
講義中の渡辺薫さん
(第32回までの超ざっくりとしたあらすじ)
「必勝法を見つけた!」という1通のメールがきっかけで始まった、ひとりのサラリーマンの泣き・笑い満載の馬券ドキュメント。当企画の主人公のオオヤブは、毎回ネット競馬のサイト『netkeiba.com』から馬券のヒントになるものを探し出し、それを元に手を変え品を変え、馬券を購入するという方法をとってきたが、春の青葉賞の会心ヒットを境に大スランプに突入。以降、オオヤブの買い方は迷走をはじめ、完全に自分を見失ってしまう。業を煮やした編集部はオオヤブにコーチをつけることを画策。6月の日刊競馬の看板評論家・柏木集保氏に続き、7月は東スポの渡辺薫氏を臨時コーチにして馬券修行に励んだオオヤブは、大いなる自信を得て実戦に挑むのであった。
福島6Rの隠し玉、超自信の本命だったエルインペレイターがまさかの逆噴射。3連単1着付けの72点買いで、25400円あった資金から14400円を出血大放出。アベノミクスの時代に起きたリーマンショックか、残る資金は11000円に激減し、オオヤブは半ベソ状態。7月の馬券100本ノックもラストスパートだが、バカチン・オオヤブの運命や如何に!?
◆終いには渡辺さんの本命にも乗らずにドボン!『う~ん、渡辺さん本人が「最近予想が不調なんだよ」といっていたのも、なんだかわかる気がします。今日は内有利の馬場にかかわらず、渡辺さんの本命馬はことごとく外枠。しかもそれが差しタイプなんですよ。流れが悪すぎます。でも6Rのエルインペレイターは、渡辺さんも超強気だったんで、外枠でもこれは来ると思ったんですけど……』
そりゃあ渡辺さんだって、曲がりなりにも弟子のお前にビミョーな馬なんて教えないだろうし、相当自信があったんだろうよ。渡辺さんもレース後は、お前と同じく口アングリだったと思うぞ。即席の師匠と弟子だけど、美しい一蓮托生関係じゃないの。

渡辺さんの本命からドリャ!
『今日は生きるも死ぬも師匠次第。素直に付いていくと決めたんです。次の
7Rも渡辺さんの本命からドリャア~~』
おいおい、ちょっとはお前なりの工夫も入れろよ。「渡辺さんの予想に乗っかってガッチリ買いましょう!」のコーナーじゃないんだから!
『わかってますって。7Rの本命14.シャツカストラインは東スポの調教採点7で、netkeiba.comの調教でも高評価。軸は堅そうなんですが、相手は難しいので渡辺さんの予想よりも手広く、手広くと』
というオオヤブは、馬単1着付けの10頭流しを敢行。だが、レースでは肝心の軸馬14が3着。見せ場は作ったが3着じゃどうしようもない。ワイドにすればよかったな。柏木さんも馬券を工夫しろって言ってたじゃん。前回の特訓が全然身になってないじゃん。
『あ~もうダメダメ! しっかし、14も味が無いよなあ。道中かなりイイ感じだったのに伸びないもんなあ。前回の100本ノックもそうだったけど、内田と相性ワリィ!』
と、ひとりやさぐれるオオヤブだったが、このあと、案の定いつもの「暴走モード」に突入。冷静さを欠いてやけくそに馬券を買い、終いには公言を破って渡辺さんの本命を外すという行動に出たものの、自分の予想も渡辺さんの予想も共にハズレでは、もはやどうしようもない。しかも9Rからは福島だけでなく、他場まで手を出して資金をどんどん減らし、各場のメインレースが始まる前までに資金は残り2000円ほど。「しゅう~りょ~う!」とホイッスルを吹こうとすると、クールダウンしたオオヤブが急に猫撫で声で、
『おかわりくだちゃ~い』
へ? 何よ、おかわりって。もしかして追加融資? なら自分でATM行ってきなさいよ。
『ありましぇ~ん。土浦で遊び過ぎて、口座も雀の涙で、僕の目も涙。ウワ~ン! お願いっ、お願いです! ぼ、僕に諭吉をひとりでいいんでまわしてください!』
まるでどこかの放蕩息子で、これが時代劇の賭場だったら、札(金)を回すにも証文に指印押してもらって、返せないなら証文持って実家に踏み込んで、「おうおう返せねえならお前の妹をいただいてくぜ」と人道無視の荒業に出るところだが、仕方ないので証文無しで諭吉1枚を臨時融資。勝ったら返せよ(このパターンで返ってくることはほぼ皆無だけど)。
『ここまで渡辺さんも僕も不調ですが、そこは一応プロだし、ボウズってことはまさかないですよ。ボウズ丸儲けっていいますし、逆転しますって』
ボウズ丸儲けの意味が違~う!
◆師匠の傾向を読んでようやく最終レースで初当たり!
調子が上がらないオオヤブ
しかし、メインレースでも調子が一向に上がらないオオヤブ。
函館11Rは渡辺さんの本命馬から馬単マルチ(相手6頭)、中京も渡辺さんの本命・対抗を2頭軸にした3連単マルチ(相手6頭)、福島は渡辺さんの本命とオオヤブの本命を2頭軸にした3連単マルチ(相手7頭)で、3場トータル9000円の投資。惜しかったのは函館だが、軸がピタリもまさかのヒモ抜けでケチが付いたのか、中京、福島はまったく見せ場なしの撃沈!
『残りはこの軍曹(漱石)3枚。このまま帰るのもしゃくなので、玉砕覚悟で最終レースに特攻かけます。函館はどうも相性がよくないので見。福島も今日は全然ダメ。中京は10Rが意外に惜しかったので、
最終は中京で勝負しますか。師匠の本命は2着が多いようなので、ここは2着付けかな。師匠本命の4.デウスウルトは、ネット競馬の調教評価もAだし、東スポの調教採点7。これでダメならヤケ酒かっくらって家で寝ますわ』
渡辺さんから教えを受けたにもかかわらず、このまま1個も当たらないんじゃ、渡辺さんの沽券にもかかわってくるぞ。もう最後だけど、なんとかしろオオヤブっ!
『4の2着付けの3連単フォーメーションで相手は1.2.6.9.12.15の6頭。3000円投入で、これでホントのスッカラカン!』
ここにきて完全に開き直ったオオヤブだったが、そんなときこそ奇跡が起きるもの。2着付けした4がその通り2着に入り、1着に9.テンペル、3着が12.アドマイヤキンカクで3連単をゲット。配当は5940円だったが、ここまでかなり鬱屈していただけに、かなりうれしい的中となった。

渡辺さん、やりました!
『やった、やりましたよ、渡辺さん! 弟子がようやく初当たりですよ。いやあここまで長かった。でも、これでようやく流れが良くなる……と思っても、これで今日のレースは終わり。でもいいや、これ両替して明日のプロキオンSも買っとこ。もちろん渡辺さんの本命を2着付けで』
だが、そうはうまくいかないもので、プロキオンSはスカッとハズレ。しかも、この日の夜、渡辺さんからオオヤブに特注情報第2弾が入り、薦められた翌日の2歳新馬戦で馬単1点買いを敢行するも玉砕。結局、的中はたったの1本。人のふんどしで相撲を取ろうとしても、そううまくはいかないのだよ、オオヤブ。でも、柏木さんのときと同様の特別ルールで、本日の的中本数(1本)に渡辺さんが振ったサイコロの出目をかけた数が、今日の100本ノックの捕球数になる。で、渡辺さんが土浦で振ったサイコロの出目はなんと「9」。つまり、今回は9本的中扱い。渡辺さんに感謝しなくちゃな。
ところがこの後日、オオヤブに会うと、なぜか機嫌が悪い。そのわけを聞くと、
『ひどいですよ、師匠は。あの後、急に予想が絶好調になっちゃって、東スポの見出し見ても、「馬匠・渡辺的中!」の文字が紙面で躍りまくりですよ』
確かにあのノックの後から8月中旬にかけて、渡辺さんずっと好調だな。まあ、あの日、お前が予想に乗っかってハズレ続けたことが厄払いになったのかもね。でも、そんな師匠に乗っかって、お前もあの後、相当儲けたんじゃないの?
『こんなときに限って、金がありましぇ~ん(涙)』
現在の馬券的中数
59本ゴールまで残り
41本
新たなるコーチが登場!
【次回予告】
日刊競馬の柏木集保さんと東京スポーツの渡辺薫さん、ふたりの大物から予想の何たるかを教えられながら、不甲斐ない結果が続くオオヤブの前に新たな大物コーチが……。松岡修三並みのアツいコーチたちによる真夏の灼熱特訓シリーズ第3弾では、「馬」出身のダンディ評論家が登場!(井崎さんじゃないよ)
【馬券100本ノックのルール】
・netkeiba.comのコンテンツを使って馬券を的中させれば『1本』。馬券の種類は問わない。
・万馬券であれば1本プラス、10万馬券ならば10本プラス。
・100本に到着するまで本企画は終わらない(不人気で連載終了の可能性は僅かにあり)。
・馬券を購入できるのは月に1日。どのレースを買ってもいいが、重賞は必ず買う。
・購入資金はオオヤブのお小遣い3万円以内。足りなくなったら・・・・・・