スペシャルウィーク
◆ダービー制覇へ約束のシナリオ プロ野球のドラフトに当たり年があるように、競馬の世界にも、同じ世代から名馬が一時にまとめて誕生することがある。
1995年生まれのスペシャルウィーク、エルコンドルパサー、グラスワンダー、セイウンスカイが、まさにそれ。競馬史に名を残す優駿が、これほど出た世代も珍しい。
もっとも、1998年のクラシックで戦ったのは、スペシャルウィークとセイウンスカイだけ。この時代は日本産馬にしかクラシックの出走権がなく、米国産馬のエルコンドルパサーとグラスワンダーは、別路線を歩むしかなかった。
しかし、それがかえって個々の強さを神秘のベールに包み、よりファンの興味を惹きつけたと言える。「どの馬が最も強いか」「長距離ならこの馬」「中距離ならあの馬」。架空レースを酒の肴に、呑み屋で盛り上がったものだ。
スペシャルウィークは生まれて5日後に母が死亡している。農耕馬の乳母に育てられたが、2歳11月のデビュー戦を楽勝。明けて3歳1月の条件戦を惜敗したものの、格上挑戦となったきさらぎ賞を勝利。続く皐月賞トライアルの弥生賞も、2連勝中のセイウンスカイ、超良血のキングヘイローを退けて重賞2連勝を飾った。
そして迎えた皐月賞。向かうところ敵なしのスペシャルウィークは、不利な大外18番枠にもかかわらず、単勝1.8倍の1番人気となった。だが、当日は柵が移動され、内は新品同様のグリーンベルト。この状態のいい内の馬場を走るのと、外のデコボコ馬場を走るのとでは大違い。
それでも力強く追い込んだが、あと一歩届かず、セイウンスカイ、キングヘイローの3着に敗れた。しかし、これは次の日本ダービーを勝つための、「約束のシナリオ」みたいなものだったと言えるかもしれない。
弥生賞の勝ち馬が、続く皐月賞で期待を裏切り、日本ダービーで雪辱を果たす。この時代はそんなシナリオが多かった。1993年の日本ダービーを勝ったウイニングチケット(弥生賞を勝ち、皐月賞4着)が、その好例である。
確かに、日本ダービーに出走したスペシャルウィークは、デビューからずっと乗り続けてきた武豊を背に、怒涛の追込みを決めて2着に5馬身の圧勝でゴールを駆け抜けた。天才と謳われ、数々の大レースを手にしてきた武豊。だが、日本ダービー制覇はこれが初めてであった。
この勝利がダービー初勝利だった武豊
この勝利が引き金となり、以後、サンデーサイレンスと武豊のコンビによる、日本ダービー快進撃が始まることとなる。
スペシャルウィークが他の3頭と違っていたのは、母系に明治から続く古い在来血統を従えていたことだった。日本産馬のレベルが低い元凶とされ、切り捨てが進行していた在来血統。だが、スペシャルウィークの走りは古さなど微塵も感じさせないものだった。(吉沢譲治)
◆レース詳細
1998年06月07日
第65回 東京優駿(GI) 東京/芝左2400m/天候:曇/芝:稍重
1着 スペシャルウィーク 牡4 57 武豊 2:25.8
2着 ボールドエンペラー 牡4 57 河内洋 5
3着 ダイワスペリアー 牡4 57 菊沢隆徳 1/2
4着 セイウンスカイ 牡4 57 横山典弘 ハナ
14着 キングヘイロー 牡4 57 福永祐一
※年齢は当時の旧年齢表記
◆競走馬のプロフィール
スペシャルウィーク(牡4)
父:サンデーサイレンス
母:キャンペンガール
騎 手:武 豊
調教師:白井 寿昭 (栗東)
馬 主:臼田 浩義氏
生産牧場:日高大洋牧場
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