当コラムに「お母さん読者」は少ないだろうが、たまに家族や子供に食事を作ってあげるお父さんは結構いるのでは。
かく言う記者もその一人だが、習慣的に作るようになると困ってくるのが献立。ただでさえ子供は食べ方にムラがあるし、好き嫌いも大人に比べれば多い。無理に食べさせようと叱りつけると、食事自体を嫌がることも…。これでは本末転倒だ。
これから成長していく子供にとって食事もトレーニングの一環。食べてくれないことには勉強も運動も、ままならなくなる。“兼業主夫”はいろいろ知恵を絞って格闘しているわけだ。
ではサラブレッドはどうか。世のお母さん方同様、担当の厩務員や助手は大なり小なり手を焼いているようだ。
岡田調教師が「ウチの即戦力では一番」と言い切っていたのがスナッチマインド(牝=父ディープインパクト、母スナッチド)。ところが、いざ入厩すると思うようにカイバを食べてくれない。トレーナーも「食いがなぁ…」とポツリ。厩舎スタッフに聞いてもいい反応は見られないでいたが、「ちょっと乗り越えてきたかな」と内山助手はここにきて良化気配を感じてきたよう。そこで現在担当する伊藤助手に話を聞いてみた。
「カイバの好き嫌いが極端。最初はエン麦と青草しか食べなかったけど、ついにエン麦も食べなくなって、青草だけ食べてる(苦笑い)。いろいろと試してみて、たまに食べる時もあるので、それならと同じものをあげると、今度は“フーッ”と警戒して食べない。もう訳が分からん」
その気持ち、痛いほどよく分かります。苦労はこれだけにとどまらない。
「たまにスイッチが入るとすごく食べる。この前もあげた分を全部食べたことがあってね。それならと気合を入れてちょっと攻めたカイバを作ったら“フーッ”。じゃあ故郷で食べていたものをって育成先の飼料を取り寄せても“フーッ”。育成先に確認したら『食べないのであげてませんでした』って…先に言ってよ(苦笑い)」
カイバ食いが細くてもブエナビスタやジョワドヴィーヴルのようにGIを勝った馬は数多くいる。ブエナ、ジョワドの松田博調教師に言わせれば「走る馬は自分の走りやすい体を知っているから自分で食いを調整するところがある。放っておいても勝手に走るさ」。
とは言うが、そんな名馬たちも毎日の栄養管理をしてくれる厩務員や担当助手の支えがなければ歴史に名前を刻むことはなかったはず。「親はなくとも子は育つ」というが、子供にとっても、サラブレッドにとっても、やはり愛情が一番の“栄養”なのは間違いない。
スナッチマインドも「ディープの子らしく気位の高いところはあるけどかわいい馬なんだ。増えたり減ったりを繰り返しているが、なんだかんだで数字は減らずにきている。この馬なりには食べているんだろうね。いい方に向いてきているのは確か」と伊藤助手。
自身が体の「理想形」を知っていて調整しているのだとすれば…。伊藤助手らの愛情を受けて大舞台に、という期待もかけたくなる。順調にいけば中京開催中にその姿を見せる予定。どのような第一歩を踏み出すのか、注目してもらいたい。
※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。
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