京都大賞典、毎日王冠、デイリー杯2歳Sなど追い切り診断/東西トラックマン
【栗東トラックマン情報】
◆日曜京都11R・京都大賞典(GII)
・ゴールドシップ
宝塚記念1着後は、北海道で鋭気を養い、一旦、函館競馬場へ入厩してから、栗東へ帰るというプラン。また、追い切り日以外にも主戦内田博幸騎手が手綱を握って調整を進めており、単なる休養明けの一戦ではないところがあからさまに分かる。最終追い切りはその総仕上げ。ジャスタウェイとの併せ馬だったが、馬がやる気になって、相手を跳ね除けてしまう、豪快な動き。時計が速いことも評価できるが、それ以上に、闘争心に火がついているかどうか。今回は間違いなく、スイッチは入っており、勝負どころで不安になるようなことはないだろう。
・アドマイヤラクティ
前走目黒記念は1番人気の支持を受けるも、見せ場のないレースぶり。レース間隔をあけて、秋に備えたのはプラスだったのではないだろうか。栗東へ帰厩したのは、9月5日。ノーザンFしがらきからなので、牧場での乗り込みは十分だろう。帰厩してからは、坂路でのキャンターが15-15になることが多く、4F63秒前後の時計が数多くある。その分なのか、はたまた、1週前追い切りが速い時計だったからなのか、最終追い切りは非常に軽い内容。CW6F88.3秒はオープン入りしてからの最終追い切りでは最も遅い数字。もっとも、自己条件時代には、遅い時計でも1着なっていることがあるので、さほど気にする必要はないかも知れないが、久しぶりということを考慮すれば、あまり信用してはいけないだろう。
◆日曜東京11R・毎日王冠(GII)
・ショウナンマイティ
安田記念2着後は休養に充て、ノーザンFしがらきから帰厩したのは、8月30日。決して遅くない入厩だったが、追い切り時計を出し始めるまでに2週間ほど要した。このあたりに不安を感じていたが、その通り、1週前追い切りでは、いつもなら終い弾けるところが、ごく平凡な動きだった。そして、最終追い切り。坂路で単走だったが、時計は4F51.1秒。これは十分に速く、ラスト1F12.1秒も文句ない。ただ、前走時には見せていなかった、もたれるような仕草があり、ゴールに近付くにつれて、その度合いがひどくなっていた。追い切り翌日の運動を見ても、少し硬く見えたので、あまり強調できるほどの状態ではなさそう。
・クラレント
同じ休み明けでも、2013年マイラーズC時とは全く違う今回。マイラーズC時は中間の追い切り時計が目立たず、最終追い切りでは、持ったままのダノンマックインに遅れてしまう内容。完全に仕上がり途上という感じだった。しかし、今回は全く違う。2週前の時点では、そのダノンマックインに遅れてしまっていたが、その追い切りで気配一変。川田将雅騎手が跨ったこともあり、1週前追い切りでは、自己ベストを更新する坂路4F時計(50.5秒)をマークし、ダノンマックインに簡単に先着した。そして、最終追い切り。ツルマルスピリットを追走する内容だったが、持ったままの手応えで相手を抜き去り、最後は舌を出す余裕の走り。坂路4F52.4秒という時計以上に、中身の濃い最終追い切りだった。
◆土曜京都11R・デイリー杯2歳S(GII)
・ホウライアキコ
1週前追い切りをCWコースで行い、最終追い切りが坂路というのは、勝った小倉2歳S時と同じ。中間の追い切り本数は決して少ないわけではなく、仕上がりとしては、特に問題ない。それを示すように、最終追い切りも力強い走り。ラスト1Fはトモを滑らせるようなシーンがありながら、12.2秒をマーク。1200mで連勝しているだけに、短距離馬の印象はあるものの、坂路での4F時計が54秒を切ったことはなく、緩急をつけた走りができる現状であれば、十分にマイルの距離に対応できるのではないだろうか。
【美浦トラックマン情報】
◆日曜東京10R・テレビ静岡賞(1600万下)
・インディースゲーム
珍しく中1週のレース感覚で挑んだ前走は、心配された馬体減もあり、直線の切れ味が多少鈍った分だけ届かずの3着。それでも格上げ初戦としては上々のレース内容。その後中3週レース感覚をあけた今回は、馬体減が回復し、本来のフックラとした体つきに戻っており、前2走の疲れもしっかり解消されている。中間は坂路中心に乗り込んだが、2日の最終追い切りだけラッドに入り、OPインプレスウィナーとの併せ馬を消化、道中2馬身差の先行から、両馬とも手応え良く互角併入。5F69秒5〜3F39秒7〜1F13秒1と時計は平凡でも、相変わらずの素軽さ、スピード感を見せており、引き続き状態面は絶好の仕上がり。得意の東京ダ1400、1600万のペースに慣れた今度こそ一気の差し切り。
◆日曜東京9R・本栖湖特別(1000万下)
・アロヒラニ
昇級戦の前走は相手が一気に強くなったが、先行集団の中から4コーナーで先頭に並びかけ一旦先頭のシーン。最後で息が上がったもののクビ差2着は優秀。今回は、さらに1F距離が延長されるが、1週前に終い目一杯追って53秒0〜上がり38秒8。そして直前の追い切りでも終い重視しながらも目一杯追って55秒0〜上がり40秒0。2週続けてビシっと追ったのは初めてのことで、間違いなく状態面での充実を示すもの。
◆日曜新潟11R・信越S(OP)
・シャイニープリンス
先週までは成長ぶんを見込んでも、多少余裕残しの馬体だったが、ビッシリ追ったことで、今週は重さを感じさせない動き。朝イチで1本登った後、イスラボニータの外に併せ、力強い伸び脚を見せた。黒光りする雄大な馬体は見映えがするし、スタート不利のNHKマイルが0,3秒差の競馬。マイルまでなら、一級品の能力を持っている。春までは若さが残るレースぶりだったが、ひと夏越して気性面が成長。千四なら、決め手が炸裂する。
◆土曜東京10R・オクトーバーS(1600万下)
・スーパームーン
2連勝後で、期待された前走の大敗はショックだったが、悪くなってきた馬場状態も少なからずの影響があったはず。その後は短期放牧に出てリフレッシュ、1ヶ月弱で帰厩してからは、坂路とウッドチップで豊富な調教を消化している。今週はラヴェルソナタを2馬身追走して、68秒1-38秒6。大雨の影響でバテる馬が目立つ中、最後まで余裕しゃくしゃくにゴールイン。パンパンに張った体は迫力満点、引き続き絶好調、本格化ムードをアピールしている。先週、直線一気の圧勝を見せたダノンジェラートを競り落とした前々走が示すように、素質は1枚上の存在。状態面に不安はなく、直線の長い東京コースなら、能力全開。前走着順で少しでも人気が下がれば、それだけ妙味になる。
◆土曜新潟11R・火打山特別(1000万下)
・マルターズグロウヴ
「いや〜、凄い脚だった」と言いながら松岡騎手が引き上げてきた前走の中山戦。いつもどおり直線勝負に徹して、距離損を避けるためにインへ。ラストはグイグイ伸びて、勝ち馬からはコンマ6秒差の6着。極端に時計の速い決着には不安を残すが、少しでも渋ってタイムを要する芝になれば、キッチリと脚を使える。台風がらみで今週の新潟競馬場は、天気が崩れる可能性が大。となれば、この馬には大きなチャンスとなるはずだ。水曜に長めからハードに追えたように体調は文句なし(96秒8〜81秒1〜66秒3〜51秒9〜38秒6、一杯)。新潟との相性も悪くない。