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デビューが待たれる中距離向きの大物候補ラングレー

  • 2013年10月02日(水) 12時00分
●アカネイロ(牝 栗東・清水久詞 父クロフネ、母マチカネエンジイロ)
 ゴットフリート(父ローエングリン/12年朝日杯FS-GI・3着、13年共同通信杯-GIII・2着、13年京成杯オータムH-GIII・3着)の半妹で、マデイラ(現500万下)の全妹にあたる。「クロフネ×サンデーサイレンス+Mr.Prospector+La Troienne血脈」という血統構成は、フサイチリシャール(05年朝日杯フューチュリティSなど重賞3勝)やブラボーデイジー(10年エンプレス杯-Jpn2、09年福島記念-GIII)を出して成功している。クロフネ産駒は牡馬よりも牝馬のほうが芝向きの大物に育ちやすい傾向があるので、500万下の全兄マデイラ以上の活躍を期待したい。1200〜1600m向きの芝馬。

●オメガヴェンデッタ(牡 栗東・安田隆行 父ゼンノロブロイ、母ビハインドザマスク)
 母ビハインドザマスクはスワンS(GII)など重賞を3勝したスピード型の名牝。父ゼンノロブロイはスカッとしたスピードに欠ける面があるので、Mr.Prospector 4×3が生じるこの配合は悪くないはず。ダートでOP入りを果たしたマスクトヒーロー(父ハーツクライ)、フィリーズレビュー(GII)6着のシュガーヴァイン(父アグネスタキオン)など、兄姉はコンスタントに走っている。「ゼンノロブロイ×ホワイトマズル」の組み合わせはサンデーサイレンスとダンシングブレーヴのニックスが生じ、過去1頭が出走(スリーロブロイ)して1000万条件で走っている。組み合わせとしては悪くない。芝向きのマイラー。

●オルドリン(牡 栗東・角居勝彦 父キングカメハメハ、母ムーンレディ)
 母ムーンレディはドイツ産馬で、芝2200m以上の重賞を4勝した名牝。ドイツ血統は、世界的に主流を形成している米英愛仏とは異質の、狭いドイツの閉鎖的な環境のなかで育まれた独特の血統。現代の血統のなかでドイツ血統の果たしている役割は大きく、日本でもマンハッタンカフェやブエナビスタなどはドイツ血統を含んでいる。母の繁殖成績は素晴らしく、King's Bestとの間にエイシンフラッシュ(10年日本ダービー-GI、12年天皇賞・秋-GI)を誕生させている。本馬の父キングカメハメハはKing's Bestと同じくKingmamboの息子なので、本馬とエイシンフラッシュは4分の3兄弟ということになる。芝中距離で楽しめそうだ。

●ジェットブラック(牡 栗東・友道康夫 父ゼンノロブロイ、母ハルーワソング)
 4分の3兄フレールジャック(父ディープインパクト)はラジオNIKKEI賞(GIII)の勝ち馬で、姪のヴィルシーナはヴィクトリアマイル(GI)の勝ち馬。3代母のGlorious Songは、Devil's Bag、Saint Ballado、Angelic Songなどと全きょうだいの関係にある良血で、ダノンシャンティ(10年NHKマイルC-GI)も同じファミリーに属している。基本的にサンデー系とGlorious Songの組み合わせはHaloクロスを介して優れた相性を示している。また、NureyevとBlushing Groomを併せ持つゼンノロブロイ産駒にはステラウインド(12年青葉賞-GII・3着、13年フォワ賞-仏G2・5着)がいる。芝中距離で活躍が期待できる好配合馬だ。

●ラングレー(牡 栗東・矢作芳人 父ディープインパクト、母ラヴズオンリーミー)
 3代母Miesqueは80年代の世界最強マイラーで、2代母Monevassiaは名種牡馬Kingmamboの全妹に当たる良血。母ラヴズオンリーミーは不出走馬だが、05年のカルティエ賞最優秀2歳牝馬Rumplestiltskin(05年マルセルブサック賞-仏G1、05年モイグレアスタッドS-愛G1)の半妹で、短距離王ロードカナロアの配合(Kingmambo系×Storm Cat)をひっくり返したような興味深い配合構成となっている。本馬は「ディープインパクト×Storm Cat」なので、日本ダービー馬キズナ、桜花賞馬アユサン、青葉賞(GII)を勝ったヒラボクディープなどと同じ組み合わせ。この配合で重要なのは、残り4分の1の部分にHyperion−Alibhaiのようなブリティッシュトラッドの王道を添えることで、本馬の3代母MiesqueはHyperion 5・5×6でAlibhaiも抱えており、配合的には申し分ない。大物感あふれる中距離向きの好配合馬でデビューが待たれる。

●レッドアルゴ(牡 栗東・友道康夫 父クロフネ、母ハリウッドドリーム)
 CBC賞(GIII)を2回と阪急杯(GIII)を制したマジンプロスパー(父アドマイヤコジーン)の半弟。バブルガムフェローは父としてはイマイチだったが母の父としては悪くない。本馬と同じ「クロフネ×バブルガムフェロー」は、少ないサンプルからグリッターウイング(OP)、ファンドリカップ(準OP)、マルカリョウマ(1000万下)、グリサージュ(新馬勝ち)など上々の成績を収めている。半兄が重賞勝ち馬で、母ハリウッドドリームはサンデーサイレンスとLa Troienneを併せ持つというクロフネ産駒の成功パターンを押さえているので配合構成も良好。基本的にはダート向きかもしれないが走りが軽ければ芝でもいけるだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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