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トーセンラー、ヴィルシーナと配合パターンがよく似たアトム

  • 2013年09月04日(水) 12時00分
●アトム(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母シャイニングエナジー)
 母はゲイムリーH(米G1・芝9f)の勝ち馬で、日本における初子のアメリカンドリーム(父Dynaformer)は現1勝馬。Lyciusを通じたLyphardクロスとSpecial牝系の血(NureyevやSadler's Wellsなど)を併せ持つパターンはトーセンラー(13年京都記念-GII、11年きさらぎ賞-GIII)に似ており、Mr.Prospector、Nureyev、Rahy(=Morn of Song)を近い世代に併せ持つ配合はヴィルシーナ(13年ヴィクトリアマイル-GI、12年クイーンC-GIII)に酷似している。要するにディープインパクトの成功パターンに高確率で当てはまっているので、馬に問題さえなければ走ってくる可能性は高い。母の父はパワーを帯びたRahyだが、芝適性やスピード面に問題はないだろう。中距離タイプ。

●エルトント(牡 美浦・鹿戸雄一 父マンハッタンカフェ、母ジェイドアイランド)
 父マンハッタンカフェはNijinskyとMr.Prospectorを併せ持つ繁殖牝馬と相性がいい。このパターンからはイコピコ、サンディエゴシチー、マンハッタンスカイ、レッドアゲート、メイショウレガーロ、エーシンモアオバーといった活躍馬が出ている。本馬はこのパターン。2代母Nijinsky's Bestは名繁殖牝馬Sex Appeal(トライマイベスト、El Gran Senorの母)、Malinowski(愛2歳牡馬チャンピオン)、Blush With Pride(ケンタッキーオークス、サンタスサーナS)などのきょうだいにあたる良血馬。ハイレベルな資質を示す材料がそろっているので期待できる。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

●サンタエヴィータ(牝 栗東・松田博資 父Smart Strike、母エヴィータアルゼンティーナ)
 母エヴィータアルゼンティーナはアメリカで走り通算14戦6勝、ラブレアS(米G1・ダ7f)など4つの重賞を制した。ラブレアSは牝馬限定ではなく牡馬も出られるレースなので価値が高い。勝った重賞は6.5〜7fの距離に収まっており、短距離向きのスピードに秀でた馬だった。アメリカでSmart Strikeを受胎し、日本にやってきて出産したのが本馬。父Smart Strikeは07、08年に米リーディングサイアーに輝いた名種牡馬で、Curlin(米年度代表馬)、English Channel(BCターフなどG1を6勝)、Lookin at Lucky(プリークネスS)、Fleetstreet Dancer(ジャパンCダート)、ブレイクランアウト(共同通信杯)など多くの一流馬を送り出している。父Smart Strikeも、母の父Candy Rideも、芝で実績を残した産駒を出しているので、ダート専用馬ではなさそう。距離はマイル前後が合っている。

●トーセンマイティ(牡 美浦・加藤征弘 父ダイワメジャー、母カチバ)
 準OPまで出世したアイアムルビー(父Saint Liam)の半弟で、母カチバはバーバラフリッチーH(米G2・ダ7f)の勝ち馬。母はStorm Cat、Private Account、Vice Regentを近い世代に持ち、アメリカ的なパワーを感じさせる。母方にStorm Catを持つダイワメジャー産駒は、10頭出走して9頭が勝ち上がり、そのなかにはカレンブラックヒル(12年NHKマイルC-GI、12年毎日王冠-GII、12年ニュージーランドトロフィー-GII)、メジャーアスリート(11年全日本2歳優駿-JpnI・2着)、サンマルクイーン(12年ローズS-GII・6着)が含まれる。芝・ダートを問わず好成績を挙げており、基本的にはダートのマイラーだと思われるが、芝に対応できる可能性も捨てきれない。2011年のセレクトセールで1億円(税抜)で落札された高馬。その値段に見合う活躍を期待したい。

●レッドルシアン(牝 美浦・鹿戸雄一 父ゼンノロブロイ、母アルウェン)
 全姉ギンザボナンザ(父ゼンノロブロイ)はアネモネS(OP)の勝ち馬。母アルウェンはエモシオン(99年京都記念-GII)の全妹で、2代母アドラーブルはオークス馬という良血。父ゼンノロブロイはアメリカ血統が強いせいか、スタミナと底力に秀でたヨーロッパ血統と相性が良好。オークス馬が出た牝系で、「トニービン×ノーザンテースト」とHyperion色が強い母は交配相手として理想的といえる。全姉ギンザボナンザは重賞には手が届かなかったものの、桜花賞(GI)7着などそれなりの実績を残しており、配合的には非の打ちどころがないので、本馬にはそれ以上の期待が掛けられる。芝向きの中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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