◆帝王賞展望
(6月26日 大井 サラ4歳以上 定量 JpnI 2000m)
アジュディミツオー、そしてフリオーソの強さ、存在感を改めて噛みしめる「帝王賞」だ。帝王賞は昭和61年から交流指定(昭和53~60年・南関東限定・2800mで実施)。以後27年間、JRA13勝、地方14勝だから、一見地方大奮闘のレースだが、近年を客観的にふり返ると、やはり寂しい結果というほかない。過去10年、アジュディミツオー1勝、フリオーソ2勝、03年ネームヴァリュー優勝はゴールドアリュールのアクシデント(ノド鳴り発症)に助けられたもので、要するに地方側の“新星”とか“成長株”とかは、ことごとく通用しない事実があった。層の厚さ…が悲しいくらい違っている。
それにしてもと思う。今年のJRA勢は何とも眩しい顔ぶれになった。6頭すべてGIホルダー、しかも“過去の馬”は1頭も見当たらず、ほぼ等分にチャンスが浮かぶ。舞台は記者テリトリーであり、同時にチャンピオンコースである大井2000m。正直に書けば、この6頭の戦いは(地方馬抜きでも)ワクワクする。◎○▲△…序列をどうつけるか、予想すること自体も、嬉しい迷いというべきか、さまざまシーンを思いめぐらせながら胸が躍った。ただ一方、地方競馬記者として欲求不満ももちろんある。ホームで施行されるダート頂上決戦…、にもかかわらず、エールを送れる地方馬がほぼ皆無であること。交流Gとはやはり、JRA対地方、その“対決図式”が不可欠と思う。中でも大井は伝統と歴史があり、テツノカチドキ、チャンピオンスター、さらにハシルショウグン、コンサートボーイ。圧倒的な帝王賞馬を何頭も送っている。“馬場を貸すだけ”、そんな位置付けでファンが満足するはずもない。
(1)…おおむね順当。1番人気[4-3-1-2]、2番人気[3-3-0-4]。過去10年中、ワンツー(馬連)が4度あり、1~2人気、そろって連対を外したケースは1度しかない。
(2)…JRA対船橋。JRA=6勝、2着8回、3着2回と大きくリード。船橋=4勝、2着2回、3着1回も健闘だが、前述通りこれはアジュディミツオー、フリオーソの功績というしかない。
(3)…熟年馬。5歳=5勝、2着2回、3着3回と優勢。ただ6歳=2勝、2着3回、7歳=2勝2着2回もそう差はない。前年「JBCクラシック」勝ち馬が最も強く、5頭出走し3頭優勝。
(4)…先行有利。逃げ=5、先行=8、差し=6、追込=1。おおむね平均ペースで流れ、自ら動けるタイプに利がある。ジョッキーでは武豊騎手が7回騎乗、3勝、2着1回と傑出。
※データ推奨馬
◎ワンダーアキュート…昨年JBCクラシック圧勝の7歳馬。大井2000m適性も、一昨年「東京大賞典」、スマートファルコンの鼻差2着で実証済みだ。断然の持ち時計2分01秒8。今回武豊Jとコンビを組む。
☆ ☆
◎ハタノヴァンクール 57四位
○ローマンレジェンド 57岩田
▲ワンダーアキュート 57武豊
△ホッコータルマエ 57幸
△ニホンピロアワーズ 57酒井学
△テスタマッタ 57戸崎
△フォーティファイド 57山崎
スーニ 57川島
トーセンルーチェ 57今野
ハタノヴァンクールを狙った。実績、対戦比較(三段論法的なものを含め)からはNo.1ともいえないが、同馬の場合、抜群の大井コース適性に注目できる。「ジャパンダートダービー」優勝、「東京大賞典」2着。とりわけ昨暮れ大賞典は3歳時点の挑戦、ローマンレジェンド、ワンダーアキュート、実力派の古馬に3~4コーナーいったん置かれ、そこから闘志を振り絞ったものだけに凄みを感じた。パワー優先、帝王の称号に相応しい逞しさ。前2走ダイオライト2着、平安S5着も、ここへの布石とすれば十分な走りとみえた。センスを磨きつつある近況。得意の大井2000mで完全燃焼に期待する。
ローマンレジェンドは円熟期の5歳馬。昨暮れ大賞典も終始外々から前を見据えた差し切りで、時計、着差以上の強さといえる。本質不器用なタイプだけに取りこぼしもあるとみた○(対抗)評価だが、鞍上の腕も含めごく普通には最有力でいいだろう。JCダート馬ニホンピロアワーズは、逆にスピードと切れ味身上。いかにも垢抜けたレースぶりでエスポワールシチーと同タイプを思わせる。初の大井コースをどうこなすか。今回は試金石の△とした。新王者ホッコータルマエも確かに強いが、ここまでがいかにも押せ押せ。それなら一昨年大賞典でスマートファルコンと死闘を演じたワンダーアキュートの底力を買う手がある。前走「さきたま杯」を戸崎Jでひと捲りのテスタマッタは、気持ち長い2000mで折り合いに大きな課題。「大井記念」圧勝フォーティファイドも、母ファストフレンドの血脈はさておき、時計などトーセンルーチェと同レベルで、いきなりGIとなると裏付けが薄い。