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世代対決

  • 2003年07月21日(月) 12時17分
 7月22日、川崎「スパーキングレディーC」。焦点は「ラヴァリーフリッグVS中央勢」に絞られそうだ。南関東牝馬3強。ネームヴァリュー(帝王賞)、ジーナフォンテン(エンプレス盃)に、ひと息遅れをとっていたラヴァリーフリッグだが、前々走マリーンカップ快勝で2頭に雪辱、続く前走かしわ記念は牡馬一線級相手にきわどい2着。ほぼ互角のポジションまで肉薄している。そのかしわ記念は、道中5番手、直線インを鋭く伸びていったん先頭。安藤勝マジックもさることながら、何より馬自身が心身両面で旬を迎えたということだろう。折り合いに苦労した以前と較べ、終始ムダのないスキのないレース運び。1200m、1400mでは少し短く、逆に2000mではその決め手がなし崩しというタイプ。川崎コース1600mは2歳時ローレル賞を圧勝している。ライバル2頭が回避し、条件面ではまず死角が浮かばない。あえてイメージすれば「好調期間が長すぎる」という、漠然としたギャンブル的な不安だけ。気配優先は夏場だけに当然だが、こと予想上は不動の中心と考えたい。

スパーキングレディーC(サラ3歳上牝馬 別定 統一G3 1600m)

◎ラヴァリーフリッグ (56・石崎隆)
○レマーズガール   (52・武豊)
▲ディーエスメイドン (52・森下)
△アオバコリン    (54・内田博)
△バハムート     (54・柴山)
△フューチャサンデー (55・北村宏)
△ブルーマドンナ   (54・左海)
 ロングカイソウ   (55・小池)
 キウィダンス    (54・吉田稔)
 トゥインチアズ   (54・蔵重)

 表題「世代対決」としたのは、3歳世代、それもイキのいい上昇馬がケレン味なく挑戦してきたから。元来ダート路線は素質より経験がモノをいう部分が多いが、今回レマーズガール、ディーエスメイドンは関東オークス1、2着馬。とりわけレマーズは3〜4コーナー軽く仕掛けて先頭に立ち、そのまま独走。堂々悠々とした好馬体も含め、インパクトがきわめて強い。単に勝ちっぷりの凄みというならかつてのプリエミネンス、サクラヴィクトリアあたりとは問題にならなかった。スタート直後少しモタつくシーンもあり1600mベストとはいいがたいが、血統、キャリアから推して、馬そのものがまだまだ変わるか。52キロ、斤量差を生かせば互角の勝負がイメージできる。ディーエスメイドンはそのオークス、レマーズに完敗だが、ここは一転チャレンジャーの気楽さがある。ハマっての爆発力は大井プリンセス賞で実証済み。開き直った直線勝負が面白そうだ。以下、じっくり脚をタメて虎視眈々のアオバコリン、戦績から未知の魅力があるバハムート。昨秋上山・さくらんぼ記念であっといわせたロングカイソウは、おそらく今回ハナを切れまい。それなら混戦でブルーマドンナ。昨年ロジータ記念、ラヴァリーの鼻差2着、展開ひとつで出番も浮かぶ。

       ☆       ☆       ☆

 7月18日川崎競馬1日目、元上山所属、鈴木義久騎手(27)が南関東から再デビューを果たした。同騎手は平成5年から10年間の騎乗で3864戦294勝。勝ち鞍の数字こそ物足りないが、セタノキングなどとのコンビで重賞10勝、当地トップジョッキーであるのはもちろん、ここ一番の勝負強さに定評があった。「佐々木竹見さんの紹介で長谷川茂厩舎にお世話になることになりました。初心を忘れず頑張りたい。左回りは盛岡で経験して特に違和感はありません。また重賞に乗せてもらえるよう、まず周囲の信頼感を得ることが第一です」。当日、設定されたウィナーズサークルでの「紹介式」。背筋のピンとした、真摯な口調が言葉以上に爽やかだった。

 累積赤字、山形市との合併問題も含め存続が危ぶまれる上山競馬。鈴木騎手は先を見越した形で南関東に移籍した。ここ数年、酒井忍(新潟→川崎)、山田信大(新潟→船橋)、御神本訓史(益田→大井)、岡田大(益田→浦和)など、ある意味悲しいスクランブル現象が起こり、しかし移籍後その成功例が目立っている。廃止競馬場から人材を得たのは皮肉といえば皮肉だが、現実に南関東のレース自体はこれで格段に活気を増した。本物のプロとは、一流ジョッキーとは何かということ。ちなみに落馬負傷の御神本Jは、もうしばらく様子をみて、9〜10月をメドに復帰予定と聞いた。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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