比叡山延暦寺会館で修行を終えたふたりのツインズ対談第2弾。引き続き、北九州記念やマーメイドSなどレースに関することから、結婚生活やこの秋のテーマ、お互いに対する思いまで、ツインズならではの本音満載トークをお届けします!
(取材・文/不破由妃子)
■馬主さんに無理を言って僕を乗せてくれた──北九州記念では、新馬戦以来、約2年ぶりにサドンストームに騎乗されたわけですが、どういった経緯で騎乗依頼があったのですか?
優作 エージェントさんを通してではなく、西浦先生から直接お話をいただきました。先生は以前から「重賞を勝たせてやる」って言ってくださっていて。
恭介 すごく気にかけてくださってるよね。
優作 うん。だから余計に、“今回勝てなかったら、もうダメだな…”と思ったんだけどね。でもレース後「今回は馬の状態ももうひとつだったから、仕方がないよ」って優しく声をかけてくださって。僕からすれば、重賞で1番人気の馬に乗せていただけただけで、本当にありがたいこと。
──「重賞を勝たせてやる」と言ってくださる先生がいるなんて、心強いですね。恭介騎手の前半シーズンで印象的なレースといえば、マーメイドSの2着(アグネスワルツ)。見せ場十分の競馬でしたね。
恭介 ですね〜。直線半ばくらいまでは“イケるかも”と思っていたんですけど、最後は川田さん(マルセリーナ)にヤラれました(笑)。アグネスワルツは、初めて特別戦(09年11月29日・白菊賞)を勝たせてもらった馬なので、僕のなかでも思い入れが強いんです。
──一度手を離れて、去年4月の難波Sで戻ってきたとき、本当にうれしそうにしていたのを覚えています。
一度手を離れたアグネスワルツに乗ることが出来て…
恭介 もう乗せてもらえないかな…と思っていたので、本当にうれしかったです。それでまた、その難波Sを勝たせてもらって。秋も乗せていただけるようなので、すごく楽しみです。
優作 僕はもう(サドンストームの騎乗は)無理だな…。先生からも「たぶん1回限りだな」って言われていたし。北九州記念は、豊さんも川田さんもタイミングが合わずに乗れなくて、それで馬主さんに無理を言って僕を乗せてくれたみたいだから。結果を出せれば、また違ったのかもしれないけど。
──そうだったんですね。なんか、引きずってしまいそう…。
優作 そうなんですよねぇ。意識して考えないようにはしてますけど…。
恭介 一度、ドン底まで落ちてみろよ。俺が慰めてあげるから(笑)。
優作 美浦に所属していたころは、別の意味でドン底まで落ち込んでただろ。
恭介 ああ、今となっては懐かしいな。
優作 あのころを思えば、チャンスをいただけているだけ、どれほどありがたいか。それに、北九州記念の前には、本当にいろんな人から「応援してるぞ!」って声をかけてもらって。改めて、僕は周りの人に支えられてるんだなって思った。
──少し前までは、お互いの存在が何よりの支えになっている印象を受けましたが、デビューから4年半が経って、おふたりの関係性も変わってきたところはありますか?
優作 ん〜、それほど変わらないと思いますけどね。お互い、前より干渉しなくなったような気はしますけど。
恭介 僕は、昔より“ライバル”っていう意識が薄くなったかな。優作が勝つと、素直にうれしいし。自分が乗っていないレースはもちろん、自分の馬がいっぱいになってしまったときに、優作が前のほうでいい競馬をしていると、いつも応援してるんだよ。お前は俺のこと応援してないだろ?
優作 応援? ん〜、乗ってるときはいつも必死だから、お前のことなんて見てないよ。
恭介 だろうと思った。俺は、“優作、いい位置にいるなぁ”なんて思いながら、いつも心のなかで応援してるんだけどね。
──そのあたり、兄弟でも温度差がありますね(苦笑)。相変わらず、おふたりで食事に行ったり、買い物に行ったりされてるんですか?
優作 最近はだいぶ減りましたね。お互いに結婚したことが大きいかも。
──そういえば、優作さんもご結婚されたんですよね。おめでとうございます!
優作 ありがとうございます。
──独身のころに比べると、食生活がずいぶん変わったのでは?
結婚して体重の調整が楽になりました
優作 そうですね。結婚する前はほとんど外食だったし、面倒臭いときはコンビニで済ませてましたからね。今は、バランスを考えてくれているようで、体重の調整が楽になりました。木曜日と金曜日は必ず魚料理にしてもらっているんですが、独身のころの比べて体重が落ちやすいような気がします。
──恭介騎手はいかがですか?
恭介 今日の精進料理もおいしかったけど、やっぱり奥さんが作ってくれる食事が一番です! っていうことで(笑)。僕も食事面はだいぶ楽になりましたけど、そのぶん僕自身の体が大きくなってしまって…。毎週、(減量は)いっぱいいっぱいです。
優作 お前、食い過ぎだろ。
恭介 そんなことないよ。優作はボクサー体型というか、減量し終わった体をキープできている感じだよね。
優作 そう? 日曜日の夜とか、たいがいデブになるよ(笑)。
恭介 俺からすれば、優作はガリガリだよ。肉でいえばササミだね。脂が全然ない。絶対においしくない(笑)。
優作 おいしい必要ねーだろ!
──まぁまぁ(苦笑)。確かに双子でありながら、体型が違いますよね。では最後に、それぞれこの秋のテーマを教えてください。
優作 僕は30勝できるように頑張ります。折り返し地点で16勝なので、あと半分勝たないと…。
恭介 僕は1頭1頭全力で乗って、馬の全能力を発揮できるように頑張りたいです。もうそれだけですね。それで結果がついてきてくれれば一番いいですけどね。
優作 恭介は去年よりいいペースだよな。
恭介 うん、今年の前半はね。でも、そのあと初めての騎乗停止もあったし、ケガや手術もあって、トータル2か月近く乗れなかったからなぁ。秋は何より、ケガをしないようにしたい。そういえば今日、帰りにお参りするよね? お互いケガがないように、ちゃんとお願いしなくちゃ!
帰りに重要文化財である大講堂でお参り。最初から最後まで、本当に真摯に修行に取り組んでいた国分兄弟。さらなる飛躍に期待大です!
【次回のキシュトーーク! は?】
次回は川須騎手の単独インタビューです。函館にフル参戦したこの夏の出来事や技術向上への意欲、2年目に大飛躍を遂げたことによる“苦悩”まで、4年目の秋を迎えた川須騎手が、自身の今を赤裸々に語ります。