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底力あふれるダービー向きの配合馬エーデルグランツ

  • 2013年09月25日(水) 12時00分
●エーデルグランツ(牡 栗東・須貝尚介 父ディープインパクト、母フォーシンズ)
 母フォーシンズはShawanda(05年愛オークス-G1、05年ヴェルメイユ賞-仏G1)と同じ「Sinndar×Darshaan」という組み合わせで、現役時代にブランドフォードS(愛G2・芝10f)、ブルーウィンドS(愛G3・芝10f)を制覇。Mill Reef 4×4、4分の3同血のAbdos≒ダラマ5×4・5というクロスを持ち、Mill Reefの父の母の父Djeddahは、Abdosと同じく「Djebel×Asterus」という組み合わせなので、これらの血は緻密に結びついている。「ディープインパクト×Sinndar」という組み合わせはムーンリットレイク(脚部不安と闘いながら8戦5勝)と同じ。全姉ディオジェーヌは420kg台の小柄な馬体が影響したのか7戦1勝という成績だが、本馬は500kg前後の力強い馬体なので違った結果が出そうだ。2400mに向いたダービー向きの配合。

●ジョウノムサシ(牡 栗東・森秀行 父バゴ、母ジョウノカトリーヌ)
 父バゴは現役時代に凱旋門賞、パリ大賞などG1を5勝した名馬で、ビッグウィーク(10年菊花賞-GI)、オウケンサクラ(10年フラワーC-GIII)、クリスマス(13年函館2歳S-GIII)などが代表産駒。母ジョウノカトリーヌは繁殖牝馬として優れており、初子マストハブ(父アフリート/現準OP)、2番子リアライズノユメ(父アフリート/10年兵庫ジュニアグランプリ-JpnII)、3番子リアライズブラザー(父アルデバランII/函館ダ2400mをレコード勝ち)と良馬を連発している。本馬はビッグウィークと同じ「バゴ×サンデーサイレンス」という組み合わせ。この馬も期待できそうだ。芝向きの中長距離タイプだろう。

●タカラミッシェル(牝 美浦・藤原辰雄 父ヨハネスブルグ、母リブユアドリームス)
 母方にFappianoを持つヨハネスブルグ産駒は成功している。函館ダ1000mで58秒6の2歳タイレコードを樹立し、初芝のすずらんS(OP)を6馬身差で圧勝したフクノドリームと、函館ダ1700mで1分47秒4の2歳レコードを樹立したニューヘリテージがこのパターンにあてはまる。ヨハネスブルグとFappianoを組み合わせると、Mr.Prospectorと名牝Grand Splendorが同時にクロスされる。これが効果的なのだろう。母の父Mt.Livermoreはパワー型のスピードタイプで、ダート短距離で本領を発揮する。基本はダート向きながら、中山やローカルの芝1200mなら十分こなせそうだ。

●ベルフィオーレ(牝 栗東・藤原英昭 父ディープインパクト、母ワンフォーローズ)
 ローズS(GII)4着など重賞でたびたび入着しているキャトルフィーユの全妹で、中山牝馬S(GIII)を連覇したレディアルバローザ(父キングカメハメハ)の半妹でもある。母ワンフォーローズはカナダ最優秀古牝馬に3回選ばれた名牝で、ケイアイファームが約1億円もの大枚をはたいて日本に輸入した。Caro、Wavering Monarch、Sir Gaylord、Sauce Boatなど母方に潜って真価を発揮する良血が散りばめられており、繁殖牝馬としても非凡なところを見せている。母の父Tejano RunはG1勝ちこそないものの、ケンタッキーダービー2着の成績がある。Caro系に属しているため柔らかさがあり、ダートだけでなく芝適性もあった。ジェンティルドンナ、ディープブリランテ、ジョワドヴィーヴルなど、ディープ産駒のGI馬はそこそこの活躍馬の全弟全妹であるケースが目に付くので、この馬も期待できる。

●マローブルー(牝 美浦・堀宣行 父ディープインパクト、母リラックススマイル)
 デボネア(11年京成杯-GIII・2着、11年弥生賞-GII・3着、11年皐月賞-GI・4着)の姪にあたる。母方にSingspielが入るディープインパクト産駒はアダムスピーク(11年ラジオNIKKEI杯2歳S-GIII)と同じ。父と相性のいいGlorious Songに加え、Mr.Prospector、Nureyev、Hoist the Flagが入るのでヴィルシーナときわめてよく似た組成となっている。母は未勝利馬だが配合的に面白く、底力に秀でた血を含んでいるためハマれば大きいところを狙える。距離は万能で桜花賞もオークスも守備範囲。

●レディアント(牝 栗東・中村均 父マンハッタンカフェ、母バイコースタル)
 NijinskyとMr.Prospectorを併せ持つマンハッタンカフェ産駒はよく走っている。イコピコ、レッドアゲート、サンディエゴシチー、メイショウレガーロ、マンハッタンスカイ、エーシンモアオバーなどがこれに該当する。母バイコースタルはプレステージS(英G3・芝7f)2着の成績があり、初子のノートゥング(Giant's Causeway)は日本で走り現1勝。悪くない成績だ。配合が合うマンハッタンカフェとの交配ならおもしろいところがありそうだ。芝向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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