橋 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1600m梢重)
△(1)セイントメモリー 1分38秒7
◎(2)プレファシオ 4
△(3)アスカリーブル 1
(4)トーセンアドミラル 1/2
▲(5)スマートジョーカー 1/2
……………………
(6)スターシップ
△(7)カキツバタロイヤル
△(8)ピエールタイガー
(10)マグニフィカ
○(11)ナイキマドリード
単3070円 馬複5000円 馬単16090円 3連複77030円 3連単490340円
セイントメモリーが徹底先行で押し切った。好スタート。内枠の同型マグニフィ
カ、ピエールタイガーにハナを切る意思がなく、結果的にそれが大きく幸いした。36
秒1~48秒4~60秒1は軽い馬場の1600mとしてもかなり速い。しかしセイントメモリーの場合、ペースうんぬんより気分優先。道中テンポよく飛ばし、セーフティリー
ドを保ったまま4コーナーから直線。鞍上のGOサインと同時にもうひと脚使ってみ
せた。「思惑通りの競馬はできたけれど、ずっと後ろ(追撃)が気になってヒヤヒヤ
した。結果4馬身差だから強い。この馬には驚かされる、教えられることが多いで
す」(本橋孝太騎手)。このコンビ、4月大井「北斗七星賞」から3戦3勝。人馬と
も、今季大きな波に乗っている。
セイントメモリーは、アフリート×ソラーティカ(ヘイロー)の6歳馬。大井生え抜き、新進・月岡厩舎所属で元より短~マイラーの資質は相当高い。29戦12勝。もまれ弱い気性で足踏みしたが、過去ボク、スターボードを完封した準重賞2勝など、一連快時計を含め、本来交流Gで好勝負になる資質がある。「厳しい展開を考えていたから、逃げが打てたのは逆に少し驚いた。馬の能力と状態は自信があったし、鞍上も上手に乗ってくれました」(月岡健二調教師)。次走はサンタアニタT(7月31日・大井1600m)と明言された。今回船橋1600m=1分38秒7も、数字的には水準以上。あとは、レースぶりの幅、展開に左右されない精神力ということになるのだろう。実際、現南関東には、素質がありながら一つ壁を超えられない短~マイラーが、かなり多数存在する。この日に限っても、ピエールタイガー、マグニフィカあたりはたぶんそうだ。
2着プレファシオは本質的に1600mは忙しい。勝ちを意識して乗った鞍上・森泰斗J、早め早めは当然だが、結果それが末脚を鈍らせた。ただパドックの堂々たる馬体など、船橋転入(出川克厩舎)は間違いなく正解で、今後中~長距離路線にうまくハマれば、それこそ大躍進の期待がある。3着アスカリーブルは、直線あと1Fをしぶとく伸びて地力アピール。ただ現実に2冠牝馬、一世代上のクラーベセクレタと実績は互角だから、終わってみれば少し不思議な低評価(11番人気)だったかもしれない。スマートジョーカーは末脚勝負。元々当たり外れの面があり、まくり不発のナイキマドリードも含め、今回凡走だけで評価は落ちない。