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カッチリ決まったディープスカイ産駒の好配合馬スプルス

  • 2013年07月03日(水) 13時00分
●カイミラ(牝 美浦・黒岩陽一 父パイロ、母トリプルアクト)
 父パイロはアメリカ産の新種牡馬。父系はPulpitを経てA.P.Indyにさかのぼり、現役時代はフォアゴーS(米G1)を制したほか、ブリーダーズCジュヴェナイル(米G1)2着、シャンペンS(米G1)2着などの成績を残した一流馬だった。典型的なダート血統で、日本ではダートのマイラーを中心に活躍馬を送り出すと思われる。Pulpit系で日本で走った馬といえばPulpit産駒Tapitを父に持つテスタマッタ(12年フェブラリーS-GI)。イメージ的にはこれに近いと考えていいだろう。本馬はCrew Leader(09年ブリティッシュコロンビアダービー-米G3・2着)の半妹にあたる。母トリプルアクトはNureyev≒Number 2×3という4分の3同血クロスを持つので、繁殖牝馬として期待できそうだ。母方はスタミナ型なのでダ1700〜1800mで堅実に稼ぐタイプだろう。

●ガラッシアファータ(牝 美浦・萩原清 父Distorted Humor、母Kelli Cat)
 父Distorted Humorは競走馬としてはさほど目立つ存在ではなかったが、種牡馬として成功し、Drosselmeyer(11年ブリーダーズCクラシック-米G1)、ファニーサイド(03年ケンタッキーダービー-米G1、03年プリークネスS-米G1)、本邦輸入種牡馬フォーティナイナーズサンなどを出している。11年には米リーディングサイアーに輝いた。日本で走った産駒はダート向きが多い。ただ、本馬の母Kelli Catは「Storm Cat×T.V.Commercial」なので芝適性も感じられ、実際、母の産駒で出世頭のBeautiful Daniele(父A.P.Indy)は芝馬だった。基本的にはダートのほうがいいタイプだと思われるが、同じDistorted Humor産駒のドローアウターのように、芝でもそこそこやれるというタイプになるかもしれない。距離はマイル前後が合うだろう。

●カワキタアロー(牡 美浦・小桧山悟 父ブライアンズタイム、母アンソレイユ)
 母方にMr.Prospectorを持つブライアンズタイム産駒は堅実に走っており、その逆配合も走っているので相性のいい組み合わせといえる。HyperionとSon-in-Lawを組み合わせた血をワンポイント添えるのがコツで、このパターンは産駒に大物感が生まれて上級クラスでも位負けしないケースが目に付く。チョウカイキャロルはAureole、バーディバーディはFlower Bowl、父母逆ながら「キングカメハメハ×ブライアンズタイム」のニックスもこのパターンに分類できる。本馬の母の父リズムはMr.Prospector系で、3代母の父チャイナロックはHyperionとSon-in-Lawを組み合わせから成る。グラスポジション(父リアルシャダイ/04年ステイヤーズS-GII・2着)のほか兄弟姉妹に活躍馬はいないものの、いいところがあるのではと感じさせる好配合馬だ。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

●スプルス(牡 栗東・石坂正 父ディープスカイ、母プレシャスキール)
 サンライズクォリア(父キングカメハメハ/10年兵庫CS-GII・2着、10年ユニコーンS-GIII・3着)、サンライズレクサス(父フォーティナイナー/OP)、ヒカリシャトル(父マンハッタンカフェ/準OP)の半弟にあたる。このほか京成杯(GIII)に4番人気で出走して競走を中止したサンライズキール(父マンハッタンカフェ)がおり、兄姉はコンスタントに走っている。本馬も手堅く走ってきそうだ。父ディープスカイは現役時代にNHKマイルC(GI)と日本ダービー(GI)を連勝した活躍馬で、アメリカ血統を中心に組み立てられた配合なので、同種の血で構成された母プレシャスキールとの交配はうまく可能性がある。Secretariat≒ボールドラッド5×3、Key Bridge≒シル5×3と、カッチリと決まった配合だ。仕上がりが早く競走意欲も旺盛で、芝中距離で活躍するはず。

●ロイヤルグラッセ(牝 美浦・高木登 父タイキシャトル、母トウヨウロイヤル)
 母トウヨウロイヤルは現役時代に未勝利馬だったが、「ロイヤルアカデミー×Riverman×Dance Spell」という配合には見どころがあり、繁殖牝馬として成功している。これまでに送り出した産駒にはサトノプログレス(08年ニュージーランドT-GII)、マイケルバローズ(父タイキシャトル/07年富士-SIII・2着)がいる。本馬はこれらの全妹にあたるので楽しみが大きい。Nijinskyクロスを持つタイキシャトル産駒はニックスで、ゴールデンキャスト、ウイングレット、ディアチャンスといった重賞勝ち馬を送り出している。全兄2頭がともに活躍していること、ニックス配合であることから、この馬も同様に走ってくるものと思われる。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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