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「中央で乗って良かった」充実した“中央場所”での手応えは…〜松山弘平騎手編(2)

  • 2013年07月10日(水) 18時00分
この春は高松宮記念以外にも、ヴィクトリアマイル、オークス、ダービー、宝塚記念と、5つのGIに騎乗するなど、騎手として着実にステップアップしている松山騎手。今回は、一連の春のGIを振り返りつつ、この春から完全シフトした“中央場所”での手応えをお聞きしました。

■オークスでは一瞬「勝つんじゃないか」と…

──この春、GIに人気馬で挑むという初めての経験を経て、ご自分のなかに変化がありますか?

松山 とくに感じていなかったんですが、函館スプリントS(ドリームバレンチノ・1番人気)で必要以上に緊張せずに済んだのは、高松宮記念を経験したからかもしれませんね。今年前半、一番緊張したのは、やっぱり高松宮記念でしたから。とはいえ、1番人気のときは、クラスに関わらずいつも緊張しますけど。

──高松宮記念以外にも、この春はヴィクトリアマイル(ザッハトルテ16着)、オークス(フロアクラフト5着)、ダービー(ミヤジタイガ18着)と参戦されました。初めてのダービーはいかがでしたか?

乗せていただけたことがただひたすら嬉しかったです

乗せていただけたことがただひたすら嬉しかったです

松山 あれだけ大勢のお客さんの前で騎乗するのは初めてでしたし、やっぱりちょっと雰囲気が違うなぁと思いました。でも、舞い上がってしまうようなことはなかったですね。オークスにしてもダービーにしても、乗せていただけたことがただひたすら嬉しかったです。

──オークス、ダービーというのは、春のクライマックスですものね。ジョッキーなら誰もがそこにいたいと思うでしょうし、馬同様、その舞台に立つことは狭き門です。

松山 ホントですよねぇ。高松宮記念が終わったころは、ヴィクトリアマイルもオークスもダービーも、まったく乗る予定がなかったんです。だから、自分のなかでは“スプリンターズSまでGIの騎乗はないだろうな”と思っていました。でも、ヴィクトリアマイルで騎乗したザッハトルテは、その前に東京に乗りに行ったときに(4月28日・晩春S1着)、『ここを勝ったらGIを使う』と先生がおっしゃっていて、そこで勝つことができて。

──オークスも松山くんの手で権利を取りましたよね(スイートピーS2着)。

松山 スイートピーSは、権利を取ったとはいえ勝ち切れなかったのに、本番でも乗せていただくことができて。ダービーも、まさか声をかけてもらえるなんて思わなかったです。“春は(GI騎乗は)ないなぁ”と思っていたところから、3つも乗れるなんて本当にうれしかった。

──オークスは17番人気で5着。手応えがあったのでは?

松山 はい。直線に向いたときには、一瞬“勝つんじゃないか”と思いました。

──実際、すごくいい競馬でした。“松山くん、きたか!?”と思いましたもん。

松山 僕自身、思いましたからね。“あれ? 勝っていいのかな”なんて(笑)。まぁ、次の瞬間、飲み込まれてしまいましたけど(笑)。それにしても、今年はけっこう東京に行きましたね。5週くらい行ったかなぁ。いろいろな場所で乗せていただけるのは、本当にうれしいし、勉強になりますね。

──ちょっと調べたところ、東京競馬場は一昨年の京王杯SC(ドリームバレンチノ7着)以来の参戦でしたね。3月に(藤岡)佑介さんと対談していただいたときは、“いつ中央にシフトするか”ということがテーマになって、そのときは「中央に行ったら、乗り馬が集まるかどうか不安です」なんておっしゃっていましたが、それも杞憂に終わりましたね。

中央に行って良かったなって今は思っています

中央に行って良かったなって今は思っています

松山 本当にありがたいです。ローカルにいるころよりはチャンスは減りましたけど、それは乗り越えなければいけないことですからね。GIに騎乗できたことはもちろん、いい経験をたくさんさせていただきました。まだまだ“中央でもやれる!”という手応えはありませんけど、中央に行って良かったなって今は思っています。

──しかも、オークス、ダービーの日には、特別レースで勝利。しかもどちらも人気馬でしたね(芍薬賞・ミヤジマッキー1番人気1着、シンザンC・サイモンラムセス2番人気1着)。GIのある東京で勝つというのは、存在をアピールするには絶好ですし、これは中央でも波に乗っていけるのではないかなと思いました。

松山 そういう大きいレースの日に人気馬に乗せていただけたのは、すごくありがたかったです。しかも、みなさんの注目度が高いレースでしたし、ホントにラッキーだったと思います。普段のレース以上に目立てますからね。

──中央にシフトして騎乗馬が減ることもありませんでしたし、GIにもたくさん騎乗されて、目立つところで勝つこともできて。この春は充実していたのではないですか?

松山 ん〜、でも1番人気でなかなか勝てなくて。人気はファンの方が決めることとはいえ、やっぱり“1番人気で勝ちたい!”という思いがあるので…。

──今日、お話を伺っていてずっと思っていたのですが、なんか元気がないような…。

松山 あ、先週(函館スプリントS)負けたからかな(苦笑)。やっぱり元気ないですか? そんなつもりはないんですけど、今朝、調教のときもいわれたんですよねぇ…。

【次回のキシュトーーク!? は?】
 この春から完全に主戦場を中央に移し、オークス、ダービーにも騎乗。勝ち星でも関西6位と順調に見える松山騎手ですが、どうやら壁にぶち当たっている様子…。そこには、昨年から一気に成績を伸ばしたことに起因する葛藤がありました。次回はその胸の内に迫ります!

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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