サクラバクシンオーとノースフライト。かつて幾度となく名勝負を繰り広げた2頭だ。1400メートルまではサクラバクシンオーが強くて1600メートルになるとノースフライトが逆転する構図。若かりしころの坂路野郎に1400メートルまではスプリンターの範疇だが、そこから1ハロン延びると形勢はガラリと一変するという認識を植え付けた。

「ノースフライトの場合、1400メートルだと追走に余裕がなかったけど、1600メートルになると楽に競馬ができた。バクシンオーはその逆。サッと前に行けるけど、1600メートルまでは距離が持たなかった。マイラーというカテゴリーがあるぐらいだし、スプリントとマイルは全くの別物ということだろうね」とは現役時代ノースフライトの手綱を取っていた角田調教師だ。

　その別物のカテゴリーでともに頂点=GIを取ったのがセントウルSに出走するロードカナロア。今回ハクサンムーンとマイネルエテルネルでこの難敵に勝負を挑む西園調教師が、ロードカナロアに畏怖の念を抱くのもこの点にある。

「ウチも短距離で走る馬をいっぱい育ててきたけど、スプリントとマイルの両方で大舞台を勝つなんてことは至難の業。1200メートルは出していかないといけないし、逆に1600メートルでその競馬では通用しない。ウチのエーシンフォワードが何分もゲート内で待たされてアウェーの洗礼を受けた香港であっさり勝ったことも含めて、あの馬はとんでもなく強い」

　名馬サクラバクシンオーも成しえなかったスプリント&マイル両GIを制したロードカナロア。歴史に残る馬に休養明けも何も関係ないだろう。週末は素直にこの馬のスピードを堪能した方がよさそうだ。

(栗東の坂路野郎・高岡功)

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