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レッドディザイアの半弟にあたるディープ産駒キミノナハセンター

  • 2013年07月17日(水) 12時00分
●アンジュシュエット(牝 美浦・二ノ宮敬宇 父フレンチデピュティ、母ショウナンガッド)
 母ショウナンガッドはショウナンタレント(07年フラワーC-GIII)、ショウナンアルバ(08年共同通信杯-GIII)、ショウナンパルフェ(11年青葉賞-GII・2着)の半姉で、6戦1勝という競走成績ながら、ウェディングフジコに先着するなど素質の片鱗を示し、競走成績以上に能力を感じさせる馬だった。本馬は「フレンチデピュティ×フジキセキ」なのでDeputy Ministerとフジキセキのニックスを持っている。同じ「フレンチ×キセキ」の組み合わせで外れなく走った三姉妹(フレンチノワール、パープルストック、パープルプローズ)と同じく2代母の父がNureyev系。いいところがありそうだ。芝向きのマイラー〜中距離タイプ。

●アンジュドボヌール(牝 美浦・古賀史生 父タイキシャトル、母ハタノプリエ)
 ハタノヴァンクール(父キングカメハメハ/12年ジャパンダートダービー-Jpn1、13年川崎記念-Jpn1)、スギノブレイド(父アフリート/準OP)の半妹で、母ハタノプリエはジャガーメイル(10年天皇賞・春-GI)の半姉にあたる。“母の父ブライアンズタイム”は主に底力やパワーを伝え、エスポワールシチー、ブルーコンコルド、ヴァンクルタテヤマといったダートの猛者を生み出している。一見、ダート向きに出そうに思えるが、「タイキシャトル×ブライアンズタイム」はドリームサンデー(10年金鯱賞-GII・2着)を筆頭になぜか芝向きに出る傾向があり、本馬は牝馬である上でにHalo 3×4という素軽いクロスもあるので、芝適性も十分備えているだろう。距離はマイル前後が良さそう。

●カネトシビバーチェ(牝 栗東・大橋勇樹 父キングカメハメハ、母ホームウォード)
 母の父Giant's CausewayはStorm Cat系の代表的な種牡馬で、米リーディングサイアーに3回輝いている。基本的にはダートの向きの種牡馬だが、芝に対応する能力もあり、日本ではエイシンアポロン、スズカコーズウェイ、エーシンジーラインなどが重賞戦線で活躍している。本馬の父キングカメハメハはStorm Catと相性良好で、この組み合わせから短距離王ロードカナロアが出ている。キングカメハメハは基本的には「Northern Dancer+Secretariat」の構成を持つ血と相性がよく、Storm Catはそのひとつ。このパターンの血とキングカメハメハとの組み合わせから、ローズキングダム、ロードカナロア、ベルシャザール、エオリアンハープ、ビンテージチャートなどが出ている。本馬の2代母は「Irish River×Halo」なので芝適性もありそうだ。

●キミノナハセンター(牡 美浦・藤沢和雄 父ディープインパクト、母グレイトサンライズ)
 ブエナビスタの好敵手で秋華賞(GI)を勝ったレッドディザイアの半弟。12年のセレクトセールで1億5000万円(税抜)の高値で落札された。父ディープインパクトと相性抜群のCaerleonが母の父に入るのがポイントで、この組み合わせはJRAで出走した19頭中14頭が勝ち上がり、ジョワドヴィーヴル、カミノタサハラ、ダノンシャーク、トーセンレーヴ、ボレアス、パララサルー、マウントシャスタなどが出ている。2代母の父はスタミナと底力に秀でたSadler's Wells。目に見えて速い、と思えるスピード血統が入らないので、一歩間違えれば鈍重な長距離タイプになりかねないが、レッドディザイアの半弟なので何とかなるだろう。堂々たるクラシックタイプで、ハマればダービーも狙える。5月24日の遅生まれがどうかだけ。

●サンライズブルー(牡 栗東・安田隆行 父クロフネ、母トリプレックス)
 母トリプレックスはAlywow(カナダ年度代表馬)の半妹で、ローズS(GII)4着の成績がある。Halo≒Sir Ivor 2×3という相似な血のクロスを持っているので、繁殖牝馬としてコンスタントにスピードを伝えている。本馬は「クロフネ×サンデーサイレンス+Raise a Native+La Troienne」という構成で、いかにも外れが出にくい堅実な配合。全兄アイアムイチバンは新馬戦を勝ち、最終的には準OPまで出世した。本馬も同様の活躍が見込める。

●トータルヒート(牝 栗東・平田修 父Street Cry、母Lethal Heat)
 父Street Cryは現役時代にドバイワールドC(G1・ダ2000m)などを制し、種牡馬としてもZenyatta(米年度代表馬)、Street Sense(米2歳牡馬チャンピオン)をはじめ多くの活躍馬を送り出して成功を収めている。母Lethal Heatは現役時代、ハリウッドオークス(米G2・ダ8.5f)を勝った活躍馬。決して芝をこなせない配合ではないが、アメリカ血統同士の配合なのでダートのほうが力を発揮できるだろう。芝で走る場合は、渋った馬場、荒れ馬場、洋芝などがいい。中距離でタフに頑張りそうな馬だ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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