●ウラレナ(牡 美浦・国枝栄 父キングカメハメハ、母ソルティビッド)
全姉アパパネは牝馬三冠に加えて阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)、ヴィクトリアマイル(GI)を制した名牝。それ以外の兄弟、トムトム(父ジャングルポケット)は1000万条件で走り、シュガーヒル(父クロフネ)も1000万条件に在籍経験がある。つまり、母ソルティビッド(02年フェアリーS-GIII・2着、02年ファンタジーS-GIII・5着)の繁殖牝馬としての能力がきわめて高いため、どんな種牡馬を交配しても1000万クラスには到達し、配合的な相性の良かったキングカメハメハ産駒のアパパネは歴史に残る名牝となった、ということだろう。本馬はアパパネ以来となるキングカメハメハ産駒。牡馬なのでどんなタイプに出るのか興味深く、姉のような大物であることを期待したい。
●キングストーン(牡 栗東・大久保龍志 父キングカメハメハ、母エアウイングス)
全姉エオリアンハープは中山牝馬S(GIII)3着、フローラS(GII)5着などの成績を残した。ほかにウイングレット(父タイキシャトル/05年中山牝馬S-GIII)、エクスプロイト(父コマンダーインチーフ/06年目黒記念-GII・6着)などが兄弟にいる。母エアグイングスは阪神牝馬特別(GII)の勝ち馬。その全兄には宝塚記念(GI)2着のサンデーブランチがいる。本馬は母が17歳時の産駒だが、活力のある牝系に属しており、なおかつ配合的な完成度が高いので期待できる。父キングカメハメハは「Northern Dancer+Secretariat」の構成を持つ血と相性がよく、このパターンからロードカナロア、ローズキングダム、ベルシャザール、ビンテージチャートなどが出ている。全姉エオリアンハープと本馬もこのパターン。芝向きの中距離タイプ。
●トーセンマタコイヤ(牡 美浦・加藤征弘 父ディープインパクト、母ミュージカルウェイ)
母ミュージカルウェイはドラール賞(仏G2・芝1950m)の勝ち馬。母の父Gold AwayはNureyevとBlushing Groomを併せ持つので、フレールジャック(11年ラジオNIKKEI賞-GIII)の母でありヴィルシーナ(13年ヴィクトリアマイル-GI、12年クイーンC-GIII)の2代母でもあるハルーワソングと似ている。母はさらにMr.Prospectorを持つので、上記の2頭のうちヴィルシーナと配合構成がきわめてよく似ている。全姉インナーアージは馬体が小柄で現在4戦1勝だが、馬体が充実してくれば上のクラスに出世しそうな雰囲気を感じる。本馬は牡馬であり、姉のように華奢ではないので期待できる。芝向きの中距離タイプ。
●バリス(牡 美浦・小野次郎 父ステイゴールド、母プラントパラダイス)
関屋記念(GIII)と中京記念(GIII)で5着となったワイズリー(父ムーンバラッド)の半弟。母プラントパラダイスはNorth of Eden≒Theatrical 2×2という印象的な相似な血のクロスを持つ。母にこのような特殊な凝縮を持つ配合は、一発当たれば大きいので、その起爆装置にふさわしい大物感を備えたステイゴールドとの配合は楽しめそうだ。母は初子から5頭連続でサンデーサイレンスを含まない種牡馬と交配してきたが、6頭目の本馬でようやくサンデーの血を注入した。その点でも期待が大きい。種牡馬として不振だったムーンバラッドでワイズリーのような重賞入着馬を出せたのだから、ステイゴールドなら……という計算はあっていい。
●フィリグラーナ(牡 栗東・角田晃一 父ステイゴールド、母ゴシップクイーン)
2代母レディゴシップは中山記念(GII)とクイーンS(GIII)で2着となった。母方にDeputy Ministerを持つステイゴールド産駒は連対率30%(80戦23連対)と素晴らしい成績を残している。現時点で重賞で入着した馬はアイスフォーリス(12年オークス-GI・3着、12年フローラS-GII・2着)とグッドレインボー(13年チューリップ賞-GIII・5着)しかいないものの、いずれ重賞勝ち馬も出てくるはずだ。本馬はノーザンテースト4×3というクロスを持っている。ステイゴールド産駒のノーザンテーストクロスは、オルフェーヴル、ドリームジャーニー、コスモプラチナ、レジェンドブルー、バウンシーチューンなど多くの活躍馬が出ている。配合的なレベルは高いので、馬体が小さすぎるといったことがなければ芝中距離でいい仕事をするだろう。