「もうタニノミクスは終わってしまったんですか?」
同業者からこんなことを聞かれる。タニノミクスとは6月上旬から谷厩舎の馬が活躍し、好景気に包まれたことに対して同厩舎の周辺でささやかれた“トレセン新語”のことである。確かに、8月4日の小倉新馬戦をシゲルカガが勝った後は、それまでの好況がウソだったかのように勢いがパタッと止まり、勝ち鞍ゼロ。かのアベノミクスよりも早く谷厩舎の好景気が終焉を迎えてしまったように見える。だがタニノミクスは、まだ終わっていなかった。
今年の小倉開催は夏特有のスコールをはじめとする雨が極端に少なかったことで芝の状態が良好なまま推移し、速い時計の決着がずっと続いた。それが、先週の雨で重〜不良で競馬が開催され、ようやく馬場が悪化。それに追い打ちをかけるように台風15号が向かっている。トレセン内では「土曜の競馬はできないかも」と言われるほどで、さらに芝が悪化するのは明白。今年の小倉2歳Sはスピードだけで乗り切れるような、ヤワな舞台ではなくなる。
そこで、浮上してくるのがタニノミクスの秘蔵っ子シゲルカガというわけだ。もともとデビュー前から調教パートナーの広井助手が「芝も走るけどダートならもっと走る」と豪語していたピッチ走法の馬で、血統的にもバリバリのダートタイプ。「おばあちゃんのトミアルコは第1回のダービーグランプリの勝ち馬なんやで」とは担当の森脇厩務員。今週水曜坂路で50.8秒の猛時計を叩き出したのは、あくまで序章。週末には台風直撃で“天運”を味方につけたこの馬が荒れ馬場を疾走――。我々はもう一度タニノミクスの恩恵にあずかることができるのだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
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