5カ月にわたってお届けしてきたご指名対談も、今回がいよいよ最終回。『ジョッキーとして波に乗るためには?』『運をつかむためには?』などなど、恭介騎手の質問は最後まで止まらない! はたしてマジメすぎる恭介騎手は、川田騎手のアドバイスでどう変わる!?
■これからは、もっと明るく前向きに!──恭介くんは、1年目の23勝から、2年目には52勝と一気に勝ち星を伸ばしましたよね。その後、29勝、20勝ですから、今一番、悩みやストレスが多いときかもしれませんね。
現状には全然満足できません・・・
恭介 はい、現状には全然満足できません。僕の場合、勝ってもなかなかチャンスのある馬が巡ってこないので…。
川田 それはつまり、流れに乗れないっていうことだよね。
恭介 そうなのかもしれませんね。大きいレースにいつも乗っていたりすれば、また印象が違うんでしょうけど、それもなかなか…。
川田 正直、“波に乗る”ということでいえば、恭介は一度、チャンスを逃していると思うんだよね。2年目に一気に勝ち星が増えたけど、3年目にその波に乗っていけなかった。本当はそこが最初のチャンスだったと思うんだ。そういうチャンスは、何度も訪れてはくれないから。
恭介 その通りです。そこで波に乗りたかったんですけどね。なにか波に乗るコツってあるんですか? いや、あるわけないか…(苦笑)。
川田 それがわかれば誰も苦しまないよね(笑)。もちろん、いいときもあれば悪いときもある。それはみんな同じだよ。さっきも言ったけど、リズムが悪いときにあれこれ考えすぎないこと。「今週もダメだったなぁ。でも、来週こそ頑張るぞ!」くらいの気持ちでさ。
恭介 そうですね。そうします!
──川田さんの場合は、3年目にグンと勝ち星が増えましたが、その年は前半に重賞を3つ勝って(小倉大賞典、中京記念、目黒記念)、まさに“波に乗った”っていう感じでしたよね。勢いがあるなかで、そういう馬とのめぐり合わせがあり、見事に結果につなげたというか。
川田 そのあたりは、ある程度“運”もあると思います。もちろん、運ばかりではないですけどね。
恭介 じゃあ、運を良くする方法を教えてください(笑)!
川田 僕も知りたいよ! ちょっと厳しいことを言うけど、今は“国分恭介”っていう存在が目立ってないんだよね。だから、「この馬、誰を乗せようか」っていう話になったときに、「じゃあ恭介で」ってなりにくいんだと思う。勝ったときの印象も、いい勝ち方ではあるけど、インパクトが足りないというかね。じゃあ、どうしたら目立てるかというと…、それはまた難しいんだけど。
恭介 僕の場合、きっとローカルに行ったほうが良かったんでしょうね。
──ローカルで数を勝って目立つ、というのも、ひとつの方法ではありますが。
川田 現実的に言えば、今はむしろそれしかないですよね。ローカルでも簡単に勝てるとは決して思いませんが、中央で数を勝つのは、それ以上に大変なことですから。ただ、恭介はずっと中央で乗っているわけだから、それを今さらローカルに切り替えるのはどうなのかな…とは思う。
恭介 ということは、今のまま何とか頑張って、少しでも目立つしかないと…。
川田 中央で乗っているだけあってキレイに乗るし、攻めるときは攻めるし。技術的にいえば、ローカルでたくさん勝っている同世代のジョッキーたちに負けてないと思うよ。あとは、チャンスのある馬により多く乗せてもらえるようになれば、彼ら以上にたくさん勝てるかもしれない。じゃあ、チャンスのある馬に乗せてもらうにはどうすればいいか、っていうのが問題なんだけどね。
──少なくとも、去年よりは目立っていると思いますよ。常に人気より上位に持ってくるイメージがありますし、“あ、また恭介くんだ!”っていうシーンが増えているように思います。
恭介 本当ですか!? ありがとうございます。中央で目立つ存在になるのは大変なことですけど、あまり深く考えず、普段から明るく前向きにいこうと思います。
川田 そうそう。もっとライトな感じでね。
──たった1つの勝利が、また波を引き寄せる可能性だってありますからね。今回、川田さんのお話を聞いてみて、いかがでした?
ひとつでもリーディングの順位を上げること
恭介 すっごく勉強になりました。やっぱり、オンとオフをはっきりさせることが大事なんですね。僕はそれがまるでできていなかった。トップジョッキーのみなさんは、僕なんかよりもっともっと考えていて、もっともっといろんな努力をされているだろうから、“こんなところで止めていられない、もっと考えなくては!”って、いつも思ってたんです。
川田 僕が平日、何もしていないことが、これでみんなにバレるわけだな(笑)。
恭介 いえいえ、そのぶん川田さんは週末の、というより、1レース1レースにかける集中力が半端じゃないことがわかりましたから。そのための生活リズムもしっかり確立されていて、すごく説得力がありました。
川田 そう? こんな話が記事になって、僕、大丈夫だろうか…(笑)。改めて、対談の相手は僕で良かったの?
恭介 もちろんです! すごく気持ちが軽くなりました。
川田 最後に僕が今、時代の流れを踏まえて一番大事だと思うのは、リーディングの順位をひとつでも上げることだと思う。今は正直、リーディング順位の上の騎手から順番に選ばれていくことが多いと思うから。ということは、上のほうにいないとチャンスは巡ってこない。技術を必死に磨いたところで、チャンスのある馬に乗れなければ勝てないから。だから、恭介にもひとつ上、ひとつ上を目指して頑張ってほしい。
恭介 はい、わかりました。
川田 とにかく、ひとつひとつね。まずは、ひとつでも着順を上げること。それから、ひとつでもリーディングの順位を上げること。それを意識してやっていけば、必然的に技術も磨かざるを得ないわけだから。
恭介 はい! 今日は本当に勉強になりました。ありがとうございました。
【次回のキシュトーーク! は?】
この春はローカルから中央に主戦場をシフトし、西へ東へ大忙しだった松山騎手。ドリームバレンチノとのコンビでは、高松宮記念、函館スプリントSと、悔しい思いも味わいました。はたして松山騎手本人にとって、この春はどんなシーズンだったのでしょうか。春を振り返りつつ、彼の今に迫ります!