馬券野郎・虎石記者からバトンを受け、何の因果か今週から当欄の東の執筆担当に。栗東・高岡記者の取材の勘所が坂路なら、遊びが嫌いではない当方の勘所は“夜のお付き合い”。酒の一席は百の取材に勝る親密度を生むと信じる美浦の宴会野郎ならではの秘話を、プライベートで見せる人物像に交えて今週から披露していく所存。読者の皆様、何とぞよろしくお願いします。
のっけからGIウイークで荷が重いが、こんな時こそ担当厩舎の出番である。スプリンターズSにサクラゴスペルを送り出す尾関知人調教師とは助手(大久保洋厩舎)時代からの付き合いで、的確なジャッジで我が懐を何度も潤わせてもらった頼れる男。その風貌は銀行員と言っても十分に通るが、知性的な顔立ち、穏やかな物腰にだまされてはいけない。冷静沈着なトレーナーはあくまで昼間の顔。夜にひとたびマイクを握れば野太い声でシャウトする本格派ロッカーに変身する(まるで己を見るよう)。この手の男には、得てしてでかい野心が潜んでいたりするものだ。
「馬をだます? そういう側面もあるかもしれませんね」
前走の朱鷺S(2着)出走の理由を師に尋ねると、大胆な戦略家らしい言葉が返ってきた。
「真夏の輸送競馬で斤量も58キロ…馬にとっては厳しい条件でしたね。でも暑い時期さえ乗り越えれば、涼しくなって確実に馬が良くなる確信があった。加えて今回は輸送距離が短くなるし、斤量も1キロ減、さらに距離は1ハロン短縮。強力メンバーという点を省けば、走ることに関しての状況は相当に楽になるんです」
あえて夏場のオープン特別を叩き台に選択したのは、大本命ロードカナロアが持ち得ないアドバンテージを愛馬に持たせるため。過酷なGI舞台でも気分良く馬を走らせる手立てはあるのだ。これぞ逆算ローテである。
キズナの帯同馬として管理馬ステラウインドを今夏フランスへ遠征させているのも、おそらくいずれ来る未来を見据えての布石だろう。今週末は繊細かつ大胆なハートを持つ新鋭トレーナーをメイチで応援。勝てば盛大なる勝ち祝いに座し、師のシャウトに酔いしれる腹積もりだ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
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