◆日本テレビ盃展望
(9月23日 船橋 サラ3歳以上 別定 JpnII 1800m)
「日本テレビ盃」は平成10年統一G移行。以来、古馬チャンピオンクラスの“秋初戦”として重要なポジションを担ってきた。第1回アブクマポーロを皮切りに、アグネスデジタル、スターキングマン、シーキングザダイヤ、そしてフリオーソ、スマートファルコン…など、その優勝馬は大半がGI制覇。紛れが少なく、力がそのまま反映する“船橋1800m”らしい結果といえるだろう。今年はJBCが金沢開催(11月4日・1900m)。南関東ファンとしてはやや焦点がつかみにくくなったが、それでも「JCダート」「東京大賞典」、大一番への序章、プロローグを思えば、見逃せないレースではもちろんある。ただし平成19年だけインフルエンザ禍で条件変更(南関東限定)。今回データは、それを除く9年間とお断りしておく。
(1)…堅めが基本。1人気[6-3-0-0]と圧倒的で、2人気[3-1-3-2]、3人気[0-4-4-1]。1~2人気の決着が5度あり、馬複平均配当380円。堅い重賞というしかない。
(2)…JRA対船橋。JRA=7勝、2着6、3着5。むろん断然としていいが、船橋=2勝、2着3、3着4も大善戦。ホームの利はやはりある。南関他3場、他地区所属馬とも毎年圏外。
(3)…旬の馬。5歳=4勝、2着4が一歩リードし、以下、6歳=3勝、2着1、4歳=2勝、2着2。言い換えれば、連対18頭中17頭までが4~6歳馬で、実績より上昇度、勢いが勝る傾向。
(4)…先行有利。逃げ=4、先行=7、差し=6、追込=1。逃げ切りは23年Sファルコンなど抜けた能力がないと厳しいが、例年スロー~平均ペースで前有利。ジョッキーでは武豊騎手4勝が断然。
※データ推奨馬
◎トーセンアドミラル…JRA5勝、現船橋・川島正行厩舎の6歳馬。その5勝はすべて千七~二千の中距離で、大半がゆったりした先行策から終い二の脚を使っている。前走重賞制覇(スパーキングサマーカップ)の勢い。南関ダートで着々と実績を積み重ねるキングカメハメハ産駒。
☆ ☆
◎ワンダーアキュート 58武豊
○ソリタリーキング 57福永祐
▲トーセンアドミラル 56川島正
△ランフォルセ 56戸崎
△ダイショウジェット 56柴山
トウホクビジン 54佐藤友
サイレントスタメン 56町田
ナムラオウドウ 56秋元
実質4~5頭立てという組み合わせになった。南関東オープン馬(とりわけ中~長距離部門)の層の薄さ。にもかかわらず、前週に「東京記念」を組んでしまう、及び腰の姿勢(有力馬流出)。ファン感覚としては盛り上がるはずがないとも思う。アジュディミツオー、フリオーソ級の救世主が出現すればもちろんいいが、それも現段階では遥かな夢。どうジレンマを断ち切ったらいいものか…正直暗澹たる気持ちになる。
ともあれ馬券。ワンダーアキュートの“1着固定”で3連単を考えた。昨秋「JBCクラシック」圧勝(シビルウォーに5馬身差)を含め、GI通算[1-4-3-3]。何とも濃密な戦歴で、一昨年「東京大賞典」、王者スマートファルコンとの死闘(鼻差)もまだ記憶に新しい。阪神、東京、大井、川崎、あらゆる舞台、多様な距離で、常に完全燃焼してきた逞しさ。今回「帝王賞=3着」から3カ月の充電も、同馬向きと判断する。中間じっくり乗り込まれた。
ソリタリーキングは昨年覇者。当時好位から横綱相撲でさすがヴァーミリアンの半弟を思わせた。以後意外な足踏みも経験したが、前走岩手「マーキュリーC」快勝で軌道修正。素質、上昇度注目なら逆転の目も当然浮かぶ。ただ記者印象とすると、アキュートと較べ、馬体、レースぶりなど、どこか薄く写って頼りない。それなら前述トーセンアドミラル。同馬は前々走からブリンカー着用。競り合ってのしぶとさ、ガッツが思惑通り違ってきた。3連単、11→6→12、11→12→6を等分に。オッズしだいで11→12→4を追加して観戦する。
◆東京記念回顧
(9月18日 大井 サラ3歳以上 地方競馬交流 別定 南関東SII 2400m重)
○(1)プレティオラス 2分36秒2
△(2)スターシップ 31/2
(3)ウインペンタゴン 首
△(4)トーセンルーチェ 13/4
△(5)テラザクラウド 1/2
…………………
◎(8)インサイドザパーク
(9)マグニフィカ
△(12)フォーティファイド
▲(13)アートサハラ
パワーストラグル 競走除外
単690円 馬複4500円 馬単7540円 3連複92150円 3連単440110円
プレティオラスが豪脚一閃、地力と個性を改めてアピールした。スタートはごく普通に出たものの、いつもの流儀で最後方待機。2周目3~4コーナーちょうど中間でエンジンがかかり、そこから上がり3F=37秒9の脚を使った。2着スターシップ=39秒4、3着ウインペンタゴン=39秒7だから、メンバー中抜けた最速。12頭をそれこそひと呑み、一気に捕えたのはもちろん、最後31/2馬身ちぎってみせた。「リズムを崩さず走るよう、先生(森下調教師)から言われていたし、実際そのフォームでダービーも勝たせてもらった。末脚はとにかく凄い」(本橋孝太騎手)。直線大外に持ち出し、先行馬との距離、自身の手応えを確認し、今日は勝てる…と思ったとつけ加えた。4コーナー、本橋Jの心中を想像する。うずうずする気持ち…だろうか。おそらくこれは最高のジョッキー冥利だ。
プレティオラスは、フィガロ×ユーロペ(ダンスインザダーク)の4歳牡馬。昨春東京ダービーをこの夜と同じ直線一気で制し、続くGIジャパンダートダービーも6着と善戦した。ズブいというより“マイペース”の気性なのだと納得する。道中勝ちを意識して動くと結果が出ず、反面じっくり折り合って進めば、GОサインから爆発的な脚を使う。「4歳を迎え体質が強くなったのが何より大きい。もともと実戦向きで、レースに行って自分の形を持っている。今日はダービー馬として恥ずかしくない競馬ができた」(森下淳平調教師)。ドキドキとワクワクを常に感じさせる魅力のキャラ。課題はやはり、レベルが上がって(交流G)、全体時計が速くなった際の適応だろう。今回2分36秒2は客観的にみて水準以下(昨年スマートインパルス=35秒4)。胸がが張れる状況には達していない。
2着スターシップは中団からじわりと追い上げ直線先頭。いわゆる教科書通りの競馬をした。9歳馬ながらパワー健在。中~長距離路線なら依然安定株の評価だろう。3着ウインペンタゴンも同様に前々を動きしぶとさを発揮した。JRA5勝、父シンボリクリスエスの背景からはもうひと花も考えられる。トーセンルーチェ、テラザクラウドはともに久々。前者追込み、後者先行で見せ場を作り、ひとまず次走へ期待はつないだ。フォーティファイド、アートサハラは期待外れ。前者はパドックなど3キロ増以上に太く写り、再びピークまで時間がかかりそうな懸念もある。後者はテンから闘志を欠くレースぶり。馬体などよく見せても、精神面でいまだトンネルを脱していない。