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超ド級のおてんば娘!コスモネモシンの純情

  • 2013年09月17日(火) 18時00分
 新潟記念で、約3年半ぶりの重賞制覇を果たしたコスモネモシン。今回は、管理する清水英克調教師、調教パートナーの嶋田高宏調教助手、担当の山田達也厩務員にお話を伺いました!

嶋田助手、山田厩務員、先生

嶋田助手、山田厩務員、先生

赤見:新潟記念、おめでとうございます!10番人気の低評価を覆しての勝利でしたね。

清水「ありがとうございます。今回は、全部揃いましたね。攻め馬も上手く行ったし、前々走のレースで10キロ減ってたんですけど、その辺は山田と相談して調整して、プラス4キロで出走出来た。ジョッキーの判断も良かったし、総合的にパーフェクトに近いレースが出来たからだと思います。馬場も合ってたしね。
 ゴール直後に山田、泣いてたよね。すぐ感動して泣いちゃうんだよ(笑)。」


山田「本当に嬉しかったです。ジーンと来ました。」

嶋田「松岡くんも上手く乗ってくれたし、また前も上手く開いてくれて。勝つ時は全部上手く行くもんですね。」

レース後も元気いっぱい!

レース後も元気いっぱい!

赤見:ネモシンといえば、調教の時にかなりのおてんば娘というイメージがありますが、今回は1週前の追い切りが相当大変だったみたいですね。

嶋田「はい(苦笑)。本当に大変でした。
以前は追い切りでスピードに乗れば止まるようなことはしなかったんですけど。それが最近、スピードに乗った状態から止まること覚えちゃって…。仕方ないので、長アブミで拍車付けて追い切りに入ったんです。速いとこ行ってからアブミを短く直そうと思ってたんですけど、そんな余裕もなかったですね。時計的にはいい時計が出たんですけど、馬がブレーキ掛けそうなのをずっと推進した状態で行ってました。あれで、もし人間が上で怖くなって少しでも手綱引っ張ったりしたら、すぐ止まっちゃうんで。」

山田「嶋田さんじゃないと、追い切りはもう乗りこなせないんじゃないかと思います。」

赤見:長アブミのまま速いとこ行くなんて、相当怖そうですね。

嶋田「頭いいんですよ、ホントに。人がケガするようなことまではやらないんですけど、嫌なことは嫌だってハッキリと主張しますね。それこそステッキとか入れたら反抗して止まります。だから追い切りでステッキを使うことも出来ないんですよ。
 一週前追い切りを終えて、次の日曜日にサーッと行こうとしたんですけど、北馬場の中で1時間くらい頑張っても全然行かなくて…。馬がいよいよ『嫌だ!』っていうことをすごくアピールしてて。それで最終追い切りは坂路にしたんです。北馬場だと、トラックの中に逃げ道がけっこうあるじゃないですか。出入口が。今はそこを狙って出て行こうとするんでね。坂だったら上に上がり切るまで終わらないから。その最終追い切りが上手く行ったんです。」

怒ると怖いコスモネモシン

怒ると怖いコスモネモシン

赤見:ここ何年かと比べて、今回の反抗的な態度はどうだったんですか?

嶋田「今までは、誤魔化し誤魔化しけっこう出来てたんです。今回はもう、頑として意思表示して来ましたね。前は、速いとこ行くのにアブミを短くすると『これは速いとこ行く気だな』ってわかって止まってたんです。頭いいでしょ。今はもうアブミが長かろうが短かろうがやりますけど。5ハロンから行くと、『追い切りだ!』ってわかって止まるんです。」

赤見:さっき馬房で会った時には穏やかな顔してましたね。

嶋田「馬房の中はけっこう大人しいんですよ。追い切りは大変ですけど、前よりは普段の調教や運動でも大人しくなりました。もう6歳ですから。馬場の中でも前よりはコントロール利きやすくなったんです。3歳4歳の頃と比べたらね。」

山田「ホント、強烈でしたよね。休み明けの火曜日とか、馬房から出てハナ前でバンバン飛んでましたねぇ。前は運動場で、ちょっと他の馬が暴れると気に入らなかったみたいで、怒って逆切れしちゃうんです。立ち上がるし尻っぱねするし…。他の厩舎の方に謝ったりしてました。」

嶋田「ここまで大人しくなってくれたのは、牧場の方のお蔭もあると思いますよ。相当大変な思いしてるはずですから。こうやって結果出せたことは、現場としても嬉しいですね。」

山田「ホント、そうですよね。色んな方が工夫してネモシンに接してくれているんで、こういう形で恩返し出来て嬉しいです。どの馬も可愛いですけど、やっぱりネモシンへの想い入れは強いですね。ホントに我が強くて…。気に入らないことがあると耳を絞って怒るんですよ。」

山田さんが大好き

山田さんが大好き

嶋田「賢い馬ですね。自分の意思をしっかり持ってるタイプです。奥さんにはしたくない(笑)。でも山田さんには耳絞んないじゃないですか。ホントに山田さんのこと好きだから。追い切り終わった後とか、馬場の外で待ってる山田さんの姿が見えるともう喜んじゃって、ダクで山田さんのところまで行こうとするんですよ。
 逆に先生が来るとすごいですよ(笑)。先生は毎日厩舎から馬場まで付いてきてくれて、止まったら追いムチで後ろから追うでしょ。だから、嫌いなんです。」

清水「牧場に会いに行くと寄って来るんですけどね。でも厩舎だと耳絞ってね…。よくネモシンに言うんですよ。『お前、牧場の時とずいぶん態度が違うんじゃないの?』って。きっと、山田の目を気にしてるんです。山田に気使ってるの。だってネモシン、山田が結婚してから、しばらく走らなかったもんな。」

赤見:えー?!そこですか?じゃあ、ネモシンもやっと吹っ切れたんですかね。

清水「はははは(笑)。それは冗談にしても、牝馬ってホントに敏感だよね。僕は基本的に馬を怒るのは嫌いなんで、穏やかで優しい山田の性格がネモシンには合ってたと思いますね。」

嶋田「今まで乗った中でも相当に頭いいですよ。機嫌損ねないように、次も結果出せるように頑張ります。今回強いレースしてくれたんでね、尚更次頑張んないと。松岡にもけっこうはっぱかけられてるし(笑)。インタビューで、『マイネイサベルと同じくらい能力があると思ってたから、勝って当然です』みたいに言ってたでしょ。」

清水「レース後は変わりないんで、この後はオーナーサイドと相談して決める予定です。
まだ馬若いんですよ。けっこう休んでる時期も長かったから。年内は頑張って欲しいですね。牝馬でここまで根性ある馬って、そうそういないよ。」

赤見:根性あって、気が強くて、お嫁さんにしたくないタイプという。

清水「赤見ちゃんと一緒だよ(笑)。」

赤見:えーっ!?ネモシンの足元にも及びません!!

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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