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全兄3頭はすべて重賞級、ディープ産駒のニックス配合ベルキャニオン

  • 2013年07月24日(水) 12時00分
●ディルガ(牝 栗東・矢作芳人 父Curlin、母Baghdaria)
 母Baghdariaは現役時代、北米で16戦6勝。インディアナオークス(米G3・ダ8.5f)など3つの重賞を制した。父CurlinはドバイワールドC(首G1)、ブリーダーズCクラシック(米G1)など7つのG1を制し、米年度代表馬に選ばれ、米歴代最多賞金獲得記録を樹立した名馬。現3歳世代が初年度産駒で、なかなか重賞勝ち馬が出ずにファンや生産者をやきもきさせたが、先月、米三冠の最終関門ベルモントS(米G1・ダ12f)をPalace Maliceが制し、さすがというところを見せた。日本ではエーシンエポナ、アトランティードが勝ち上がっているが、前者は芝向きなので、案外芝で走れるタイプなのかもしれない。本馬は、母の父ロイヤルアカデミーが芝OKで、2代母の父Unbridledがダート向き。適性としては芝・ダート兼用タイプだろう。1400〜1800mあたりで本領を発揮する。

●トレクァルティスタ(牡 美浦・藤沢和雄 父キングカメハメハ、母ハッピーパス)
 母ハッピーパスは京都牝馬S(GIII)の勝ち馬で、シンコウラブリイ(93年マイルCS-GIなど重賞6勝)の半妹にあたる良血。04年に引退後、繁殖生活に入ったが、妊娠しにくい体質でしばらく子宝に恵まれなかった。そして、スタッフの努力が実ってようやく授かったのがラヴェルソナタ(父ファルブラブ/3勝)。続く2番子はパストフォリア(父シンボリクリスエス/4勝)、3番子は全兄コディーノ(12年札幌2歳S-GIII、12年東京スポーツ杯2歳S-GIII)、そして4番子が本馬。上が全頭外れなく走っているように、繁殖牝馬としてのハッピーパスの能力はきわめて高い。「キンカメ×サンデー」の配合にはいくつかコツがあり、そのひとつは2代母の部分にHyperionが濃いめに入っていること。父の代表産駒の1頭トゥザグローリーがこのパターンで、Hyperion 4×3(Lady Angela 3×2)のノーザンテーストが入るパターンも成功している。本馬は、2代母ハッピートレイルズが5代以内にHyperionとSon-in-Lawから成る血を3本抱え(Forli、Abernant、Aureole)、このファミリーの底力を下支えしていると同時に、キングカメハメハと相性のいい配合パターンとなっている。全兄コディーノと同様の活躍を期待したい。

●ベルキャニオン(牡 美浦・堀宣行 父ディープインパクト、母クロウキャニオン)
 母クロウキャニオンは父ディープインパクトがスタッドインした年から連続で交配しており、これまでにデビューを果たした3頭はすべて重賞級の活躍馬となっている。ボレアス(11年レパードS-GIII)、マウントシャスタ(12年毎日杯-GIII・2着)、カミノタサハラ(13年弥生賞-GII)。その全弟にあたる本馬も、まともなら兄同様に重賞戦線で活躍する馬となるだろう。母の父フレンチデピュティ、2代母の父Caerleonはともに父ディープインパクトと相性抜群で、ダメ押しは4代母の父Vaguely Noble。母方にこの血を持つディープ産駒は文句なしの好成績で、これまでに19頭が出走して17頭が勝ち上がっている。勝ち上がり率だけでなく、クロウキャニオンが送り出した3頭の全兄弟のほか、トーセンラー(13年京都記念-GII、11年きさらぎ賞-GIII)とスピルバーグ(12年共同通信杯-GIII・3着)の兄弟、桜花賞(GI)2着のレッドオーヴァル、ステイヤーズS(GII)2着のファタモルガーナ、セントライト記念(GII)3着のダノンジェラートなど、内容的にも素晴らしい。クロウキャニオン産駒からはまだGI馬は出ていないので大いに期待したい。

●マイネオーラム(牝 美浦・高橋義博 父ステイゴールド、母マイネシャローナ)
 コスモオオゾラ(父ロージズインメイ/12年弥生賞-GII)の半妹。母マイネシャローナはDrone≒Halo 4×4で、父ステイゴールドはHaloの直系の孫にあたるので、本馬はこのクロスを3×5・5と継続している。2代母の父にMr.Prospector系のMachiavellianが入るものの、全体的にややスピード感に欠けるゴツゴツとした配合。ステイゴールド産駒はそうした配合のほうが走りやすいので悪くはないだろう。半兄コスモオオゾラと同じく芝2000m前後で粘り強い走りを見せてくれるはずだ。

●ルミナスパレード(牝 栗東・藤原英昭 父シンボリクリスエス、母ルミナスポイント)
 半兄ルミナスウイング(父クロフネ)は現3勝。ダート短距離で頭角を現し、3歳馬ながら古馬相手に1000万特別を勝って準OPに出世している。母ルミナスポイントも現役時代はダート短距離を得意とし、最終的にはOPクラスで走った。その兄弟にはランフォルセ(12年ダイオライト記念-Jpn2、11年エルムS-GIII)、ノットアローン(08年若葉S-OP)、ノーザンリバー(11年アーリントンC-GIII)、モンローブロンド(04年ファンタジーS-GIII・2着)など活躍馬多数。本馬は「父シンボリクリスエス、2代母ソニンク」という配合なので、ランフォルセの4分の3同血にあたる。母ルミナスポイントはスピード色が強いので、ランフォルセよりは距離適性は短く、ダ1400〜1600mあたりが適条件ではないかと思われる。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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