◆サンタアニタトロフィー展望
(7月31日 大井 サラ3歳以上 ハンデ 南関東SIII 1600m)
「サンタアニタトロフィー」は昭和55年創設、当時「関東盃」でスタートし、以後平成8年タイトルが変更された。繰り返し書いたことだが、関東盃→サンタアニタ、名称は今風に進化したものの、同時に軽く平凡なレースになってしまった。例えば関東盃時代の優勝馬、トウケイホープ、テツノカチドキ、ガルダン、ジョージモナークなど文句なしのGI級で、中でもテツノカチドキは59.5キロ、極量をものともせずに勝ち切った。重賞自体の数が少なかった時代ではもちろんある。ただレースの格、伝統が、結果的に引き継がれてこない現実。寂しいといえばやはり寂しい。
もっとも「サンタアニタ」は関東盃時代を含め、既成勢力より上昇馬、成長株が活躍する歴史がある。古くは昭和57年、恵量50キロでコーナンルビーを退けたレイクルイーズ、同63年、53キロでイナリワンを完封したイーグルシャトー。近年でも平成19年、シーチャリオットに競り勝ったショーターザトッシなどが好例で、昨年ゴーディーもハンデこそそう軽くない55キロだが、当時重賞初制覇という点でイメージは合致する。さて今年のメンバー。4歳馬がプーラヴィーダ1頭だけとは物足りないが、5歳ピエールタイガー、サチノシェーバー、6歳セイントメモリー、スマートジョーカー。遅ればせながら本格化…を思わす面々が上位拮抗の形で顔をそろえた。ごく冷静、客観的にみて、ここ数年よりレベルも高い。
(1)…近年波乱。1人気[2-3-0-5]、2人気[2-4-2-2]、3人気[3-0-0-7]。数字的にはまずまずだが、現実に昨年、一昨年と1人気が10、10着と大敗した。楽観できない。
(2)…成長株。4歳=5勝、2着2回と大きくリード。5歳=3勝、2着2回も特筆できる。6~7歳=それぞれ1勝、8~9歳も2着があるが、総体的には若い馬。昨年は4歳ワンツー決着。
(3)…勢い重視。過去10年、連対20頭中12頭までが、直前1~2着の好調馬だった。TR「スターライトC」勝ち馬は5頭出走、スピニングアロー、ゴーディーと2頭優勝だから脈がある。
(4)…差しタイプ。逃げ=2、先行=4、差し=13、追込=1。純粋な逃げ切りは過去10年皆無で、反面、典型的な追い込みも18年ボンネビルレコード1頭だけ。好位~中団からの差しが主流。
※データ推奨馬
◎プーラヴィーダ…昨春東京ダービー2着、暮れに勝島王冠を制した大井所属4歳馬。今回8か月の休養明けだが、体調さえ整えば南関東を牽引はもちろん、統一Gで好勝負可能な絶対能力を持っている。父フィガロ、好位から息の長い脚が使えるタイプ。鞍上・戸崎騎手はこのレース、勝ち星こそないものの、20、23年、マズルブラストで2着2度。
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◎セイントメモリー 57本橋
○サチノシェーバー 54岩田
▲スマートジョーカー 56.5武豊
△ピエールタイガー 57真島
△プーラヴィーダ 56.5戸崎
△クリーン 56.5森
△カキツバタロイヤル 56.5石崎隆
サイオン 56佐藤太
ジョーメテオ 56坂井
ファイナルスコアー 56楢崎
セイントメモリーの本格化に期待した。前走船橋「京成盃GM」を4馬身差独走劇。ハイペースの逃げから直線もうひと脚使う圧倒的な内容で、まさしく今が旬という勢いがある。アフリート×ヘイロー。速さと強さ、両面を備えた一級マイラー。今回引き当てた1番枠も、脚質的に大きなプラスといえるだろう。今季本橋騎手とコンビを組み3戦3勝。呼吸のよさも特筆できる。
TR・スターライトC快勝サチノシェーバーが相手本線。当時上昇馬シンゼンレインボーを並ぶところなく捕え、いかにもマイラーとして円熟を感じさせた。今回初重賞挑戦だが、引き続き岩田康J起用は意欲の表われ。しかも他有力馬と較べ軽ハンデの味方がつく。前走連勝ストップのスマートジョーカーも、こと末脚勝負ならヒケをとらない。通算17勝、鍛え込まれてきた切れとガッツ。今回は武豊Jの手綱にも興味が大きい。プーラヴィーダの場合は、長休明け、気持ち忙しい1600mがどう出るか。高速決着になると入着止まりの危惧もある。それなら地元に戻ってピエールタイガーの巻き返し。このレース2勝カキツバタロイヤルもベテラン騎乗で侮れないが、ややズブくなった近況からは上がりがかかる条件付きか。