栗東トレセンを飛び出し、比叡山延暦寺にて写経と坐禅を体験した優作騎手&恭介騎手。最後は待ちに待ったお食事タイムです。修行の聖地ならではの精進料理を味わいながら、『ご指名対談』の後日談から上半期の回顧や秋への抱負、プライベートについてまで、おふたりにたっぷりと語っていただきました。本音満載のツインズ対談を2回にわけてお届けします!
(取材・文/不破由妃子)
■川田さんとの対談のおかげで意識が変わりました【比叡山延暦寺とは?】
平安時代の初期に、天台宗の開祖である最澄によって開かれた寺院。比叡山は、京都と滋賀の県境に跨がる山で、この山全体が延暦寺の寺域となっている。1994年、ユネスコの世界遺産条約によって世界文化遺産として登録された、日本仏教の一大聖地。今回、ふたりがお邪魔したのは、東塔にある宿坊・延暦寺会館。ここでは食事のほか、写経や坐禅の体験ができる。
【修行のあとは、精進料理に舌鼓】
比叡御膳(2,100円・要予約)。野菜類、豆類、穀類からなる精進料理です。「すごくおいしい!」という優作騎手に対し、「肉が食べたい!」という恭介騎手(笑)。
──今日は長い時間、ありがとうございました。写経、座禅と初めて体験してみていかがでしたか?
優作 写経は、正直お経のありがたみがわからなかったり、墨がうまくすれなかったり、きれいに書けなかったりで、なかなか集中するのが難しかったけど、座禅は自分を見つめるという意味で、本当にいい時間でしたね。薄めで遠くを見つめるっていうのが難しかったけど(笑)。
恭介 僕は座禅のあいだ、お腹がなりそうでちょっとドキドキした(笑)。でも、集中するって大事なことだなって改めて思いました。写経にしても座禅にしても、日頃これだけ集中してひとつのことをやる機会って、なかなかないですからね。こういう時間も必要だなと思いました。サウナで汗取りしながら(座禅を)やろうかな。
優作 しかも、格式の高い比叡山延暦寺で体験できたっていうのも貴重でしたね。
──では、最後は精進料理です。お食事をしながらいろいろとうかがっていきたいのですが、まず、春の企画として「ご指名対談」がありましたね。優作騎手は秋山騎手と、恭介騎手は川田騎手と対談していただきましたが、恭介騎手は平日も競馬のVTRをずっと見ているということで、川田騎手に「もっとリフレッシュしなさい」とアドバイスを受けていましたが、その後、平日の過ごし方に変化はありましたか?
恭介 対談させていただいたのがちょうどダービー週で、僕は肘の手術をしたばかりでその週はお休みだったんですけど、川田さんに言われた通り、土日はダービーしか観ませんでした。腕が痛かったので家にはいたんですけど、リフレッシュに専念しましたね。あと、平日もあまりVTRを見なくなりました。これも川田さんのアドバイス通り、勝ったレースだけはよく見てますけど(笑)。
──なるほど。川田さんとの対談のあと、復帰した週にポンポンと2つ勝ちましたよね。いいリフレッシュができたのかなぁと思っていました。
恭介 はい。やっぱり僕は考えすぎていたんだと思います。意識が変わりました。それからは、あんまり自分をいじめないようにしています(笑)。
優作 そのあたり、兄弟でも少し違うよね。でも、そういえば僕も体の調子があんまり良くないときがあって、トレーニングを控えたら、逆に体の調子が良くなったことがある。
恭介 トレーニングをやりすぎて、週末に疲れが残ったまま競馬してたんだろ?
優作 そうかも。競馬の次の日からトレーニングをしていたので、やりすぎていたのかもしれない。
──今日、修行をしている姿を見ていても思いましたが、おふたりとも根がすごく真面目ですよね。優作騎手は、秋山騎手との対談で、「ジョッキーとして自分だけのカラーを見つけたい」とおっしゃっていましたが、なにか見えてきたものはありますか?
自分ができることを、精一杯やるしかない
優作 秋山さんとお話させていただいたことで、逆にあまり意識しないようになりましたね。今、自分ができることを、精一杯やるしかないと思うようになりました。
──この夏は、北九州記念で初めて、重賞での1番人気を経験されましたね(サドンストーム10着)。
優作 はい。貴重な経験をさせていただきました。
恭介 俺、めっちゃ応援してたよ。ちょうど100勝がかかっていて、もしかしたら100勝目が重賞になるかも!と思って、プラカードを持つ気満々だったんだから。
優作 ゲートを出た瞬間は“イケる!”と思ったんだけど、3コーナーあたりであやしくなって…。僕自身、緊張はまったくしなかったんだけどね。
──それは頼もしい。平常心で臨めたんですね。
優作 はい。レースまでの1週間のほうが緊張しましたね。競馬ブックを見たらサドンストームがグリグリだったので、ついにきたかと。
恭介 ついにきたか(笑)。当日は、見てる俺のほうが緊張してたかも。
優作 世界陸上を見ていて、自分が陸上の選手だったらすごく緊張するだろうなぁと思ったんだけど、騎手である自分が緊張するのは、立場的にちょっと違うんじゃないかなって。自分が走るわけじゃないからね。
恭介 まぁ、そうだけど…。俺、未勝利戦でガッチガチに緊張することあるけどね。
──それはどういうシチュエーションのときですか?
あとがない未勝利戦はガチガチに緊張することが……
恭介 人気に関係なく、自分が期待している馬だったりすると、「この馬のために負けるわけにはいかないな、僕がここで失敗するわけにはいかないな」と思うんです。未勝利馬は、あとがない場合もありますから。
優作 わかるけど、緊張すると余計に周りが見えなくなる気がするんだよなぁ。
恭介 お前も一度、ガッチガチに緊張してみろって!
──優作騎手は、自分自身をコントロールできるということですね。
優作 ん〜、どうなんでしょう。やっぱり、考えてしまうとダメですね。座禅と同じで、とにかく無心でいることを心がけます。とりあえず、ゲートだけはきちんと出そうと、そこは集中して。
恭介 (北九州記念のサドンストームは)ゲート、出せなかったじゃん。
優作 そう、出なかった…(苦笑)。
【次回のキシュトーーク! は?】
比叡山延暦寺会館でのツインズ対談第2弾。引き続き、北九州記念やマーメイドS(恭介騎手騎乗のアグネスワルツが2着)などレースに関することから、おふたりの結婚生活についてまで、ツインズならではの本音満載トークをお届けします。