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池江泰郎氏が語る凱旋門賞/スペシャルインタビュー

  • 2013年09月23日(月) 16時00分
 いよいよ2013年凱旋門賞が迫ってきた。そこで、スペシャルゲストとして池江泰郎氏にお話を伺った。

 自らディープインパクトで凱旋門賞に参戦した経歴を持つ池江氏。周知のとおり、オルフェーヴルの池江泰寿調教師の父であり、オルフェーヴルの父・ステイゴールドとキズナの父・ディープインパクトの管理調教師でもある。そんな池江氏に凱旋門賞への思いと展望を語っていただいた。

ステイゴールドやディープインパクトを管理した池江泰郎元調教師(撮影:花岡貴子)

ステイゴールドやディープインパクトを管理した池江泰郎元調教師(撮影:花岡貴子)


「昨年の凱旋門賞は『勝った』と思いました」

 昨年の凱旋門賞は悔しい思いをしましたね。各馬が4コーナーを回ったとき、他の馬はおっつけているのにオルフェーヴルだけが手綱を抑えてジックリ構えていました。あのときは長年競馬に携わっている私でも「勝った」と思ったほどでした。しかし、ゴール前でソレミアにかわされ……キツネにつままれたような気持ちになりました。

 ほんの僅かな勝負のアヤで勝てなかった。そして、最後の最後で悪いクセが出たのも響きましたね。

 厩舎陣営は悔しい気持ちを抱えていましたし、スミヨン騎手もその晩は眠れなかったと聞いています。応援団として観戦していた私も、改めて“あの内容で勝てないのだから、凱旋門賞というレースの壁は厚い”と感じていました。

「前哨戦でモヤモヤが晴れてよかったです」

 今年のフォワ賞、オルフェーヴルは凱旋門賞に向けて実にいい競馬をしていましたね。スミヨン騎手は直線向いてからも最後まで手綱を抑え、最後だけちょっと気合をつけて。本当に大事に大事に乗っていました。

 オルフェーヴル陣営はレースの直前に馬に蹴られて外傷を負うなど、気持ちがモヤモヤすることがいっぱいあったと思います。でも、フォワ賞の快勝でそのモヤモヤが晴れてよかったです。

 ニエル賞を勝ったキズナはまだまだ奥を感じさせますね。今でも素晴らしい馬ですが、来年もさらに成長していくのではないでしょうか。2頭ともいい内容で前哨戦を勝ててよかったです。

「凱旋門賞は世界を代表する競馬の祭典」

 ディープインパクトで調教師として参加したときは、馬のことを中心に動いていました。レース当日は朝、厩舎から馬をロンシャン競馬場まで輸送することから始まり、レースを走らせ、また厩舎へ戻すところまでしっかり管理していかなければなりません。だから、“競馬の祭典”として凱旋門賞を味わう余裕はありませんでした。

 しかし、引退した後はゆったりと競馬場全体を見渡せます。昨年は凱旋門賞という世界を代表する競馬の祭典を楽しませてもらいました。

 世界中のホースマンが集まり、女性のお客さんは着飾りファッションショーも行われている。とても賑わっていて朝から空気が違うものね。今年もきっと華やかな競馬の祭典が開かれることでしょう。

「ゴール前は目をつぶってしまうかもしれない」

 いくら順調でも、サラブレッドは繊細な生きもの。油断はできないですね。泰寿も“勝って兜の緒を締めよ”という感じで気を引き締めようという気持ちでしょう。

 私はオルフェーヴルとキズナの2頭とも無事に競馬を迎えて、悔いのないレースをして欲しいという気持ちでいっぱいです。オルフェーヴルの父はステイゴールドで母の父がメジロマックイーン、キズナの父はディープインパクト。どちらも私と縁のある馬ですからね。2頭が世界の大舞台でどんな競馬をするのか、考えるだけでワクワクしますよ(笑)。

 当日は応援団という気持ちでレースを楽しみたいと思います。あまりの興奮で、今年はゴール前では思わず目をつぶって応援してしまうかもしれませんね。そのくらい熱い思いで観戦したいと思っています。

 2頭とも勝つチャンスはあるでしょう。はたして、どういう運命になるか。どのようなドラマになるか。今から凱旋門賞当日が待ち遠しいです。(取材・写真:花岡貴子)

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